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【ハンドボール】HC名古屋のGK榊真菜、3/3ソニー戦「恩師に好プレーみせる」

ハンドボール女子日本リーグHC名古屋の榊真菜
左から高校、大学、日本リーグ時代の榊(久保写す、以下すべて)
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ハンドボール女子の日本リーグは、9連覇中の北國銀行が今季も1位を走っています。2位のソニーセミコンダクタマニュファクチャリングも、これまでになかったしぶとさを見せています。2024年3月3日には神奈川県厚木市で、ソニーとHC名古屋の試合があります。主力が大幅に入れ替わったなかでも健闘しているHC名古屋には、GKの榊真菜がいます。榊は幼少期を北海道、盛岡、宮城、神奈川で過ごしました。ハンドボールを始めた神奈川でひな祭りの日、恩師に最高のプレーを見せたいと張り切っています。

目次

出身地は「北海道」でも

岩手ゆかりの選手一覧、左端に榊の名が

2023年末のハンドボール日本選手権女子の部は、岩手県の花巻市で開催されました。体育館には岩手や花巻ゆかりの選手名が垂れ幕になるなど、地元出身者を歓迎していました。そのなかに「おやっ?」と思う選手の名前がありました。「HC名古屋 榊真菜」です。球歴を調べると、横浜市の西柴中学からハンドボールを始めて、川崎市立高津高校では全国大会にも出場しました。東京女子体育大学ではインカレ準優勝の一員で、HC名古屋に入って2年目のGKです。高校時代のイメージが強いから、てっきり神奈川の出身かと思いきや、岩手の出身扱いです。ちなみに出身地は北海道になっていました。どういうことなの? 本人に聞いてみました。

小1~小4は盛岡で過ごす

榊は岩手での日本選手権で活躍した
榊は岩手での日本選手権で活躍した

榊は教えてくれました。「生まれは北海道で、5歳まで北海道にいました。父の転勤が多くて、小学校1年生から4年生までは岩手の盛岡に住んでいました。そのあとに2年間宮城にいて、中学から神奈川に引っ越して、そこでハンドボールに初めて出会いました。それまではハンドボールを全然知らなくて、兄がやっていたサッカーをお遊び程度でやっていたくらいです」。

 確かに垂れ幕をよく見ると「小学校まで盛岡在住」とあります。所属していたチーム名はありません。

 「三重バイオレットアイリスの千葉夏希さんのお父さんが、岩手県協会に知り合いがいたみたいで、私が岩手に住んでいたことを話したら、私の名前も書いてもらえたそうです。私もびっくりしましたし、うれしかったです。みんなも神奈川のイメージが強いみたいで『真菜の名前が出てたよ。どうしたの?』って聞かれました」。

 これで謎が解けました。榊真菜は、岩手県にゆかりのある選手だったのです。

日本選手権で好プレー、浮上のきっかけに

川崎市立高津高校時代の榊
川崎市立高津高校時代の榊

思い出の地岩手で、榊はいいプレーを見せました。準々決勝のソニーセミコンダクタマニュファクチャリング戦では、途中から試合に入ってシュートを止めまくりました。

「2年目のシーズンが始まって日本選手権まで、うまくいかないことが多かったです。今回久しぶりに使ってもらって、こうやって止められたのはよかったです。最初の1本を手に当てられたのが久しぶりの感覚というか、手に当てたことで精神的に楽になりました」

最初は松浦侑加のアウト割りを防いで、次は川上真愛のサイドシュートを止めました。しかし榊は「川上さんのシュートは止めていない」と言っていました。しばらく会話を続けるうちに、思い出したようです。

「川上さんも止めました。仕掛けどおりに打ってくれてラッキーでした。後半の捕れなかったことばかり覚えていて、最初に止めたのを忘れていました。私の場合は持続力が課題です。1本入ってしまうと、それに引きずられてしまう。全部止められるGKはいないんですけど、1本やられたら考え込んでしまう」

ちょっと完璧主義なところが榊のよさでもあり、試合で苦しんでいる部分なのかもしれません。

「不器用」でも練習で積み上げた

国士館大学の西丸は、GKの基礎を榊から教わった
国士館大学の西丸は、GKの基礎を榊から教わった

榊はさらに続けます。

「私は練習が試合につながると考えています。最初からできる子ではありませんでしたから。手のかかる子だったと思います。高津高校では松永(康宏)先生や長村(昇)先生に、GKの基礎を教えてもらいました。それがなければ、東京女子体育大にも行けなかったと思っています」。

 不器用を自覚して、練習で積み上げてきた選手だから、その分、人に伝えるのは上手かもしれません。国士館大学のGK西丸未菜は「私は中学時代に、榊さんからGKの基礎を習いました。すべては榊さんが原点です」と言っていました。西丸より4つ年上の榊もよく覚えていました。 

「私が最初に教わったことを、中1の西丸にただ伝えただけです。彼女の野性味を消さないよう、でも基礎になる部分は伝えました。それを体現している西丸がすごいですよね。160㎝ぐらいしかないのに、あれだけ動けて、あれだけ捕れるのは、西丸しかいない。私ももうちょっと野性味や感覚を養わないと」。

日本選手権のソニー戦が、迷いを抜け出すきっかけになるでしょうか。

ハンド始めた神奈川で晴れ舞台を

川崎市立高津高校の松永監督
川崎市立高津高校の松永監督

榊は神奈川に戻った時、高津高校の松永監督と話をしたそうです。

「松永先生が、神奈川で開催される3月のソニー戦を見に行きたいと言っていたんです。私は神奈川生まれではないけど、神奈川はハンドボールを始めた原点でもあるし、私にとってはホームみたいなものだから、そこでいいプレーを見せたいです。昨年はケガで神奈川にも行けなかったけど、今回は絶対行きたいです」。 

神奈川県厚木市荻野運動公園体育館はソニーのセカンドホームですが、神奈川は榊にとってもホーム。引っ越しで色んなところに住んでいたから、あちこちにホームがあるのが榊の強みかもしれません。いいイメージを持っているソニー戦。恩師の前で最高のプレーを。

榊真菜(さかき・まな) 2000年1月19日生まれ、北海道出身。ポジションはGK。神奈川県横浜市立西柴中学からハンドボールを始め、川崎市立高津高校では春の全国選抜大会、夏のインターハイに出場した。東京女子体育大では4年生でインカレ準優勝。卒業後は日本リーグのHC名古屋でプレーしている。身長172cmの長い手足を生かしたキーピングが持ち味。勤務先は株式会社ドリーム・メディカル。

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