【サッカー】北中米W杯F組の日本、米国とメキシコで3試合。拠点はダラスか

サッカー日本代表（サムライブルー）は2026年北中米ワールドカップでグループFに入り、グループステージ（1次リーグ）では米テキサス州ダラスとメキシコ・モンテレイを行き来して3試合を戦うことになった。サムライブルーの移動や時差調整などの負担は他国と比べてどうなのか。ダラス、モンテレイはどんな場所なのか。現地の見どころも含めて詳述する。

F組に「地元勢」なし

試合	現地日時	日本時間	日本の対戦相手	開催地
第1戦	2026年6月14日 15:00	6月15日 5:00	オランダ	ダラス
第2戦	2026年6月20日 10:00	6月21日 13:00	チュニジア	モンテレイ
第3戦	2026年6月25日 18:00	6月26日 8:00	欧州プレーオフB組勝者	ダラス

日本代表は2026年6月14日午後3時（日本時間15日午前5時）、オランダとの初戦をダラスで迎える。続く第2戦はチュニジアと6月20日午前10時（日本時間21日午後1時）にモンテレイで対戦。第3戦はダラスに戻って6月25日午後6時（日本時間26日午前8時）、欧州プレーオフB組勝者と対戦する。

グループFは日本のほか、オランダ、チュニジア、もう一カ国も欧州勢となり、「地元」にあたる南北アメリカ大陸の国が入っていない。特定の国がホームアドバンテージのような地理的に大きな優位を得ることはない。

気候面では、夏季開催とあって涼しい欧州勢は不利になりうるが、屋内スタジアムや夜間開催で、気温の影響も限定的だ。

大陸間移動に関しては、欧州勢は主力選手が所属するクラブと国が共に同じヨーロッパ圏内のため、長距離移動には慣れてない。チュニジアは欧州とアフリカ間での中距離の移動があるが、時差調整は限定的だ。各チームが現地で入念な準備を行い大会に臨むため、大陸間移動や時差調整についても、その負担は各国間でさほど変わらない。

グループF開催期間中の移動に関しては、オランダがアメリカ中部から南部で3試合を行い、メキシコでは試合をしない。移動距離が短く最も有利だが、3試合は全て異なるスタジアムで行う。

チュニジアは、メキシコ・モンテレイで初戦（欧州プレーオフB組）、第2戦（日本）を移動なしで戦ったあと、米ミズーリ州・カンザスシティに移動して第3戦（オランダ）へ。

日本はメキシコで1試合を行うが、アメリカ国境に隣接する地域であり、ダラスからは直行便で2時間弱。移動の負担はそれほどない。さらに、同じダラススタジアムで2試合を行うことから、環境への適応に関してはメリットが大きい。日本代表チームは、グループ2試合が行われるダラスにベースキャンプを置きたい意向を示している。(下に記事が続きます)

日本戦のあるスタジアムとは

北中米ワールドカップ開催期間のスタジアムの呼称には命名権を行使できないため、2つの呼び方を覚えておきたい。

ダラススタジアム：AT&Tスタジアム（米国テキサス州アーリントン)の収容人数は80,000人。以前は「カウボーイズ・スタジアム」と呼ばれていたが、アメリカの情報通信大手AT&Tがネーミングライツを取得して現在の呼称になっている。ナショナル・フットボール・リーグ（NFL）のダラス・カウボーイズの本拠地で、カレッジ・フットボールの試合も行われる。開閉式屋根のスタジアムで、ダラス市内から西へ約32キロ、車で30分ほどのアーリントン市が所有している。

アーリントンの6月の平均最高気温は約32℃で、平均最低気温は約22℃、湿度は約64％。2026年6月14日15:00（アメリカ中部夏時間）に日本対オランダ戦が開催される。また、6月25日18:00（アメリカ中部夏時間）に日本対欧州プレーオフ・パスB勝者（ウクライナ、スウェーデン、ポーランド、アルバニアのいずれか）の試合も行われる。

エスタディオ・モンテレイ：エスタディオBBVA（メキシコ・モンテレイ・グアダルーペ）の収容人数は51,800人。「エスタディオ・デ・フットボル・モンテレイ」と呼ばれていたが、スペイン系銀行BBVAがネーミングライツを取得して現在の呼称になっている。リーガMXのCFモンテレイの本拠地。

モンテレイ6月の平均最高気温は約33℃で、平均最低気温は約19℃で、湿度は約55％。2026年6月20日22:00（アメリカ中部標準時間）に日本対チュニジア戦が開催される。屋外開催とあり、キックオフ時間は気温が下がる夜間に設定されている。(下に記事が続きます)

F組の日本戦以外のスタジアム

ヒューストンスタジアム：NRGスタジアム（米国テキサス州ヒューストン）の収容人数は72,220人。開閉式屋根のスタジアムで、NFLのヒューストン・テキサンズのホームスタジアムになっている。

ヒューストンの6月の平均最高気温は約33℃で、平均最低気温は約22℃、湿度は約70％。2026年6月20日12:00（アメリカ中部夏時間）にオランダ対欧州プレーオフ・パスB勝者戦の試合が開催される。

カンザスシティスタジアム：GEHAフィールド・アット・アローヘッド・スタジアム（米ミズーリ州カンザスシティ）の収容人数は81,425人。NFLのカンザスシティ・チーフスのホームスタジアムになっている。

カンザスシティの6月の平均最高気温は約30℃で、平均最低気温は約19℃、湿度は約72％。2026年6月25日18:00（アメリカ中部夏時間）にチュニジア対オランダ戦が開催される。(下に記事が続きます)

日本戦のある街：ダラス都市圏とは

米国テキサス州アーリントン：アーリントンの人口は約395,000人。近隣の主要な空港はダラス・フォートワース国際空港。アーリントンはダラス市内から西へ約32キロ、車で約30分。

AT&Tスタジアムはまるで「陸の孤島」で公共交通は限られており、レンタカーやライドシェア（UBERやLyftなど）が利用されている。また、W杯期間中はダラスからのシャトルバスが運行される計画があり、あらかじめその情報をチェックしたい。

ダラスは、ジョン・F・ケネディ第35代アメリカ合衆国大統領が暗殺された地でもある。1963年11月22日のパレード中にディーリー・プラザ（エルム通り）で発生したこの事件の真相を求めて現在でも論争が続いているが、現場近くのジョン・F・ケネディ記念広場には記念碑が建てられている。

アーリントンには、メジャーリーグ野球のテキサス・レンジャーズの以前の本拠地で野茂英雄もプレーしたチョクトー・スタジアムがある。

絶叫系コースターがあるテキサス最大級のテーマパーク「シックス・フラッグス・オーバー・テキサス」は家族連れや若者に人気だ。同じ系列の水上公園「シックス・フラッグス・ハリケーン・ハーバー」もある。

「リヴァー・レガシー・パークス」はトリニティ川沿いにある広大な自然公園で、散策やランニング、サイクリングなどができる。

地元の食文化は、ボリューム満点の赤身肉のステーキハウス文化が中心。名物料理には、テキサスBBQ、ブリスケット（牛胸肉）、スモークリブ、テクス・メクス料理、タコス、エンチラーダ、ナチョスなどがある。アメリカ南部だけにメキシコと食文化の融合が見られる。

日本戦のある街：モンテレイ都市圏とは

メキシコ・ヌエボ・レオン州グアダルーペ：グアダルーペの人口は約635,000人。モンテレイ都市圏の一部になっている。観光・ビジネスエリアの治安は比較的安定しているが、夜間に独りで出歩くのは控えたい。

バリオ・アンティグオは、歴史地区でバー、カフェ、ライブハウスが集中しており歓楽街として栄えている。マクロ博物館（MARCO）は、メキシコ有数の現代美術館で、多くの作品が展示されている。セロ・デ・ラ・シジャは、モンテレイの象徴的な山で、市内のどこからでも眺めることができて、登山者にも人気だ。

チピンケ自然公園は、展望台が充実しておりハイキングも楽しめる。郊外にあるグルタス・デ・ガルシアでは鍾乳洞を観ることができる。

モンテレイの地域に行くと、なかなか味わえない北メキシコ料理を堪能できる。肉料理中心で、スパイスはメキシコ中南部より控えめで日本人にも食べやすいだろう。カブリート（子ヤギのロースト）、カルネ・アサーダ（炭火焼き牛肉）、アラチェラ（ハラミ）などがある。ビール文化が豊かで、数多く点在する地ビール醸造所巡りも魅力だ。