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【バレーボール】ミラノ・大塚達宣はイタリア向き間違いなし。「毎日が濃くて楽しくて」

ミラノの大塚達宣
練習中も笑顔が絶えないミラノの大塚達宣(写真提供:Powervolley Milano)
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パナソニック・パンサーズ(当時、現大阪ブルテオン)に在籍していたバレーボール日本代表OH大塚達宣(23歳)のイタリア移籍が発表されたのは2024年5月20日のことだった。移籍先は、石川祐希(今季よりペルージャ)が4年間在籍し、日本のファンにもおなじみのミラノ(正式名:Power Volley Milano=パワーバレーミラノ)である。京都・洛南高、早稲田大、Vリーグと順調にキャリアを積み、2021年東京、2024年パリと23歳ながらすでに2度のオリンピックを経験。特にパリ五輪では1次リーグの米国戦で、調子が上がらなかった石川祐希に代わって第3セットからコートに立ち、劣勢の流れを立て直して日本の準々決勝進出の立役者になった。大塚は世界最高峰のイタリアリーグで何を目指すのか。イタリアに到着して間もない8月下旬、大塚にインタビューする機会を得た。

目次

日本人中高生と急きょ面会

合同会社オーカグローバルサービスを通じてパワーバレーミラノ公式サマーキャンプに参加してくれた日本の中高生とコーチと一緒に(写真提供:合同会社オーカグローバルサービス)
合同会社オーカグローバルサポートを通じてパワーバレーミラノ公式サマーキャンプに参加してくれた日本の中高生とコーチと一緒に(写真提供:合同会社オーカグローバルサポート)

8月も半ばに差し掛かったころ、筆者はパワーバレーミラノの公式サマーキャンプ・JAM CAMPに参加する日本人中高生の帯同通訳で、イタリア北部のサルソマッジョーレ・テルメに滞在していた。この週は以前から決まっていたキャプテンのマッテオ・ピアノのほか、主催者のはからいで大塚の参加が急きょ決まったものの、来伊が遅れて実現は叶わず。しかし主催者とチームの尽力で、日本人中高生が帰国の8月26日に空港へ行く前、大塚のウェイトトレーニング前に30分だけ時間をいただけることになった。

待っていた練習用体育館に大塚が入ってくると、中高生たちは大興奮。そんな彼らにサイン、写真撮影のほか、素朴な疑問から技術面までの質問に答えてくれただけでなく、「大塚選手のスパイクを受けてみたい!」というリクエストでスパイクレシーブ練習まで。サービス精神満点の大塚は、同日ランチ後のこのインタビューも快く受けてくれた。

オーカグローバルサポート公式Xより

到着2日目にはチームメートとお出かけ

同年代のチームメートであり、同じポジションでもあるガルディーニと(写真提供:Powervolley Milano)
同年代のチームメートであり、同じポジションでもあるガルディーニと(写真提供:Powervolley Milano)
元気はつらつトレーニング(写真提供:Powervolley Milano)

「時差ボケはあります、そして1日がとても長くて」と言うわりには、元気はつらつと言った感じで疲れている様子は見えない。この日は到着してわずか4日後の8月26日。これまでのスケジュールを聞いてみると、なかなか盛りだくさんだ。

到着した8月23日は午前すぐに練習に顔を出し、アパートで少し休んだあとの午後のウェイトトレーニングにすぐ参加。徐々にでいいと言われていたが、24日にはしっかりボールを使った練習も行った。25日の初めてのオフは近所のスーパーに買い物に行ったり散歩をして過ごし、26日は前述の日本の中高生グループと面会、ウェイトトレーニング、ランチ後のインタビューの後に一度自宅に戻り、またボール練習が始まる。

国際大会でイタリアに来たことはあるものの、当然ながら住むのは初めてだ。4日しか過ごしていないが、ミラノは都会で何でもあるし、とても住みやすそうな印象を持っていると言う。チームメートはとても仲が良く、監督を含めてファイティング・スピリットがあふれていて自分に合っていると、笑顔があふれる。

「若手メンバーが2日目の練習後に出かけようと誘ってくれたんです。時差ボケあるんだけどって言っても、行くぞーって感じだったんで、よっしゃ行くか、って」

大塚は大阪・枚方市出身。筆者と同じ関西人同士、同じ早稲田大学出身ということを差し引いても、とても気さくに何でも答えてくれる。

そして自炊のメニューについて聞くと、

「ごはんと野菜、肉系、ヨーグルトと果物。だいたいバランスよく取れてればオッケー、ラクしたいので適当ですね」

イタリア在住歴の長い筆者が思うに、この性格は完全にイタリア向き!その明るさからか、初日からずっと練習前の円陣の掛け声も担当しているという。(下に記事が続きます)

今日覚えたイタリア語は?

9月4日に行われたヴェローナとのテストマッチは惜しくも3-1で敗れたが、大塚は11得点をあげた(写真提供:Powervolley Milano)
9月4日、ヴェローナとのテストマッチで(写真提供:Powervolley Milano)
8月30日、ピアチェンツァとのテストマッチで(写真提供:Powervolley Milano)

チームメートの半分は国際大会などで面識があるが、半分は初対面だ。彼らとは英語で話しているが、特にイタリア語での説明の時にはルアティ(フランス代表)が英語で、日本でプレー経験のあるカジスキ(ブルガリア)はなんと日本語でフォローしてくれ、皆が気を使ってくれている。また日本好きで日本語も勉強しているカネスキ(イタリア)は、いちいち食べたラーメンの写真など頻繁にメッセージを送ってくるそうだ。

イタリア語はテキストとインターネットで自習している。それに加え「練習中にCome si dice ほにゃらら in italiano?(コメ シ ディーチェ ほにゃらら イン イタリアーノ?=ほにゃららはイタリア語でなんと言いますか?)って聞いて教えてもらって、習った単語をノートに書いてます!」と、気になる単語はすぐに聞いて覚えるようにしている。

ちなみにこの日に覚えた単語は、ancora(アンコーラ=まだ、もう一度)とadesso(アデッソ=いま)。ちなみに一番最初に覚えたイタリア語は「Ci vediamo domani(チ ヴェディアーモ ドマーニ(また明日)」、意外にも教わったのはパンサーズ時代(現大阪ブルテオン)のチームメート、ミラノで石川とチームメートでもあったジェスキーからであった。

ティリ監督「パリでアピールしてから」

得意なディフェンスを中心に存在をアピール(写真提供:Powervolley Milano)
得意なディフェンスを中心に存在をアピール(写真提供:Powervolley Milano)
「一番惹かれたのがミラノ」(写真提供:Powervolley Milano)
「一番惹かれたのがミラノ」(写真提供:Powervolley Milano)

このように海外初挑戦とは思えない適応力を見せる大塚だが、いったいいつから海外を意識し始めたのだろうか?

「海外移籍を意識したのは東京オリンピックから。やはり世界で戦うにはもっと成長しないといけないと思って。でも大学では教員資格の授業もあって、大学に在籍しながら1月〜3月にイタリアに行くというのは無理でした。そんな時にパンサーズ(現大阪ブルテオン)さんに声をかけてもらい、大阪から週に一日、東京に帰って授業を受け、無事に単位を取ることができました」

と当時を振り返る。卒業後の進路については

「日本で頑張って、パリオリンピックでしっかりとアピールしてから海外挑戦しても遅くないんじゃないか?」

というパンサーズ(現大阪ブルテオン)のティリ監督の言葉が響いた。

海外からオファーが来るように活躍しないと、というプレッシャーもあったのでは?と質問したが、それは全くなく、VリーグではVリーグで、代表では代表でとその時々のことをしっかりとやることに集中していたそうだ。

ちなみにミラノからオファーが来たのは今年の2月。イタリア内外の他チームからのオファーもあったが、海外チーム事情に詳しい代理人からの情報から一番惹かれたのがミラノだった。

同じ環境にずっと身を置くよりも環境を変えたい。パリオリンピックからのこの4年間は自分のバレー人生において一番面白い時期だからいろいろ挑戦したい。待ちに待ったチャンスだった。(下に記事が続きます)

楽しすぎてホームシックなし

「練習に行くのが待ちきれない」(写真提供:Powervolley Milano)
9月29日からリーグ戦開幕(写真提供:Powervolley Milano)
同じ2000年生まれのセッター・ゾンタと(写真提供:Powervolley Milano)

「毎日が本当に濃くて、楽しくて。一足先にイタリア入りしている垂水選手とも連絡を取り合っているし、予想に反してホームシックはほとんどありません。練習に行くのが、人と会うのが待ちきれない毎日は忙しすぎて、しかも楽しすぎて、寂しくなる瞬間がないんです」

と屈託のない笑顔で目を輝かせる大塚。しかし、試合の話になると顔つきが変わった。

リーグ戦開幕は9月29日の予定。その前にはイタリア強豪3チームとフランス1チームで行われるイエージカップを9月14日に控えている。今季はリーグ戦やコッパイタリアに加え初めてチャンピオンズ・リーグにも出場するため、試合数と移動距離も格段に増える。

「このハードスケジュールでは誰が出ても活躍できるよう、チーム一丸となって戦うことが重要。少しでも試合に出られるよう、得意なレシーブを中心に練習から常にアピールしていく」と顔を引き締めた。

来伊まだ4日でこの頼もしさ。ここイタリアで躍動する大塚の姿を見るのが楽しみでたまらない。

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