声で、拍手で、鳴り物で。スポーツ応援の手法はさまざまですが、ひいきのチームの選手たちを「似顔絵」で応援している素敵なご夫婦に先日、お会いしました。千葉県柏市在住の小椋官助さん(76)、良子さんご夫妻。スポーツ取材歴25年の私。記者席からは気づきにくいこんなクリエイティブな応援のかたちがあったんだと、目からうろこが落ちました。
夫が描き、妻が仕上げ

東京・大井ホッケー競技場ピッチサイドの垂れ幕に描かれた似顔絵(写真上)は、ホッケーの日本リーグ(HJL)女子、さくらリーグに所属するコカ・コーラレッドスパークスの選手たち。官助さんが、選手一人ひとりの髪型、目元、口元、利き腕にいたるまで、それぞれ特徴をとらえて再現し、良子さんがスキャン、文字入れ、貼り合わせなどをして仕上げます。こんなものを作ってもらえたら、選手はどんなにうれしいことでしょう。
ほのぼのしたタッチ。笑顔いっぱいの似顔絵が選手を見守り、勇気づけています。小椋さんご夫妻のボランティアによる「似顔絵応援」は、これまで女子ホッケーのほかハンドボールの試合会場でも選手を鼓舞し、ファンの目を楽しませてきました。
広島転勤でハンドボール、ホッケーにハマる
良子さんによると、官助さんは若いころから、よくいたずらで会社の同僚の特徴をデフォルメして似顔絵を描いていたそうです。でも、「あくまで趣味の領域で」。それが、官助さんが勤務していた会社の広島転勤がきっかけで、アスリートに対する「似顔絵応援」が始まりました。最初は陸上選手、そしてラグビーチーム。当時は模造紙に直に描いていたのだそうです。
広島に行ってからハンドボールの面白さに初めて触れ、応援仲間からホッケーも面白いぞと言われて、ホッケー観戦へ。「似顔絵応援をするようになって、選手の皆さんの喜ぶ顔を見て、夫もうれしくなって。それ以来ずっーと似顔絵応援が続いている次第です」。官助さんが定年退職したあとは「似顔絵応援」による選手や応援仲間とのふれあいが一番の楽しみになったといいます。(下に記事が続きます)
似顔絵名刺はネットワーキングツールに
私が小椋さんご夫妻にお会いしたのは2025年1月31日。都内で開かれたハンドボールファミリーの懇親会でした。約20人のほとんどの方とは初対面だったのですが、驚いたのはほとんどの方が、小椋さんご夫妻作成の似顔絵名刺を持っていて、私に差し出してくれたことでした。小椋さんの似顔絵は、ハンドボールという競技でつながる全国の仲間のネットワーキングツールにもなっていたのです。
「良かったら、原田さんのもお作りしますよ」と言われて舞い上がりました。良子さんから正面と真後ろから写真撮影していただいて、「スーツがいいですか?それとも普段着?」と聞かれました。そして、出来上がりが、ジャジャーン!こちら!実物よりもシュッとして、男前に描いていただきました。

チームとファン、そして競技を愛する仲間との距離をグッと縮める「似顔絵応援」。小椋さんご夫妻のサービス精神と続ける根気、そして何といってもこのクリエイティビティに胸を打たれました。
ペンスポニュースレター(無料)に登録ください
スポーツ特化型メディア“Pen&Sports”[ペンスポ]ではニュースレター(メルマガ)を発行しています。「へぇ」が詰まった独自ニュースとスポーツの風を届けます。下記のフォームにメールアドレスを記入して、ぜひ登録ください。
\ 感想をお寄せください /
コメント一覧 (1件)
原田様
先日はお世話になりました、ハンドボールファンの恩田道代です。
タイムリーな、小椋さんの記事や小坂さんの記事、心が踊ります。
名刺凄く似ていますね~
またお会いできることを楽しみにしています。