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【ハンドボール】日本女子、韓国に24-25 | パリ五輪持ち越し | 主将・相澤「1点の重み」| ★詳報

ハンドボール女子パリ五輪アジア予選、日韓戦
日本‐韓国戦は序盤から競り合いに(撮影:多田千香子、以下すべて)
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パリ五輪出場権をかけたハンドボール女子のアジア予選最終日は2023年8月23日、ともに3連勝の日本と韓国が対戦。日本は前半を15-14で折り返しながら、24-25で逆転負けを喫し、この大会でのパリ五輪出場権獲得はならなかった。韓国がパリ五輪出場権を獲得した。2位の日本は来年の世界最終予選(12チーム中6枠)に回る。開催国枠で出場した2021年東京五輪を除き、1967年モントリオール五輪以来の日本女子の「自力」による出場権獲得は持ち越された。観客は1450人(主催者発表)。日本の韓国に対する連敗は18に伸びた。通算成績は7勝59敗2分。

ハンドボール女子パリ五輪アジア予選、キャプテン・相澤菜月
キャプテン・相澤は9ゴールを決めた
目次

前半:日本、スタートダッシュの5連続得点

相澤の7m日本3点目を挙げる
前半2分30秒、相澤が7mスローを決めて3点目を挙げる

日本は立ち上がり、LW吉留有紀の速攻、キャプテンのBP相澤菜月の連続ポイントなど、5連続得点のスタートダッシュを決める。「ジャイアントキリングの鉄則」を実践する理想的な立ち上がりで、試合の主導権を早々と握った。その後、韓国も日本ディフェンスに的を絞らせない多彩な攻撃でジリジリと盛り返し、一進一退の攻防となる。

それでも、GK亀谷のファインセーブで勢いづく韓国の流れを要所で断ち切る。前半27分に13-13の同点とされたが、逆転を許さない。韓国にとってはフラストレーションがたまる展開のまま、日本の1点リードで前半終了。

後半:7mスロー止められ、パスカットで速攻許す

後半にシュートを放つリュウ・ウニ
後半、シュートを放つリュウ・ウニ

韓国は得点源の背番号11リュウ・ウニと、23イ・ミギョンを中心に日本をかき回し始めた。日本はジリジリと追いあげられ、後半11分、イ・ミギョンのゴールでこの試合初めて18-19とリードを許した。日本のディフェンスは奮闘し、昨年12月の女子アジア選手権決勝で1人で19得点を決められたイ・ミギョンの個人技を何度も封じる。GK亀谷も1対1を再三止めた。しかし、勝負どころで7mスローを止められたり、パスカットで速攻を許すなど、「走るハンドボール」を標ぼうしてきた日本の足が止まった。得失点差で優位にあった日本は韓国に同点でもパリ五輪切符をつかめたが、結局24-25で力尽きた。パリ五輪切符を目前にしていた日本は1点に泣いた。

「1点の重みを感じた」

記者会見する相澤菜月
試合後の記者会見で話すキャプテン・相澤

試合後の記者会見。チーム最多の9得点を挙げた攻撃の要、キャプテンの相澤菜月(大阪体育大学→北國銀行)は試合を振り返るように求められた。「本日はありがとうございました」。真っ先にお礼を言ったあと18秒、言葉に詰まり、マイクを握りながら、涙をこぼした。

「日本開催(のパリ五輪アジア予選)ということで、たくさんの応援のなかで、こうやって試合できたことが…すごくうれしいですし、やっぱりこの試合で勝ちたかったです。あと1点の重みというものを改めて感じた試合だったかな、と思います」。悔やみきれない逆転負けにそう言葉を絞り出すのがやっとだった。

重すぎる1点差だ。

得失点差で韓国に対して優位に立っていた日本は、引き分けでもパリ五輪出場権を獲得する一戦。引き分け以上なら、団体球技としてパリ五輪内定第1号をつかみ、マイナー競技のハンドボールに注目してもらえる「千載一遇のチャンス」のはずだった。その表現が決して大げさとはいえない、まさに絶好の機会を日本は逃した。

試合終了4分前まで23-23

シン・ウンジュ
後半24分8秒、シン・ウンジュが勝ち越しのゴールを決める。韓国22点目

前半立ち上がりはホームの大歓声を背に、5連続得点のスタートダッシュを決めた。日韓戦では記憶にない理想的な展開。ジャイアントキリングの気配が早くも会場に漂った。

前半は15-14。1点リードで折り返した。

後半も日本は組織的によく守り、試合終了残り4分まで23-23。ところがそこから韓国が試合巧者ぶりを発揮する。

29歳のベテラン、シン・ウンジュが勝ち越しのゴールを決めると、韓国ベンチはすかさずチームタイムアウト。一息入れて戦術を確認し合うと、その直後、韓国のサウスポーエース、33歳のリュウ・ウニに流し込まれた。終了間際で2点リードを許す。その段階で日本の選手は下を向いた。

相澤、地元茨城の強豪校と合同練習で力

亀谷さくら
好セーブを連発した亀谷さくら

フィジカルが強い「韓国」戦を見据えて、日本女子は8月の直前合宿で全国でも屈指の強豪校、茨城・藤代紫水高の男子選手と合同練習を重ねてきた。茨城出身のキャプテン相澤菜月の兄・相澤佑太さんの母校でもある。

佑太さんも藤代紫水高校時代は、2012年ユースアジア選手権、2013年ユースアジア選手権の日本代表として戦った。そんな兄の影響を受けて、相澤菜月も「走るハンドボール」を極めてきた。この日、兄・佑太さんが会場に来ていたことを差し向けると、相澤菜月の涙は止まらなくなった。「後半、私がパスカットされて韓国に速攻を許した。GKの亀谷さんが止めてくれたけれど、あれがなければ、流れを韓国に渡さなかったかもしれない」。兄の前で、パリ五輪を決め切れなかった悔しさがこみ上げた。

世界最終予選へ前向き発言なし

試合終了。1点差で敗れた日本

日本は今大会でパリ五輪出場権を逃したが、アジア2位になったことで、来年の世界最終予選にまわることになり、パリ五輪出場へのかすかな可能性はつながった。しかし、試合後の記者会見で選手たちは全員下を向いていた。首脳陣を含めて、次なる可能性に向けて前向きな発言は皆無だったのが残念と言えば残念に感じた。

それだけ、この大会にすべてをかけていた。

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