サッカーの2026年FIFAワールドカップ(W杯)アジア最終予選で、日本代表(世界ランキング15位)が2025年3月20日、バーレーン(世界ランキング81位)に2-0で勝ち、8大会連続8回目のW杯出場を決めた。開催国として出場が決まっている米国、カナダ、メキシコを除けば、日本の出場権獲得は世界で1番乗り。2026年のワールドカップから出場枠はこれまでの32チームから48チームと1.5倍に増え、アジア枠も4.5から8.5と門戸が広がったとはいえ、最終予選3試合を残しての日本の本戦切符獲得は史上最速だ。着実に力をつけているサッカー日本代表は次のワールドカップ本戦でどこまでやれるか。今から期待が高まる。
招集27人中22人が海外組
日本代表のレベルアップの背景には主力のほとんどが、世界的な強豪クラブでプレーしている「日常」にあると感じる。大リーグ・ドジャースの大谷翔平も、バレーボール日本代表でペルージャで主力を張る石川祐希もそうだが、代表の大半が海外でプレーしているサッカー日本代表の「外向き」傾向は顕著だ。
現在代表に招集されている27選手のうち国内のJリーグでプレーしているのは、かつてインテルなどでも活躍した長友佑都(FC東京)ら5人だけ。22人が現役の「海外組」だ。この現状は海外メディアでも驚きをもって報じられている。ドイツ1部の名門バイエルン・ミュンヘンでプレーするDF伊藤洋輝や、イングランドのプレミアリーグ強豪リバプールで先発争いをする代表キャプテン遠藤航らの海外組は日々、W杯本番でマッチアップする可能性がある各国代表の相手やチームメートと対峙し、しのぎを削っている。(下に記事が続きます)
「修羅場での経験不足」と評されたドーハの悲劇
いまから32年前、1993年10月にワールドカップ初出場を目前で逃した「ドーハの悲劇」当時の日本代表は全員が「国内組」だったことを踏まえると隔世の感がある。本戦出場を逃した当時のオフト監督は「修羅場での経験不足」を理由に解任された。
バイエルン・ミュンヘンの伊藤が「高いクオリティの日常が今につながっている」と話す通り、現在の日本代表はワールドカップ本戦やアジア最終予選が日常の延長線上にあり、「修羅場」ではなくなりつつある。その自信と経験の積み重ねが、近年のサッカー日本代表をよりたくましくしていると感じている。
SAMURAI BLUE、バーレーン代表に2-0勝利で8大会連続ワールドカップ出場決定 #jfa #daihyo https://t.co/25UUzZrknr pic.twitter.com/UtOGg7C6fh
— サッカー日本代表 🇯🇵 (@jfa_samuraiblue) March 21, 2025
先制点の鎌田「努力続けた証」
3月20日のバーレーン戦。先制点ゴールを決めたのは、プレミアリーグ中堅のクリスタルパレスでレギュラー争いにもがくMF鎌田大地だった。MF久保建英からのパスに反応し、中央突破してのゴール。途中出場してからわずか3分後の技ありシュートだった。
「GKと1対1になって、普段練習でやっていることが出ました」「普段こういうタイミングでなかなか点を取ることができる人生ではなかったんですけど、きょうはいいとこどりができたかなと思います。たくさん難しいことがありますけど、努力を続けてきた証かなと思います」と試合後に話した鎌田。
プレミアリーグで出場機会が限られる毎日がまさに「修羅場」だからこそ、その経験が生きて普段通りのプレーができたのだろう。途中出場から3分後のプレーを「人生」という言葉を使って振り返った28歳の人知れぬ努力に思いを馳せた。
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