ハンドボールの第27回IHF女子世界選手権(オランダ・ドイツ共同開催)第8日は2025年12月3日、オランダのロッテルダム・アホイでメインラウンド・グループ1の対戦が始まり、予選ラウンドを5大会連続で突破した日本代表(おりひめジャパン)は、世界選手権初出場のスイスを27ー21(前半13-10)で圧倒した。日本は予選ラウンド最終戦のクロアチアに続き、2連勝。この試合のPOM(プレーヤー・オブ・ザ・マッチ)には、チームトップの8得点をマークしたキャプテンの相澤菜月が選ばれた。
日本のモーテン・ソウバク監督は試合後、「私たちはよく守り抜いた。アグレッシブで規律あるディフェンスを最初から最後までやり抜いた。予選ラウンドの2試合でトップスコアラーだったスイスの7番、PVのシュミットを抑え込んだのがこの試合のポイントだ」と語った。
日本は12月5日にハンガリー、同7日にセネガルと対戦する。予選ラウンドで対戦済みの結果はメインラウンドに引き継がれ、各グループ上位2チームが準々決勝に進出する。
ディフェンスの勝利
日本はスイスの絶対的な得点源をつぶすことに成功した。メインラウンド初戦のスイス戦は、まさに日本の「ディフェンスの勝利」と言えるだろう。
予選ラウンドグループBを首位通過したあのハンガリーでさえ、スイスの絶対的エース、ピヴォットのタベア・シュミットひとりに12得点を許して手を焼いた。日本のディフェンス陣はそんなポイントゲッターのシュミットに仕事をさせず、わずか5失点にとどめたのだ。それがチームの勝利につながった。(下に記事が続きます)
大松澤彩夏、シュミットを徹底マーク

「ディフェンスの勝利」の立役者はBP大松澤彩夏(27)だ。シュミットを守る時間帯が最も長かった大松澤は、相手の前に体を入れ、時にジャージーをつかみ、腕を引っ張って駆け引きし続けた。本来、左の三枚目のポジションは佐々木春乃(30)が一番手だったが、佐々木が負傷中に大松澤にチャンスがめぐった。コートに立つときは、ほぼディフェンス専門要員。そんな大松澤のしつこいディフェンスを嫌がって、シュミットは苛立ち、外に流れる場面が増えていった。
「スイスは結果的にポスト(のシュミット)を狙ってくるチームだと最初から分かっていた」と大松澤はいう。「でも、そこで自分たちが引き過ぎたら、上から打たれてやられる。スイスの7番(シュミット)にボールが入ってしまう前に、体全部を使ってパスコースに入ることを意識しました」と大松澤は振り返った。(下に記事が続きます)
「予測しながら守り切れた」

おりひめジャパンのコートプレーヤーで2番目の長身、175センチの大松澤だが、それを上回る体格の181センチ、84キロのシュミットとの体格勝負では分が悪い。しかもスイスの試合をビデオでみて、シュミットは「ディフェンスをみながらそれに応じて賢くプレーするタイプ」と分析していた。だから、1人ではなく、連動して守る。6-0ディフェンスでは同じ3枚目を守る佐原奈生子、グレイ クレア フランシスとの連携が欠かせない。
大松澤は、試合が進むにつれて、シュミットの動きや癖もつかめてきたという。「いまどこを一番守らなければならないのか、試合が進むにつれてわかるようになってきた。しっかり予測しながら守りきれたし、自分たちの連携や組織力も整ってきていると思います」。スイス戦はそんな自信を深めるいいきっかけにもなったようだ。
前半の相澤菜月、後半の吉留有紀の連続得点で日本が終始、主導権を握れたのも、相手エースをねじ伏せたディフェンスの粘りがあってこそ。ソウバク監督の試合後の声も弾んでいた。「スイスの7番、シュミットを抑え込めたのが勝利のポイントだね。センターラインのディフェンス、アヤカ(大松澤)、クレア、ナオコ(佐原)はみんな素晴らしい仕事をした」
個人スタッツ
| 背番号 | 選手名 | 得点 | 総シュート数 | 成功率 |
|---|---|---|---|---|
| 13 | 中山 佳穂 | 3 | 8 | 38% |
| 17 | 大松澤 彩夏 | 1 | 1 | 100% |
| 19 | 佐原 奈生子 | 1 | 2 | 50% |
| 20 | 秋山 なつみ | 0 | 0 | 0% |
| 23 | 相澤 菜月 | 8 | 11 | 73% |
| 24 | 岡田 彩愛 | 0 | 0 | 0% |
| 29 | 笠 泉里 | 0 | 1 | 0% |
| 3 | 初見 実椰子 | 0 | 0 | 0% |
| 30 | 亀谷 さくら | 0 | 0 | 0% |
| 32 | 佐々木 春乃 | 1 | 4 | 25% |
| 37 | 松浦 未南 | 2 | 5 | 40% |
| 5 | 金城 ありさ | 1 | 1 | 100% |
| 51 | 吉留 有紀 | 7 | 9 | 78% |
| 55 | グレイ クレア フランシス | 3 | 5 | 60% |
| 77 | 上嶋 亜樹 | 0 | 0 | 0% |
| 89 | 石川 空 | 0 | 0 | 0% |
GKスタッツ
| 背番号 | 選手名 | セーブ数 | 被シュート | セーブ率 |
|---|---|---|---|---|
| 30 | 亀谷さくら | 5 | 22 | 23% |
| 77 | 上嶋亜樹 | 3 | 7 | 43% |
| 合計 | チーム | 8 | 29 | 28% |
日本の試合日程[会場:ロッテルダム・アホイ]
| 日付 | 現地時間 | 日本時間 | 対戦相手 |
|---|---|---|---|
| 2025/12/05(金) | 18:00 | 翌02:00(12/6) | ハンガリー(B1位) |
| 2025/12/07(日) | 15:30 | 23:30 | セネガル(B3位) |




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