ハンドボールの男子世界選手権に出場している予選ラウンドF組の日本(彗星JAPAN)は2025年1月20日(日本時間1月21日)、ノルウェー・オスロのユニティ・アリーナでチリと対戦し、26-31(前半11-14)で敗れ、3連敗となった。この結果を受け、日本はF組4位(最下位)で予選ラウンド敗退が確定。今大会で日本が目標としていたÅ~Hの各組3位までの24チームによるメインラウンド(本戦)進出を逃した。日本は25〜32位決定戦のプレジデントカップにまわり、次戦は1月22日の26時から米国代表と戦う。
一方、日本に勝ったチリはF組3位となり、世界選手権8回目の出場で初のメインラウンド進出を決めた。
チリGK爆発 前半だけで13本シュートを止められる
打っても打っても止められた。日本はチリのGKフェリペ・ガルシアの再三の好セーブに苦しんだ。特に前半は7mスローコンテスト1本を含む13本のシュートをガルシアにセーブされ、ガルシアの前半の阻止率は驚異の57%。一方日本のシュート成功率は39%に抑え込まれた。
後半には、日本が立ち上がりから16分で四つのオフェンシブファウルを犯すなどして、攻撃のリズムを作れなかった。ターンオーバーも響いて逆に点差を広げられ、チリに逃げ切りを許した。(下に記事が続きます)
半年でパリ五輪の機運しぼんだ 世界選手権
日本男子が36年ぶりに自力による五輪出場権をつかみ、12チーム中11位だったパリ五輪から半年。1勝は遠かったが、カルロス・オルテガ監督が率いたパリ五輪の日本の戦いぶりを現地で取材して、男子代表の可能性や成長の余白を感じていた。初戦のクロアチアには試合終了と同時にシュートを決められたが29-30。スロベニアにも28-29と1点差まで追い詰め、接戦に持ち込んだ。
ベテランの渡部仁(トヨタ車体)や元木博紀(ジークスター東京)がどっしりと構え、世界で個を磨く安平光佑(ブルガンSC)、吉田守一(HBCナント)ら若手がかき回す。欧州チームの真似ではない。小さいけれど、攻撃には敏捷性、ディフェンスには献身性。五輪出場12チームのなかでも、日本はその時点のベストメンバーで、しかも特徴的なスタイルで世界に立ち向かっていた。五輪期間中はハンドボール男子の試合が地上波で放映されるなど、人気に火がつく機運があった。ハンドボールをこれまで観たことがなかった人が、「日本、やるじゃん」と思っただろう。
その機運がいま、しぼんではいないか。トニー・ジローナ監督率いる今回の日本代表に、その高揚感はなかった。目標のメインラウンド進出はならず、日本は現時点で世界のトップ24にも入っていない。そもそも、明らかにベストメンバーではない「日本代表」では、貴重な世界選手権の実戦の場で、本来の立ち位置がわからない。
格上のスウェーデン、スペインへの敗戦は仕方ないにしても、今回のメインターゲットだったチリ戦でのこの完敗はハンドボール関係者だけでなく、潜在的なハンドボールファンを失望させた。
監督のコメントにもあったように、今回の日本代表には「世界大会未経験が10人」。監督は世代交代のハンドルを急激に切りすぎてはいないか。国内の目が行き届く選手から、安易な代表選びをしていないか。監督、日本協会は現時点のベストメンバーで戦うために、本当の意味で力を尽くしているのか。そして、日本は次の2028年ロサンゼルス五輪で、どんなメンバーで、いかに世界と戦おうとしているのか。
若手に経験を積ませるだけの世界選手権で終わらせてほしくない。
トニー・ジローナ監督コメント
チリ代表おめでとうございます。試合開始から主導権を握られ、特に相手 GK のセーブに苦しみまし た。守備でも事前に準備したピボットや1対1の状況に対応しきれず、多くのミスが生じました。一方 で、選手たちは非常に難しい状況の中でも最後まで諦めずに戦い続けました。これから「プレジデントカップ」に向けて準備を進めます。オリンピックで素晴らしいプレーを見せた選手たちにとって、 今日の結果は非常に残念なものですが、試合を通じて貴重な経験と戦い方の重要性を教えてくれまし た。
徳田新之介選手 コメント
まず初めにチリの皆さんおめでとうございます。日本としてはゲームにたくさん準備してきて、いいイメージを持って試合に臨めましたが、チリの選手が 1枚上手で、日本が守りたかったポストだった り、重要な選手のシュートを守りきれなかったのが敗因かなと思います。次はプレジデントカップに回りますが、あと4試合、この4試合を無駄にしないように若い選手も多いので、しっかり経験を積んで次にいかせるように頑張っていきたいと思います。
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