【ハンドボール】女子日本代表にソウバク新監督 「ハングリーであれ」

日本ハンドボール協会（JHA）は2025年6月18日、東京・味の素ナショナルトレーニングセンターで、ハンドボール女子日本代表（おりひめジャパン）の新監督を発表しました。新監督は、2013年の世界選手権でブラジルを世界一に導いたモーテン・ソウバク氏。ブラジルやアンゴラなどで指揮を執った60歳のデンマーク人監督です。

ブラジルを世界一に導いた名将

2024年4月のパリ五輪世界最終予選終了後から時間があきましたが、ビッグネームが日本女子代表を率いることになりました。モーテン・ソウバク氏です。デンマーク出身の60歳は、高校まではプレーメーカー（センター）でしたが、大学からコーチ業にシフトしました。デンマークやブラジルの男女クラブチームを率いたのち、2009～16年は女子ブラジル代表監督を務めました。2013年のセルビア世界選手権では、金メダルを獲得しています。2017～20年はアンゴラ女子を率いて、2019年の熊本世界選手権では15位でした。（下に記事が続きます）

知性とスピードで勝負

これまでの日本女子代表の印象を聞かれたソウバク監督は「日本はインテリジェンスを感じるチームだ」と言い、「モダンハンドボールでは速さが求められる。今後は速く走れる選手が重要になってくる」とも言っていました。「ヨーロッパのスタイルをコピーするのではなく、日本人のDNAを尊重して、日本や選手個々に合った指導をしていきたい」と、柔軟な態度を見せています。日本人で世界に対抗する大型選手を見つけるのは難しいので、スピードで世界トップを目指したいといいます。

DNAを尊重し、個人に合った指導がモットー

会見のなかで何度も出てきた言葉が「DNA」でした。「生まれ育ってきた環境が違うから、その人のキャリアを尊重したい」という理由からです。ブラジル、アンゴラと未知の国に飛び込んできた、好奇心旺盛なソウバク監督は、それぞれの国に合った強化で、チームを強くしてきました。ブラジル時代は若手を登用し、オーストリアのクラブチームにブラジル代表選手を集めて、そのチームの監督も兼任することで哲学を落とし込んできました。専任で日本代表を見る今回は、また違った手法になるでしょう。（下に記事が続きます）

「選手もチームもハングリーで」

コーチング哲学では「ハングリーであること」を掲げています。「She must be hungry. Team must be hungry.(選手はハングリーでなくてはならない。チームもハングリーでなくてはならない)」がモットーです。「ハングリーかどうか見極めるのは難しいけどね」と言いつつ、選手のキャラクターまでじっくり見たいとのことでした。

正式就任は2025年7月から

2025年6月21日の日韓定期戦は、ソウバク監督は視察に徹し、2025年7月から正式に就任します。契約期間は2028年のロス五輪まで。「アジアを勝ち抜いてロス五輪出場と、世界のベスト8を目指したい」と、闘志を燃やしていました。

モーテン・ソウバク(Morten Soubak)　デンマーク出身、1964年8月6日生まれ。デンマーク、ブラジル等で男女クラブチームの監督を歴任し、2009～16年はブラジル女子代表監督、2017～20年はアンゴラ女子代表監督を務める。特に2013年のセルビア世界選手権では、ブラジルを世界一に導いた。若い頃から好奇心旺盛で探究心があり、異国文化を尊重しながら、ゆく先々で代表チームを強化してきた。まずは2025年11月から始まるオランダ・ドイツ共催の世界選手権が、最初のターゲットになる。