邉木薗結衣(飛騨高山ブラックブルズ岐阜)身体能力系

一番多くのシュートに関わるのはエースではなくGKです。エースは取っても1試合に10点。GKは1試合に15本前後シュートを阻止します。だからGKにチームで一番動ける人を置くべきですし、そういうチームが増えてきました。
岩下祐太(ジークスター東京)は日本代表の常連で、ベテランになっても動きのよさは健在です。ダグル・シグルドソン監督時代には、爆発的な動きを評価されていました。トニー・ジェローナ監督も「岩下は日本のナンバーワンGKだ」と言って、岩下を代表に呼び戻しています。若い頃は気持ちのムラがありましたが、ジークに移籍後は高値安定が続いています。
甲斐昭人(ジークスター東京)は、身体能力系GKの走りとも言える存在。小林工業(現小林秀峰高校、宮崎)の北林健治監督(2026年3月まで、熊本ビューストピンディーズGKコーチ)が作り上げた「最高傑作」です。ジークでは岩下祐太、大山翔伍がよすぎて、出番が減っていますが、技術はまだ錆びついていません。
邉木薗結衣(飛騨高山ブラックブルズ岐阜)は、高い運動能力をキーピングにうまく反映させています。瞬発力がありながら早動きはせず、たとえ止められなかったとしても、最後まで体の中心をボールに近づけていきます。こういう「可能性のある止め方」をしているから、邉木薗の阻止率は非常に高く、2026年3月8日時点で.373のリーグ4位です。下位チームはGKがノーマークシュートにさらされるため、阻止率が低くなりがちなのに、10位のブルズにいる邉木薗がシュート率ランキングで上位にいるのはすごいことです。
ちなみに今季のブルズが1勝13敗でも、邉木薗と相手の主戦GKとの阻止率対決は、邉木薗の5勝9敗です。邉木薗が阻止率.471の日でも、フレヤ・ハマー(アランマーレ富山)が.500の試合もあるなど、GK対決には僅差の負けも含まれています。結論としては、邉木薗はもっと評価されていいGKだし、ブルズはもっと点を取りましょう。(下に記事が続きます)
島袋翔(琉球コラソン)沖縄系爆発力

小学生ハンドが盛んな沖縄は、ハンドリングが上手な選手が育ちます。GKも身体能力が高くて、反応のいい選手が出てくる傾向があります。
西原雄聖(トヨタ自動車東日本レガロッソ宮城)は身のこなしがよく、抜群の反応でシュートを防ぎます。ふいを突かれた時にもサッと手を伸ばして、シュートを枠外に弾き出します。上のシュートを反応で止めた直後に、上体を反らす姿がとても絵になります。
その西原が「僕よりも反応がいい」と認めているのが、同学年で腕を競い合った島袋翔(琉球コラソン)。アクロバティックなセーブから素早いパス出しにつなげます。とても野性的で、サッカーのGKのような反応を見せることもあります。
比嘉楓(香川銀行シラソル香川)は大阪体育大学時代から、日本選手権でリーグH勢を苦しめてきました。ダイナミックなセービングをするので、169㎝の身長以上に大きく見えます。2026年2月から香川銀行に合流し、阻止率.467の隠れ阻止率1位です。
笠野未奈(アランマーレ富山)爆裂スライディング

世界のトップクラスの技術です。爆発的なスライディングから、面を崩すことなく下のボールに体ごと飛び込んでいきます。日本代表で言えば亀谷さくら(モルデ/ノルウェー)がこのスライディングを世界選手権でやっていました。
2025年12月の世界選手権で、亀谷のスライディングを何度も映像で見たあと、日本選手権の取材に行ったら、笠野未奈(アランマーレ富山)が同じようなスライディングをやっていました。2m×3mのゴールの枠をはみ出るくらいの勢いで、下のボールに滑り込んでいました。ただ腰を落としてストンと滑るのではなく、反対側の足で強く蹴って、なおかつ上体を崩さずに手を上げているから、広い範囲をカバーできます。笠野は「意識して取り組んできた動きです」と言っていました。菊池啓太GKコーチと磨いたワールドクラスの技です。
加藤芳規(ブレイヴキングス刈谷)ファイター

どの競技でも「プロフェッショナルは一喜一憂しない」のが基本ですが、喜怒哀楽を出す選手の方が、見ていて楽しいのも事実です。闘志むき出しのGKは、会場の空気を支配します。
「吠えるGK」と言えば、やはり加藤芳規(ブレイヴキングス刈谷)です。シュートを止めたら、大きな声を出してガッツポーズ。「無意識でやっているから、どんな動きをしているかわからない」というガッツポーズは、いつまでも初々しく、洗練されていない感じが加藤らしさとも言えます。最近はゴールのバーを叩く動きも加わり、ワーワー、バンバン、大騒ぎです。
原口宙輝(安芸高田わくながハンドボールクラブ)もよく声が出るファイター。俊敏な身のこなしでシュートを止めて、スローイングも一級品。チームの士気を高める声かけも上手で、身長が5㎝足りない以外は、GKに必要なツールをすべて兼ね備えています。最近は「プレーの根拠が、自分のなかで説明できるようになってきた」と話していました。反応のよさに根拠と再現性がついてきて、これからが「ぐっさん」の最盛期です。
衣笠友貴(富山ドリームス)は見るからに「大阪の兄ちゃん」のような風貌で、盛り上げ上手。勝負どころで衣笠が止めると、盛り上がります。
2026年2月で退団しましたが、神谷美名(元三重バイオレットアイリス)の声は大きな武器でした。最後尾から大きな声を出して、DFラインを押し上げます。年明けからバイオレットが高いDFできっかけをつかめたのも、神谷の声があったからだと思われます。「運動能力は姉(神谷怜名、元飛騨高山ブラックブルズ岐阜)だけど、声なら負けない」と言います。安定感が出てくれば、新天地でも必ず出番はあるでしょう。(下に記事が続きます)
田口舞(熊本ビューストピンディーズ)ムードメーカー

大騒ぎするタイプではないのですが、なぜかチームの雰囲気をなごませる選手がいます。愛される人柄もまた、ひとつの才能です。
犀藤菜穂(ハニービー石川)は主に7mスローで出てきて、シュートを止めたらニコニコの笑顔でベンチに戻ります。三日月のような目で笑う姿は、日本代表でも多くのファンの心をつかんでいました。とにかく犀藤が止めると、チームの空気がガラッと変わります。河合辰弥ヘッドコーチは「厳しくいきたいときは馬場敦子。明るくいきたいときは犀藤菜穂」という使い分けをしているそうです。場の空気を考慮したGKの交代もおもしろいですね。
38歳の田口舞(熊本ビューストピンディーズ)は女子最年長選手でありながら、いつまでもひたむきに己を高めています。歳を重ねたらこだわりが強くなりそうなのに、最新の技術を素直に取り入れ、年下からの意見も素直に吸収します。リーグ指折りの人格者で、限られた出場時間でも結果を残し、ベンチにいても雰囲気をよくしてくれます。
大山翔伍(ジークスター東京)新人らしからぬ落ち着き

ゴールの前にただ一人。GKは孤独なポジションです。ベンチからの声があるとはいえ、自分で自分をコントロールしないといけません。若くしてメンタルに波のない選手は、それだけで将来有望です。
大山翔伍(ジークスター東京)は激しい競争を勝ち抜き、開幕当初から結果を残しています。佐藤智仁監督は「大山は若いけど大御所感がある」と、大山の落ち着きを評価していました。小さな体を小さく見せない構え。リーグHで何年も戦っているかのような風格。大事なところでの大当たり。最優秀新人賞の有力候補です。
中村理乃(イズミメイプルレッズ広島)は1年目からインパクトのある働きを見せています。キャプテンの山本春花が崩れても、中村で立て直せるから、今季のメイプルは戦えています。橋本千里(元北國銀行、現国士館大女子GKコーチ)、榊真菜(HC名古屋)を輩出した、川崎市立高津高校(神奈川)の出身。高津高校はGKの名産地です。





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