私が新聞社のプロ野球担当だったころ、最も頻繁に取材していた思い入れのある投手が日本球界に復帰する。
10年間の米国での挑戦を経て、2025年12月16日、東北楽天ゴールデンイーグルスへの入団会見をした「マエケン」こと前田健太投手(37)だ。
彼がセ・リーグ投手3冠(最多勝、最優秀防御率、最多奪三振)を獲得し、先発投手の栄誉である沢村賞にも輝いた「全盛期」の2010年、私は彼が「若きエース」だった広島カープの番記者だった。
当時、茶髪でまだ線が細かった22歳の「マエケン」は2015年に海を渡り、37歳になって楽天へ。オンライン会見で久しぶりに対峙した彼は伸ばしたあごひげがさりげなく、異文化で揉まれた風格をまとっているように見えた。
酸いも甘いも味わったメジャー挑戦の10年を「世界は広いなと思いました。自分よりすごい選手がたくさんいて、色んな国の選手と同じチームでプレーすることによって、日本人の素晴らしさだったり、逆に違う国の素晴らしさを吸収することができました。そういう部分では人として成長できたと思います」と振り返った。
メジャーではロサンゼルス・ドジャースを皮切りに、ミネソタ・ツインズ、デトロイト・タイガースと渡り歩いて、3球団で通算68勝。右ひじの手術によるブランクもあった。そして2025年シーズンはタイガース退団後、シカゴ・カブス傘下3Aで調整中にメジャー復帰が叶わぬまま、日本球界復帰を決断した。(下に記事が続きます)
「200勝は遠いけど、一つひとつ」
マエケンの背番号は「18」に決まった。彼の同級生で、楽天の「18」をかつてつけていた田中将大は昨シーズン、移籍した巨人で、しかもやっとの思いで、日米通算200勝を達成した。私はその試合を親友と東京ドームで観ていた。そんな背番号18をつけていいのか、一時ためらったという日米通算165勝のマエケンは、「田中将大のことはとても尊敬していて、ずっと背中を追いかけてきた選手。今すぐではなくても、この18番をつけて、野球に取り組む姿勢、チームへの勝利に貢献する姿勢をみて、(楽天ファンに)認めてもらいたい」「200勝はまだ少し遠いので一つひとつ積み重ねていきたい」。負けん気は胸にしまい込んで、謙虚に語ったのには、好感が持てた。
少年時代、野球よりもサッカーが好きで、いまも現役の三浦知良(58)に憧れていたと話していたマエケンを思い出す。「カズ」まで頑張れとは言わないけれど、Age is just a number(年齢はただの数字)という言葉を贈りたい。アメリカで10年もまれた、彼の投手としてのもうひと踏ん張りを楽天で観たい。そう思っている。
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