2月も終わります。今月も様々なスポーツシーンでアスリートが放つ、心が動く言葉に出会いました。勝っても負けてもアスリートが放つ言葉には思いがこもり、それに私たちは勇気づけられます。「ペンで、心を動かす」をミッションに掲げる”Pen&Sports” [ペンスポ] では毎月末、アスリートが語った印象的な言葉を独自に切り取り、お届けします。
私にとって何より大切なのは、バスでの大谷ストーリー
ミゲル・ロハス(大リーグ・ドジャース)
2024年2月6日、ポッドキャスト番組「Chris Rose Rotation」に出演して
ベネズエラ出身の内野手ロハスは、ドジャースには移動するバスの中で新しく加入した選手がエピソードを話したり、ルーキーは歌を披露したりするならわしがあることを紹介、「大谷が語るストーリー」への期待感を表しました。
All I care is for Otani story on the bus.
care forには「~の世話をする」の意味のほかに、「~が好き」「~を大切にする」といった意味でも使われます。
おもしろいことを言わなければ後ろのトイレに座っていなくてはならないそうで、7億ドルプレーヤーと言えども、ちょっとドキドキ?転校生気分を味わいそうですね。
お前の吠えが必要だ
宮崎 早織(バスケットボール女子日本代表、ENEOSサンフラワーズ)
2023年2月9日、パリ五輪世界最終予選でハンガリーに敗れたあとのミーティングで、チームメートの馬瓜エブリンに対して
バスケットボール女子日本代表はパリ五輪出場をかけた2024年2月8日の初戦、スペインに86-75で勝ちました。続く2月9日、ハンガリーには75-81で敗れました。2月11日のカナダ(FIBAランク5位)戦で86-82で勝ち、パリ五輪行きを決めました。
帰国した2月13日に開かれた記者会見で、馬瓜エブリン(デンソー アイリス)は「正直、ハンガリー戦の後から、生きた心地がしませんでした」と、素直な思いを打ち明けました。ハンガリー戦の後のミーティングでは、宮崎選手から「お前の吠(ほ)えが必要だ。お前の吠えが、ハンガリー戦では足りなかった」と鼓舞されたそうです。
「どうやら勝つしかない」。そんな強い思いとともに結果を出した選手たち、パリでも活躍を期待したいですね。
パリ五輪行きを獲得したチーム・選手に対する英語表現として”punch a ticket to Paris 2024”という言い回しをよく見かけます。殴るといった意味のpunchは、ここでは「切符にパンチする(切る)」で、ガチャン!さあ出発!といった力強さを感じます。
”Japan’s women’s basketball team punches Olympic ticket with victory over Canada”.
おめでとうございます!
ただ笑ってほしかったんだ
シェーン・ローズ(豪州の馬術選手)
2024年2月、乗馬イベントにマンキニ姿で出場して
五輪3大会(北京、リオデジャネイロ、東京)障害馬術団体で三つのメダルに輝いたシェーン・ローズ(50)は2024年2月11日、シドニー近郊のワラビーヒルで行われた非公開の乗馬大会で、なんと男性用ビキニ(マンキニ)を着用して出場しました。その動画がSNSで世界中に拡散し、オーストラリア馬術協会が問題視。一時、ローズに対し、すべての競技会に暫定出場停止を発表しました。
その非公開の乗馬イベントは仮装することが奨励されていたといいます。ローズ選手はコメディ映画のキャラクターをイメージしてマンキニを着用したといい、「数日後には笑い話になると思っていた」「誰かを傷つけるつもりはなかった。心からおわびする」などとフェイスブックですぐに謝罪しました。
ニューヨークタイムズ紙によると、「ドレスアップする大会だったし、マンキニで行ったら面白いと思ったんだ。ただ笑いを取るためだったんだよ」としています。
“It’s a dress-up competition, and I thought it’d be funny to go in a mankini,” Rose said in an interview, according to the New York Times. “That’s what I was intending − just to have a laugh.”
SNSでは「馬術協会の対応はひどい」「私はローズを支持する」などのコメントが殺到しました。結局、協会はローズの出場停止処分を2月19日に撤回し、ローズは無罪放免となりました。ローズは「応援してくれたみんなに大きな感謝を。 私は復活し、パリ五輪に向けて全力を尽くします」とコメントしています。
自分自身のハードルを上げよう
デーブ・ロバーツ(ドジャース監督)
2024年2月15日、スプリング・トレーニングで全員が集合した初日のクラブハウスで
大谷翔平、山本由伸がジョインしたドジャースのロバーツ監督は、集まったメンバーを前に「自分のハードルを上げよう」と呼びかけた後、こう続けました。
Because at the end of the day, each one of you guys, has to feel that they’re the guy that wants to take that at-bat when it matters most. Everyone of you hitters can say, “I want to be that guy.”
1日の終わりに、君たちひとりひとりが、「最も重要な局面でその打席に立つのは自分だ」と感じなければならないからだ。打者のひとりひとりが「自分こそが」と言ってほしい。
語りかける口調が真摯で、静かな情熱を感じさせます。
気持ちも含めてどれぐらい感覚が戻っているか
高橋藍(バレーボール)
2024年2月27日、CEVチャレンジカップ決勝に出場して
足首のケガから回復途上にある高橋は、試合後のインタビューに「ケガをしてから自分のコンディションがどれぐらい戻っているか、気持ちの部分も含めてどれぐらい感覚がもどっているか、を確認する思いもありました」と答えました。
欧州バレーボール連盟が主催するCEVチャレンジカップではギリシア、ブルガリア、トルコ、ポーランドのチームとホーム&アウェーで連戦を重ねました。「特にアウェーで各国にいけたのは非常にいい経験になりました」。日本でバレーをプレーしていてはかなえられない、かけがえのない経験を積んでいます。
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