サッカー男子日本代表は2026年5月31日、アイスランド代表と東京・国立競技場で国際親善試合(キリンチャレンジカップ2026)を行う。キックオフは午後7時25分(予定)。
グループFの顔合わせが確定してから最初の試合だ。さらに北中米ワールドカップに臨む日本代表メンバーは5月15日に発表されることになっており、本大会に臨むメンバー確定後の初めての試合となる。同時に目前に迫るワールドカップ前の国内最後の国際試合となる。
この時期に国内で試合を組むのには、欧州でのシーズンを終えた海外組が一時帰国し心身ともにリフレッシュできる限られた期間であるのと同時に、サポーターに近いところで試合を行い、少しでも多くのファンに来場してもらいサムライブルーの士気を高める目的がある。事実上の壮行試合となるアイスランド戦を機に、サッカー日本代表はワールドカップモードに入るとともに、国内の関心を高め列島のサッカー熱に火をつける意味合いもあるだろう。
サムライブルーは、本番を見据えどのような戦いをすればよいのだろうか。
アイスランド、FIFAランク75位
アイスランド代表は、FIFAランキング75位で順位だけ見れば18位の日本より下だが、数字だけでは測れない多くのことがある。
アイスランドは、2016年にユーロ(欧州選手権)に初出場し、グループ2位で決勝トーナメントに進出した。ラウンド・オブ16ではイングランドに開始早々にPKで失点するも見事逆転し2-1で勝利。準々決勝へ進出しフランスに2-5で敗れたが、結果を見れば、8強に食い込み、大会のダークホースとなった。サポーターとチームの連帯感を生むヴァイキング・クラップは、日本にも波及した。
ワールドカップは、初出場した2018年ロシア大会でグループD初戦のアルゼンチンに1-1で引き分けるも、続くナイジェリアに0-2、クロアチアに1-2と敗れ、1分2敗の勝点1となり勝ち星を挙げることなくグループステージで敗退した。
この2つの国際大会に出場を果たしたアイスランド代表の黄金世代が大ベテランの領域にさしかかっており、若返りを図っているフェーズにある。
トッテナム・ホットスパーやエヴァートンFCでもプレーしたMFギルフィ・シグルズソン(36)はアイスランドの歴代最多得点者だ。
ブラックバーン・ローヴァーズFCのFWアンドリ・ルーカス・グジョンセン(24)の父親は、チェルシーFCやFCバルセロナなどでプレーした往年のスター選手エイドゥル・グジョンセン。
レアル・ソシエダFWオーリ・オスカルソン(21)は、20歳で代表チームのキャプテンを務めた若きリーダー。父親も元アイスランド代表選手で国内主要クラブで監督を務めている。
対戦国関連データ:アイスランド代表
過去の対戦成績:3勝0分0敗(8得点3失点)
堅守速攻の仮想チュニジア

アイスランドは4バックを基本としながらも、強豪相手に5バックを敷くこともある。組織的に守備を固めて、カウンター攻撃や長身を活かしたセットプレーに勝機を見出す。
チーム力は、日本が北中米ワールドカップ・グループFで対戦するチュニジア(FIFAランキング44位)に近いだろう。組織的に守ってカウンターという戦術も似ている。
日本は、ドイツ、スペイン、ブラジル、イングランドといった攻めてくる強豪国を倒す勝負強さを見せてはきたが、2022年ワールドカップでは守備を固めるコスタリカを相手に0-1で落とした苦い経験がある。さらには仮想コスタリカともいえるパラグアイ戦(2025年10月10日)では、ホームでアディショナルタイムに2-2で追いつく不甲斐ない試合を演じた。
スコットランドに1-0で勝利したことは評価できるが、堅守速攻型のチームとは何度でも強化試合を行うべきだとこれまでも提言してきた。アイスランドを格下と見くびると足元をすくわれることになる。本番を想定し、引いた守備を打破して確実に仕留める術を磨いてほしい。(下に記事が続きます)
高い空中戦の仮想スウェーデン
アイスランド代表の選手の特徴に目を向けると、スウェーデン代表(FIFAランキング38位)と瓜二つだ。大柄でフィジカルが強く、セットプレーの空中戦を得意とする。
アイスランド人の祖先の多くは、中世のヴァイキング時代にスカンジナビア半島などの北欧から渡った人々であり、スウェーデンとは遠い親戚関係にあるといっても差し支えないだろう。
強豪スウェーデンが欧州プレーオフを勝ち抜き、日本にとっては非常に厳しいグループとなったが、日本サッカー協会(JFA)がアイスランドとマッチメイキングを行ったことは「不幸中の幸い」と言える。ヨーロッパ諸国との対戦の可能性を考慮したのだろうが、同じ北欧の国である仮想スウェーデンにうってつけだ。
豊富なタレントを揃えながら、ワールドカップ欧州予選で振るわなかったスウェーデン代表は、監督交代を契機にチームワークが急速に改善している。日本と実力が拮抗しており、がっぷり四つに組めば五分五分のいい勝負になるだろう。アイスランドのように引いてくるかは定かではないが、森保ジャパンは守備固めをした国が苦手なのを相手はすでに察知しているはずだ。日本の弱点を突くように守備固めをしてくる可能性はゼロではない。(下に記事が続きます)
連帯感は勝利の源
アイスランドは、個々の顔が見える小規模な国ならではの一体感も見逃すことはできない。これは、サムライブルーがワールドカップ・ノックアウトステージの大一番で大国を撃破する上で、大いに参考になる。
さらにアイスランドとの対戦は、直近のワールドカップだけではなく、長期的な日本代表の強化・育成においても多くの学びを得ることができる。
2026年ワールドカップ欧州予選では、グループDでフランスに1-1で引き分けるなど健闘したが、勝点7の3位で本大会出場はならなかった。しかし、公式戦でフランスやアルゼンチンとドローに持ち込み、イングランドに勝利したことは、驚くべきことである。
日本があれだけ苦労して初勝利を収めたイングランドに、人口に100倍以上の開きがある国が公式戦で勝利した価値を想像してみてほしい。
アイスランドは育成の手本
アイスランドの人口は約33万人しかいない。海外居住者を含めて多く見積もってもアイスランド人は50万人しかいないのだ。日本で最も人口が少ない鳥取県が約53万人で、旭川市(北海道)の人口が約33万人だ。東京都内では、江東区が約52万人になっている。
日本では豪雪地帯の東北や北海道からは、なかなか有力な選手は出てこない。アイスランドは国名の通り寒冷な国だが屋内スポーツ施設が充実しており、欧州のなかでも市民のスポーツ参加率が高い。また、人材プールが限られていることもあり、個々のタレントにきめ細やかに向き合い伸ばす育成を行っている。
日本はそれなりの人口規模があるため、ふるいにかけると才能のある選手がかなり残る。しかし、アイスランドのように、さらに丁寧な育成を行い、鳥取県選抜、旭川市選抜、江東区選抜などがアイスランド並みの実力を持つようになれば、日本代表はフランスやイングランドといった大国と肩を並べる実力国に成長することだろう。
アイスランド代表が33万人あるいは50万人を代表するチームだということを鑑みると、人口差にして数百倍あるサムライブルーとの一戦を観る際には、リスペクトの気持ちが芽生えるに違いない。(下に記事が続きます)
森保監督「国民に誇りを見せる」
森保一 SAMURAI BLUE(日本代表)監督コメント:キリンチャレンジカップ2026 アイスランド代表戦はチームの強化やワールドカップに向けた準備の試合という意味も持ちますが、いつも共に闘ってくださる日本国民の皆様の前で、ワールドカップ前に選手が誇りを懸けてプレーする姿を国内でお見せできる最高の機会にもなります。国立競技場で国民の皆様より大きなエネルギーを頂き、良い状態でワールドカップに臨みたいと思います。
また、このタイミングで日本に遠征してくださるアイスランド代表にもこの場を借りて感謝申し上げます。


Pen&Sports ニュースレター(無料)に登録する
スポーツ特化型メディア“Pen&Sports”[ペンスポ]は毎週、無料ニュースレターを配信しています。原田亜紀夫編集長が勝ち負けを伝えるだけに終わらない、舞台裏のストーリーや本質に焦点を当てたコラムをお届けします。読めばニュースの見方が多面的になり、きっと気づきがあるはずです。登録・解除はいつでも可能です。





![Pen&Sports[ペンスポ]スポーツ特化型メディア](https://sports.pen-and.co.jp/wp-content/uploads/2026/01/スポーツを深くしる手書き_白字.png)




\ 感想をお寄せください /