柔らかい肩甲骨を生かして、鞭のようにしならせる右腕から放つ彼のロングシュートは時速120キロ台後半に達する。これがもし、直径約19センチのハンドボールではなく、直径72ミリの野球ボールだったらもっと速い?
ハンドボール男子日本代表で2021年東京、2024年パリ五輪に出場し、リーグHの所属チーム、ジークスター東京では2025-26年シーズンに副キャプテンを務める部井久アダム勇樹(26)が明日2025年8月6日、東京ドームで行われるプロ野球巨人-ヤクルト戦前のセレモニーでファーストピッチを務める。身長195センチの大型LB(レフトバック)。その剛速球シュートから「アダムキャノン」と呼ばれるハンドボール界屈指の剛腕がどんな投球を見せるのか。野球経験者以外では前人未踏の140キロ台の大台突破なるか。
140キロ台、野球未経験者では前人未踏
プロ野球NPB始球式での歴代球速ランキングを記事データベースで調べてみると、140キロ以上は4人いて、全員が野球経験者なのがわかる。
1位は昨夏2024年8月25日に147キロをマークした内田聖人さん。早稲田実高で2年夏に甲子園出場、早大を経て社会人野球や米独立リーグなどでも活躍したバリバリの野球OBだ。2位はご存知、現日本ハム監督の新庄剛志さん。現役引退2年後の2008年に145キロを投げた。
3位には陸上男子やり投げのロンドン五輪代表で中学時代に野球部だった村上幸史さん、4位には愛媛・済美高野球部出身でお笑い芸人ティモンディの高岸宏行さんが名を連ね、ここまでが140キロオーバーだ。10位には131キロで陸上ハンマー投げ日本記録保持者でアテネ五輪金メダリスト、現スポーツ庁長官の室伏広治さんがランクインしている。
もちろん、始球式やファーストピッチでの投球はセレモニー色が強く、球場(マウンド)のコンディションは様々で、通常はスパイクをはかないで投げるから急速はあくまで参考値ではある。
- 1位 147キロ 内田 聖人さん(2024年8月25日、ベルーナドーム)元社会人野球選手
- 2位 145キロ 新庄 剛志さん(2008年5月18日、福岡ヤフードーム)元プロ野球選手※引退から2年
- 3位 144キロ 村上 幸史さん(2015年5月28日、横浜スタジアム)陸上やり投げロンドン五輪代表
- 4位 142キロ 高岸 宏行さん(2021年4月3日、札幌ドーム)お笑い芸人、元愛媛・済美高野球部
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- 10位 131キロ 室伏 広治さん(2005年4月5日、横浜スタジアム)陸上ハンマー投げ日本記録保持者
「力強いストレートを全力投球」
東京ドームのマウンドに登場する注目の部井久アダム勇樹は、ハンドボール界きっての剛腕ロングシューターとして知られ、ガチンコで投げるならそのピッチングは注目に値する。
部井久の父イルファンさんはパキスタン出身で元クリケット選手、母ミヤコさんは元バレーボール選手のスポーツ一家に育った。部井久自身がハンドボールに出会ったのは小学6年の時。地元・福岡で身体能力の高い生徒を集めて競技適性を測る『タレント発掘事業』で才能を見出されたのがきっかけで、それまでは小学1年からソフトボールに取り組んでいた。

そんな部井久は「幼少期にソフトボールをしていたこともあって、プロ野球の大ファンです。全力投球し、夢の舞台をめいっぱい楽しみます」と意気込んでいる。「オリンピックに出場することと、プロ野球の試合で始球式を務めることが小さい頃からの必ず果たしたい夢でした。今回、そのどちらの夢も叶い、いま言葉にできないほどの幸せを感じています」とコメント。「当日は、ライデル(・マルティネス)投手のような力強いストレートを、甲斐選手に受け止めてもらいたいなと思っています」と自信をちらつかせている。

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