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【ビーチハンドボール】海ないハンガリー大会に見参!KUNOICHI星野美佳に聞く

ビーチハンドボールのハンガリー大会に参加した社会人チーム「KUNOICHI」
ビーチハンドボールのブタペストカップに参加した社会人チーム「KUNOICHI」(提供:KUNOICHI)
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ビーチハンドボールを知っていますか。ビーチバレーと同様、体育館ではなく砂浜でプレーします。お祭り色が強く、一発逆転の面白さがあります。そのハンガリー大会に、社会人チーム「KUNOICHI」が参加しました。チームを率いる星野美佳(ほしの・みか、元・日本代表)に、「ペンスポ」コラムニストの久保弘毅が話を聞きました。

目次

豪州の次は欧州!ゲスト参加かなう

星野のスピンシュート(写真は2018年全日本ビーチハンドボール選手権、久保写す)
星野のスピンシュート(写真は2018年全日本ビーチハンドボール選手権、久保写す)

久保:ハンガリーのビーチハンドボールの大会に出場した経緯は。

星野:日本代表メンバーがそろったチーム「CHERRY BLOSSOMS」の一員として2020年、豪州の大会に出て準優勝しました。その時に「次は欧州にチャレンジしたい」と思っていたら、コロナ禍になりました。海外に行けない間にも資金を集めて、コロナが落ち着いた2023年6月、ようやくハンガリーに行くチャンスが巡ってきました。

久保:ビーチハンドボールはヨーロッパが本場ですか。

星野:ビーチハンドボール世界選手権の上位は欧州勢が占めています。今後ビーチハンドが五輪競技になることを見据えるなら、レベルの高い欧州で大会に出たいと思っていました。

久保:日本のチームがハンガリーの大会にエントリーできるのですか。

星野:たまたまハンガリー連盟と話ができる人が知り合いにいて、「日本代表経験のある選手たちが国際経験を積みたいと言っている。ビーチハンドの普及のためにも受け入れてもらえないか」と先方に伝えてくれました。ヨーロッパ連盟ビーチハンドボール委員会のガブリエラ委員長がハンガリーの方で、「行動が大切だからね。ぜひ協力したい」と言ってくださって、6月30日からの欧州ツアー大会のひとつである「ブダペストカップ」にゲスト参加でエントリーさせてもらいました。

欧州のツアー大会の一角、高レベル

試合会場のルパビーチ(提供:KUNOICHI)

久保:なかなか立派な大会だったようですね。

星野:ヨーロッパにはEBTツアーというビーチハンドのツアー大会があります。大会ごとにツアーポイントがあって、合計の上位チームがツアーファイナルに出場できます。ブダペストカップはポイントの高い大会だから、試合のレベルも高く、オランダやクロアチアからもチームが参加するので、色んな経験が積めるのが魅力でした。ハンガリーの物価が他の国よりも高くないのも決め手のひとつでした。

メンバーはギリギリ6人、DM送って勧誘も

ビーチハンドボールのハンガリー大会に参加した社会人チーム「KUNOICHI」
ブダペストカップに出場したKUNOICHIのメンバー(提供:KUNOICHI)

久保:大会にエントリーが決まったら、次はメンバー集めですね。

星野:いつもKUNOICHIで活動しているメンバーからは、私を含めて6人が参加しました。大会にエントリーできる最少人数の6人はクリアしたけれど、3日間で8~9試合を戦うにはもう少し人数が必要です。今回の遠征はビーチハンドの普及も目的のひとつだったので、未経験者に声をかけることにしました。日本リーグを3月で引退した選手を中心に「はじめまして。私はこういう者ですけど、ビーチハンドボールの大会でハンガリーに行きませんか」とDMを送りました。

久保:星野さんも日本リーグ経験者(元三重バイオレットアイリス)とはいえ、なかなか怪しげな勧誘ですね(笑)。

星野:30人ぐらいにDMを送りましたね(笑)。日本リーグ勢以外にも声をかけていくうちに、愛知教育大の2人が興味を持ってくれて、ハンガリーで無事ビーチデビューを果たしました。

元・インドア豪州代表もメンバーに

2019年の熊本女子世界選手権でプレーするマカフィー(提供:KUNOICHI)

久保:オーストラリア出身者も参加したと聞きました。

星野:インドアの元・オーストラリア代表、マデレイナ・マカフィーです。2020年の大会の時に、オーストラリアの人たちが日本のチームを手厚く受け入れてくれて、その時から「いつかお返しをしたいね」と話していました。一緒にオーストラリアに行った中谷香織が連絡を取ったところ、マカから返事がありました。「私は今デンマークに住んでいて、ハンガリーなら行けるから、ぜひ参加したい」と。マカはインドア代表として「熊本にも行ったことがあるよ」と言っていました。

久保:マデレイナ・マカフィー。最後にすごい選手が現れました。

星野:これで選手9名と監督1名がそろって、ブダペストのホテルに現地集合しました。今回は大会に行くまでがほんと大変で。

久保:大変でしたけど、人の輪が広がる遠征になったことは、ビーチハンドボールの魅力ですね。

湖ほとりのコートで、熱戦22時まで

ブダペストカップで多くの試合を経験した(提供:KUNOICHI)

久保:ブダペストカップの試合会場はいい雰囲気ですね。

星野:ハンガリーは海に面していないので、湖のほとりにコートを作っていました。日本で言うなら琵琶湖で大会をやるイメージです。

久保:夜遅くまで試合をしていたそうですが。

星野:22時まで試合が組まれていましたが、ハンガリーは21時ぐらいまで明るいので、あまり気になりませんでした。試合の合間には、ホテルから持ってきたバナナやリンゴを食べて、次に備えました。朝食会場がバナナとリンゴを「ご自由にお取りください」というシステムだったのが本当に助かりました。ホテル代をケチらなくて正解でした。一泊5,000円ぐらいで雑魚寝の宿も検討したんですけど、ベストコンディションで試合に臨むために、一泊9,000円のホテルにしてよかったです。

ちょっといいホテルの一室でミーティング(提供:KUNOICHI)

久保:KUNOICHIは13チーム中11位でした。

星野:あと1つ勝ち星を拾えていたら、ベスト8以上の決勝トーナメントに行けました。確かに身長の差はあります。ジャンプボール(試合開始時のボールの奪い合い)はまったく手が届かなかったですけど、それ以外は歯が立たないことはありませんでした。

久保:判定の違いに戸惑いませんでしたか。

星野:ヨーロッパの審判はレベルが高くて、判定基準がぶれません。英語があまりしゃべれない私たちにも身振り手振りで「今のは着地が早い(から得点は認められない)」とか「回転不足だから(2点にはならない)」と一生懸命伝えてくれました。判定がわかりやすいから、私たちもジャッジに合わせやすかったです。

MVPは身長153cm大谷、圧巻スピンシュート

ビーチハンドボールの大谷萌
スピンシュートを放つ大谷。 世界を相手に戦えるまでになった(2022年全日本ビーチハンドボール選手権で、久保写す)

久保:今大会のチームMVPは。

星野:大谷萌です。身長153㎝の大谷が、180㎝のヨーロッパの選手のシャット(シュートブロック)をかいくぐって、スピンシュートを決めた映像をお見せしますね。今泉貴雄監督が選んだ、今大会のベストシュートです。

画面奥、黄色のユニフォーム、小柄な左利きが大谷(提供:KUNOICH.編集:ペンスポ)

久保:ビーチを始めて6年目。空中で一回転ができなくて、尻もちをついていた大谷さんが、ここまでできるようになるとは。

星野:どういう風に体を入れたら、相手から遠いところでパスをさばけるか。そこさえ雑にならなければ、海外でも戦えます。半身で肩を入れてカットインを狙いながら、最後までパスを出せる状態を作れたから、大谷も世界で活躍できました。状況判断がよくなって、一緒にプレーしていても『見えているな』と感じました。

久保:今回の遠征を今後にどうつなげますか。

星野:この大会を選んだ理由や資金面のやりくりなどを報告書で残しておけば、今後日本協会がビーチハンドを強化する際の手がかりになるかもしれません。スポンサーにも「こういう活動しているなら、少しぐらい支援しようかな」と思っていただきたいですし。KUNOICHIとしては、今回の経験を9月の全日本ビーチハンドボール選手権につなげていきます。

久保:今年の全日本ビーチは9月9日、10日に愛知県の碧南緑地ビーチコートで開催されます。新たに興味を持った人が、ビーチハンドボールを見に来てくれるとうれしいですね。

 開放的な雰囲気のビーチハンドボールは、見る人もプレーする選手もお祭り気分(提供:KUNOICHI)

ビーチハンドボールとは ゴールキーパー(GK)1人とコートプレーヤー(CP)3人の計4人でプレーする。交代は自由。GKと同じユニフォームを着た「スペシャルプレーヤー」が攻撃参加するので、常に4対3の攻撃側有利で試合が行われる。スペシャルプレーヤーのシュートや、スカイプレー(空中でパスをもらって打つ)、スピンシュート(空中で一回転するシュート)などの創造性の高いシュートは2点になるのが大きな特徴。近い将来の五輪競技を目指している。試合は1セット10分で、2セット先取したチームの勝ち。お互いに1セットずつを取った場合、第3セットはシュートアウト(サッカーのPK戦を、ワンマン速攻のような形で行う)で決着をつける。

星野美佳 1984年2月27日生まれ、愛知県出身。身長160㎝、右利き。桜花学園高~愛知教育大~三重バイオレットアイリス。インドア時代は右利きのライトウイング(右サイド)。高い守備力と、柔軟性を生かした倒れ込みシュートが武器だった。日本リーグで5年間プレーしたが、インドアでの代表経験はなし。引退、結婚後にビーチハンドボールに目覚め、念願の日本代表入りをビーチで果たした。世界を目指すために、愛知県碧南市を拠点としたビーチハンドボールチーム「KUNOICHI」を立ち上げ、各地で体験会を開くなど、普及、育成にも力を入れている。 

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