国際オリンピック委員会(IOC)は2024年1月12日、全世界で五輪マークを独占的に使用した商業・プロモーション活動が認められる最高位のTOPパートナー(ワールドワイドパートナー)として、ビール世界大手のアンハイザー・ブッシュ・インベブ(ABインベブ)と新たに契約を締結したと発表した。対象期間は2024年パリ大会から、2026年ミラノ・コルティナ冬季大会、2028年ロサンゼルス大会まで。酒類カテゴリーの協賛はこれまで、東京五輪・パラリンピック時のアサヒビールなど、特定の五輪・パラリンピック大会組織委員会と契約を結ぶケースはあったが、IOCと直接契約を結ぶTOPパートナーにビール会社が加わるのは史上初めて。IOCのTOPパートナーは日本のトヨタ、パナソニック、ブリヂストンを含め16社となった。
パリ2024協賛の看板”コロナ・セロ”
ABインベブはベルギー・ルーベンに本社を置く、世界最大の醸造会社で500以上のブランドを世界150か国で販売、展開する。バドワイザーやヒューガルデン、コロナエキストラなどの有名ブランドを保有するが、五輪協賛の看板商品として投入するのはノンアルコールビールの「Corona Cero(コロナ・セロ)」だという。セロはスペイン語で「ゼロ」。なぜノンアルコールビールなのか。
パリ五輪はアルコール提供禁止
これには、2024年パリ五輪・パラリンピックの大会組織委員会が、競技会場でのアルコールの提供をVIPを除いて禁止するという方針を打ち出していることが背景にありそうだ。大会期間中はスタジアム内でのアルコールとたばこに関するフランスの国内法が適用され、一般客に対するアルコール販売が禁止される見込み。しかし、今回の契約締結によって、会場でノンアルコール商品「コロナ・セロ」が販売OKとなる可能性が高まった。
ABインベブの発表によると、2028年のロサンゼルス大会ではアルコール含有量3.5%のライトビール「ミケロブ・ウルトラ」のブランドを全面に出し、大会や米国選手団をサポートするとしている。
2012ロンドン、2016リオ五輪は会場でビール販売
過去の五輪をめぐっては、2012年ロンドン大会、2016年リオデジャネイロ大会では競技会場でビールとワインの販売が認められていた。
2020年に予定されていた東京大会でも当初、競技会場で酒類を販売する前提で2015年にアサヒビールがスポンサー契約を締結。競技会場や選手村などで、ビール、ワイン、酎ハイ、ノンアルコールビールについて、独占的に提供・販売できる契約を結んでいた。しかし、新型コロナの感染拡大で大会が1年延期となり、緊急事態宣言下では飲食店でさえ、酒類の提供が制限された。東京五輪・パラリンピック大会組織委員会はぎりぎりまで、アサヒビールの権利を守ろうと、会場での酒類販売を模索したが、「五輪だけ優遇されるのか」などの世論の反発を受け、さらに、大半の会場が無観客となったため、会場でのアルコール販売は実現しなかった。
【IOC TOPパートナー】
airbnb(宿泊施設) アリババグループ(ECサービス、情報技術) アリアンツ(保険) アトス(情報技術) ブリヂストン(タイヤ、免震ゴム、自転車) コカ・コーラ/ 蒙牛乳業(ノンアルコール飲料、乳製品) デロイト トウシュ トーマツ(会計事務所) インテル(情報機器) オメガ(時計、計時、採点システム) パナソニック(音響・映像機器) P&G(家庭用品) サムスン(無線通信機器) トヨタ自動車(モビリティ) Visa(クレジットカード他決済システム) ABインヘブ(酒類)
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