ホッケーの国際審判で日本人女性が快挙を達成した。南米チリ・サンティアゴのエスタディオ・ナシオナル・デ・チリで11月4日まで開催された第19回パン・アメリカン競技大会で、日本の国際審判、山田恵美さんが通算100試合目の国際試合の審判を務めた。1997年の加藤直美さん、2002年の安枝和子さん、2012年の相馬千恵子さんに続く4人目の偉業となった。
長野育ち、相馬千恵子審判から学ぶ
山田さんは長野育ち。兄の影響でホッケーを始め、山梨学院大に進学後もホッケーをプレー。大学3年生の時に山田さんは審判のホイッスルを初めて手にした。それ以来、2016年リオデジャネイロ大会まで4度の五輪で審判を務めた相馬千恵子氏の指導を受けながら、国際試合100試合の審判を務めあげる今回の快挙につなげた。
山田さんは「相馬さんから審判の第一歩を学んだ。私が国際審判員になってからも、いつも審判の話をたくさんしてきました。姉妹のように経験を分かち合うことができたし、彼女の指導はとても信頼できるものでした」と感謝する。
初の五輪での笛は東京。2024パリも決定
山田さんが初めて国際大会に出場したのは、2004年アジアカップ(インド)。だが、当時は国際審判の道に進むことにためらいがあった。しかし、2013年9月に、五輪が東京で2020年に開催されることが決まり、覚悟が決まった。
「2020年のオリンピックは母国開催だったので、審判をするのがとても楽しみでしたが、1年の延期を経て笛を吹いた初めてのオリンピックは空席ばかりで、とても悲しかった」と山田さんは当時のコロナ禍の状況に理解を示しつつも、心残りがあった。そして山田さんは2度目のチャンスを得ることに。2024年パリ五輪で審判を務めることもすでに決まっている。
「エミは献身的」。仲間からも厚い信頼
2012年のダブリンでのチャンピオンズ・チャレンジ以来、山田さんと共に審判に関わるアンパイア・マネージャーのルイーズ・ナイプは言う。「彼女の献身的な姿勢は本当に素晴らしく、東京五輪代表に選ばれるために努力することができました。エミは勤勉で謙虚だが、それ以上に素晴らしいチームメンバーです。彼女は楽しみながら自分の役割にも真剣に取り組んでおり、アジアの新進気鋭の審判員にとって素晴らしいお手本になる存在です」
女子審判で56人目の100試合達成
「審判の役割はホッケーの素晴らしい部分です」と山田さんは言う。「それを仕事にできる可能性のあるアンパイアは、自分の夢を追うべきです。私のアンパイアとしてのキャリアは、私の人生をとても充実したものにしてくれました」と山田さんは振り返る。
山田さんは、1984年から記録が残る女子の国際審判員としては56人目の100試合達成者となり、アジアからは2021年の中国のリウ・シャオインさん以来となった。
【日本女性の国際審判、他の競技では】
他の競技をみると、一部を除いて女性審判はまだ少ない。サッカーでは2022年、男子のFIFAワールドカップカタール大会の主審として、史上初めて女性審判が選ばれた。日本の山下良美さんを含む3人で、山下さんは2015年、国際審判としてデビューしている。バスケットボールやハンドボールでも数名で、すでに56人もの女性審判が100試合を達成しているホッケー界は先駆者といえそうだ。
競技 | 日本の女性審判員 | 国際登録年 | 主な大会 |
---|---|---|---|
サッカー(FIFA) | 山下良美 | 2015 | 2021東京五輪、2022FIFAワールドカップカタール大会 |
バスケットボール(FIBA) | 須黒祥子 | 2003 | 2004アテネ五輪 |
ハンドボール(IHF) | 島尻真理子 | 2012 |
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