2024-2025シーズンからリーグHに参入したアルバモス大阪が2024年9月21日、初のホームゲームで初白星を挙げました。大崎オーソル埼玉を相手に35-27と点差をつけて堂々の勝利。最後までクオリティの落ちないハンドボールで、エディオンアリーナ大阪に集まった926人のファンとともに喜びを分かち合いました。
初ホーム、大崎オーソル埼玉戦
大阪・難波の一等地にあるエディオンアリーナ大阪(大阪府立体育館)での初のホーム戦。リーグ参加初年度のアルバモス大阪は、ここまで0勝2敗とまだ白星がありません。王者・豊田合成ブルーファルコン名古屋との試合は、後半2分まで14-15と接戦を演じましたが、最後は21-36と突き放されました。2戦目の福井永平寺ブルーサンダー戦では、左腕エースの徳田廉之介が失格とともに失速し、20-33で敗れています。初開催のホームゲームで迎える相手は大崎オーソル埼玉。こちらも0勝2敗とまだ調子が上がっていませんが、過去には日本リーグ等で何度も日本一になっている強豪です。アルバモスがどこまでやれるのか。「最後までいい勝負になればいいな」というのが、大方の予想でした。(下に記事が続きます)
前半9分、徳田廉之介2度目の退場
前半9分で、アルバモスの徳田が早くも2度目の2分間退場になってしまいます。レフトバックの清水裕翔、センターでキャプテンの植垣健人にライトバックの徳田。この3人のうち誰か1人でも欠けると、アルバモスの得点力は極端に落ちてしまいます。まだまだ選手層の薄い新参チーム。今日も序盤から大きな試練です。
GK當野勢十郎、大当たり
チームのピンチに奮い立ったのが、アルバモスのGK當野勢十郎でした。大崎の大型ライトウイング武良悠希のサイドシュートを止め、さらにはライトバック井手悠登のシュートも防ぎました。「サイドシュートは上を抜かれないように。バックプレーヤーのシュートは、DFと連携しながら外に追いやって止めるよう意識しました」と當野は言います。GK當野が大崎の若い左利き2枚を封じたことで、試合が引き締まりました。 (下に記事が続きます)
銘苅淳兼任監督が右2枚目に
徳田があと1回退場すると失格になり、この試合に出られなくなります。アルバモスは徳田が守る右の2枚目に、現役復帰した銘苅淳監督を入れました。開幕後に追加登録された銘苅監督にはサイズと筋量はあるものの、39歳でブランクがあります。往年のフットワークを求めるのは酷な話です。大崎の西山尚希に1対1を狙われていました。「1対1で守れなかったのは、僕の責任」と、銘苅監督は選手に謝っていました。アルバモスにとって右側のDFは、先週の福井永平寺戦からの課題です。
前半最後に石田翔真が得点、13-14
前半29分25秒12-14、アルバモスがタイムアウトを取りました。タイムアウト明けは点取り屋の清水をベンチに下げて、小柄でもフェイントが切れる石田翔真を入れてきました。この銘苅監督のプランが的中します。徳田の1対1をダミーに使って、マークの甘くなった石田が間を割って1点を奪います。この石田のリーグ初得点で13-14。1点差で前半を終えるとともに、後半につながる大きな1点でした。(下に記事が続きます)
古巣との対戦、植垣燃えた
後半に入ると大崎が突き放しにかかります。二次速攻での安倍竜之介のミドルで、大崎が2点リードにしました。前半30分は戦える。でも後半になると失速する。開幕戦の豊田合成戦のような展開が、頭をよぎりました。開幕戦を負けたあと、キャプテンの植垣は「ハンドボールは60分トータルの戦い。前半の30分がよくても、最後に勝たなきゃ意味がない」と言っていました。アルバモス、正念場です。
石黒理久が渾身ゴール、22-21
後半11分21―21と追いついたところで、アルバモスにチャンスが訪れます。清水が走って、自分で打つかと思いきや、隣を走っていた石黒理久にパスを出しました。石黒は昨季までキャプテンを務めたチームの1期生。立ち上げ当初の苦しかった時代を知る男が、速攻を決めて22-21。ついにアルバモスが勝ち越しました。「これまではあまり速攻に出られなかったのが課題でした。今日はDFが打たれるところを限定できていたから、速攻に早く出られました」と石黒は言います。スペースに走り込んでの見事な速攻でした。さらには大型新人のライトウイング金岡宙斗の速攻も決まり、12分で23-21。大崎がタイムアウトを取りました。
点取り屋清水裕翔がフィット
その後もアルバモスの勢いは止まりません。植垣がレフトバックから流しのミドルシュートを決めれば、徳田が大きく左に回り込んで打ち抜きます。極めつけは21分に清水が決めたランニングシュート。銘苅監督が「This is you!(これがお前の持ち味だ!)」と叫んだ一撃で31-25としました。銘苅監督は「清水は能力が高いから、これまでは戦術がなくても点が取れていた。でも本当のトップ・オブ・トップになるためには、チームの方向性の中で自分の力を発揮できないと。今日の清水には素直さがあったし、戦術の中で点を取れたのが大きな収穫」と絶賛していました。
新人金岡宙斗、攻守に大活躍
また課題だった右の2枚目DFには日本体育大卒の新人・金岡が入り、チームを落ち着かせました。銘苅監督は「金岡が2枚目のオプションが使えたのは大きい」と喜んでいました。長いリーグ戦を戦ううえでも、貴重な選択肢になりそうです。金岡も「徳田さんがレッドカードにならないよう、任されたところをやり切る意識で、集中を切らさず、目の前の敵を倒すつもりで守りました」と気合十分でした。OFでも両チーム最多の9得点の大活躍。攻守にわたって金岡の働きが際立った試合でした。
35-27、銘苅監督「プレーに再現性」
最後は途中出場の森山将輝のリーグ初ゴールが決まって35-27。堂々の8点差をつけて、アルバモス大阪がリーグH初勝利をつかみ取りました。銘苅監督は「今日は不思議な勝ちじゃない。こちらが意図したところを攻めて守って、プレーに再現性があった」と言います。GK當野が余計なエゴを出さずに、プランどおりにゴールを守り抜いたこと。セットOFではひとつのきっかけの動きから攻撃の選択肢を伸ばしていけたこと。銘苅監督のやりたいハンドボールを「全員で体現してくれた」と、納得の表情でした。
石黒「今日はGK當野」
副キャプテンの石黒は「今日はGKの當野に尽きる。當野が助けてくれたから、気持ちよく守れた。最後に森山が点を取ったし、當野、石田に僕とみんなが仕事して、一体になって戦えた。(チームが発足した)3年前から応援してくれた人たちの前で勝てて、自分のやりたいことが1つ達成できました」と、喜びをかみしめていました。同時に「勢いが止まった時にどう立て直すか。チームの士気が下がった時に、なんとか打開できる選手になりたい」と、気を引き締めていました。山あり谷ありの長いリーグ戦で、どれだけ勝ち星を積み重ねていけるか。「1勝だけでは終わらないぞ」という強い意志が、石黒の言葉からも感じられました。浪速の新たな太陽、アルバモス大阪。朝日(スペイン語でアルバ=alba=)はまだ昇ったばかりです。
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