ハンドボール女子のパリ五輪世界最終予選は2024年4月12日(日本時間同13日未明)、ハンガリーのデブレツェンなどで第2日が行なわれ、トーナメント1(日本、スウェーデン、ハンガリー、英国)の日本は英国に43-16(25-9, 18-7)で快勝した。日本は通算1勝1敗とし、勝ち点2を挙げた。この試合に先立ち行なわれた欧州対決は、地元ハンガリーがスウェーデンに28-25(15-11, 13-14)で勝ち、2連勝のハンガリーが勝ち点4の首位に立った。日本は中1日の休養日を経て4月14日(日本時間同15日未明)にハンガリーと対戦する。4チーム中上位2チームが獲得するパリ五輪出場権の行方は14日の結果次第となった。(取材協力:エバー航空)※4月12日終了時点の星取表は以下の通り。
ハンガリー | 日本 | スウェーデン | 英国 | 試合数 | 勝 | 分 | 敗 | 総得点 | 総失点 | 得失点差 | 勝点 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ハンガリー | ー | 28〇25 | 49〇11 | 2 | 2 | 0 | 0 | 77 | 36 | 41 | 4 | |
日本 | ー | 28●35 | 43〇16 | 2 | 1 | 0 | 1 | 71 | 51 | 20 | 2 | |
スウェーデン | 25●28 | 35〇28 | ー | 2 | 1 | 0 | 1 | 60 | 56 | 4 | 2 | |
英国 | 11●49 | 16●43 | ー | 2 | 0 | 0 | 2 | 27 | 92 | -65 | 0 |
※スペイン・トレビエハで開催中のトーナメント2では12日までに、2連勝したオランダとスペインがパリ五輪出場権を獲得した。
スウェーデン敗れる波乱、パリ切符の難易度上がる
ハンガリー会場で4か国が争うパリ五輪の2枚の切符の行方は、日本―英国戦の試合前に少し複雑になった。2021年東京五輪4位、昨年の世界選手権でも4強と最も実績があるスウェーデンがハンガリーに敗れる波乱があったからだ。
もし、スウェーデンが順当に勝っていれば、最終日に最も実績がない英国戦を残すスウェーデンの1位通過が確実となっていただろう。それならば、日本は2位通過狙いに専念できた。つまり、最終日のハンガリー戦は点差に関係なく、勝てば2位が決まっていた。(下に記事が続きます)
得失点差も絡む状況「開き直ってすべて出す」
ところが、状況は一変した。日本が14日にハンガリーに勝ったとしても、勝ち点4でハンガリーと並ぶ。そのうえで得失点差次第で2位が決まる状況になってしまった。
日本の楠本監督は英国との試合後、「得失点差が絡む状況になって、ただ勝てばいいというのではなく、ハードルが少し上がったかな」と話した。会場全体がハンガリーの応援一色に染まったハンガリー-スウェーデン戦をスタンドで観戦した。「ハンガリーは会場の雰囲気にも押されて強気にプレーしていた。それをまともに受けてしまうと苦しくなる。相手の勢いをつぶすようなゲームができたら」。早くも14日のハンガリー戦に意識を向ける。
「ハンガリーはおそらく、得失点差も意識してゲームコントロールしてくる。そうなれば、日本は開き直って、これまでやってきたことをすべて吐き出して帰ろうと選手には伝えるつもりです。重圧で緊張したり、プレーが萎縮してしまうと、そこまでだったということ」と楠本監督。昨年12月の世界選手権(デンマーク)で、日本が強豪デンマークに1点差で競り勝った成功体験を例に挙げ、「完全アウェーのなかでも、自分たちらしさを出せるように。力に変えていけるようにしたい」と力強かった。
登録20人全員起用「自己アピールを」
この日の英国戦。日本は前半から10連続得点を奪うなど、スタートダッシュが決まった。後半もPV佐原奈生子の4連続得点などで攻め手を緩めない。しかも、ベンチメンバー16人全員を使う総力戦で、攻守のバリエーションを惜しみなく出し切った。
楠本監督は前日のスウェーデン戦でベンチを外れた4選手をこの日はベンチに送り込んだ。ここ2試合で20人の登録メンバー全員を試合に出場させた。「ハンガリー戦では一番状態がいい選手を使いたいと、ミーティングのなかで選手には伝えました。なのでこの2試合で、それぞれ自己アピールをしてくれと言いました」
秋山なつみ、ハンガリー戦へ存在感
スウェーデン戦ではベンチ外だったハンガリー1部リーグ、キスヴァルダ所属のRW秋山なつみもアピールした。強気のディフェンスで2度の退場を食らいはしたが、切れのある速攻から2本放ったシュートを確実に決めて存在感は示した。ライバルのハンガリー代表には同じ所属チームのチームメートがいる。「選手の特徴を聞かれれば、この選手はこういうタイプだと教えたりします」とハンガリーの内情を知る貴重な存在だ。
菊池杏奈は3得点「いい状態でコートに」
同じく、スウェーデン戦でベンチ外だったLB菊池杏菜も英国戦では後半途中から攻撃のアクセントになり、自らの3得点でアピールした。「どこで準備したらいいか試合の流れをみながら予測しています。ハンガリー戦でも常にいい状態でコートに立てるようにしたい」。苦しい場面で試合の流れを変える役割に専念する。
POMの佐原奈生子「十分チャンスある」
チーム最多タイの7得点を挙げて、英国戦の最優秀選手(POM)に選ばれたPV佐原奈生子も万全だ。「パリ五輪出場権は得失点差も関係があるので、英国戦では点差が開いても1点でも多く加算する意識で、チーム全体が走れた。やるべきことは明確になっている。ハンガリーは個の力が強いけれど、日本は2人で守ったり、ミスをカバーしながら、チームで戦えば十分チャンスはある」と話した。
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