心が、動いた アスリートの言葉。小野「足が休ませてくれというので」2023年9月

9月も終わります。パリ五輪開幕まできょう（2023年9月30日）であと300日です。今月も様々なスポーツシーンで、アスリートが放つ、心が動く言葉に出会いました。勝っても負けてもアスリートが放つ言葉には思いがこもり、それに私たちは勇気づけられます。「ペンで、心を動かす」をミッションに掲げる”Pen&Sports” [ペンスポ] では毎月末、アスリートが語った印象的な言葉を独自に切り取り、お届けします。

みんなに本当に助けられた。 死ぬまで代表でいつづけます

渡邊 雄太（バスケットボール日本代表）

2023年9月2日。バスケットボール男子が48年ぶりに自力で五輪出場を決めて

日本代表で唯一のNBAプレーヤー、渡邊（フェニックス・サンズ）はW杯でパリ五輪のアジア出場枠をつかめなければ、代表を引退すると宣言していました。

こんな大口たたいといて実はめちゃくちゃ不安でした。みんなに本当に助けられた。
死ぬまで代表でいつづけます。今後も応援お願いします！！！ https://t.co/3qjWGixeEn

— Yuta Watanabe 渡邊 雄太 (@wacchi1013) September 2, 2023

「勝たないと」という感じちゃいけない感情を、きょうはすごく感じた。弱い自分に負けた試合

小田 凱人（テニス・車いす部門）

2023年9月5日。全米オープンシングルス1回戦でストレート負けして

小田凱人（おだ・ときと、東海理化）は第1シード、得意のハードコートでまさかの初戦敗退を喫しました。「感じちゃいけない感情」「自分に負けた試合」との言葉に、17歳が自身に求めるものがにじみ出ているようです。

プレッシャーは我々の野心よりも小さい

アントワンヌ・デュポン（Antoine Dupont、ラグビーフランス代表）

2023年9月6日、ワールドカップフランス大会開幕・ニュージーランド戦を前に

デュポンはレ・ブルー（フランス代表の愛称）の主将で26歳。世界最高のSH（スクラムハーフ）との呼び声も高いスター選手です。ワールドカップで3度、2位どまりの母国を率いるプレッシャーたるや相当と思われ、記者会見でも「プレッシャーとの付き合い方」に質問が集まりました。

直訳すると上記のようになりますが、「自分たちの野心の方がプレッシャーより大きい」のが日本語的にはしっくりきます。自分に言い聞かせているかのようです。

もう一回、するからね。今日は予行演習

岡田 彰布（プロ野球 阪神タイガース監督）

2023年9月14日、18年ぶりのセ・リーグ優勝で

現役アスリートではありませんが、ビールかけで放った阪神・岡田監督の「きょうは予行演習や」という言葉に、選手たちへの愛を感じます。選手に重圧をかけないように「優勝」という言葉を封印して「アレ」と言い続けた岡田監督は、ある意味「言葉」の力を信じているのだと思います。クライマックスシリーズ（CS）、日本シリーズを勝ち抜いて、監督自身が現役だった1985年以来の日本一へ、道はつながりました。日本シリーズでの、パ・リーグ首位のオリックスとの「関西対決」の可能性もあるだけに、関西のプロ野球シーンは熱いですね！

率直に悔しい。ただ、下を向く時間はない

姫野 和樹（ラグビー日本代表主将）

2023年9月18日、ラグビーワールドカップ2023フランス大会、日本-イングランド戦で敗れて

日本は12－34で負けましたが、過去10回対戦して一度も勝利したことがない、前回準優勝国に善戦しました。NO8の姫野和樹主将は「下を向く時間はないので、しっかり準備したい」と力強くコメントしました。有言実行。9月29日のサモア戦では28－22で勝ち、決勝トーナメント進出に前進。10月8日には1次リーグ最終戦でアルゼンチンと対戦します。

“足”が、そろそろ休ませてくれと言うので

小野 伸二（サッカー・元日本代表、J1札幌）

サッカーと出会い39年間もの間、僕の相棒として戦ってくれた“足”がそろそろ休ませてくれと言うので、今シーズンを最後に、プロサッカー選手としての歩みを止めることを決めました。

小野選手（44歳）が自身の誕生日である9月27日、2023シーズンで現役を引退すると発表しました。類まれなるテクニックで、「黄金世代」を牽引し、ワールドカップには1998年フランス、2002年日韓、2006年ドイツ大会と3大会連続で出場しました。広告マンだったペンスポ編集長の原田は2001年、オランダ1部・フェイエノールトに在籍中だった小野選手をアクエリアスのCMに起用。ロッテルダムのロケで共に過ごしました。

15年前の今日、僕はサッカーをやっていた。5年前の今日、僕はサッカーをやっていた。そして今日、僕はサッカーをやっている。一生、スポーツ。アクエリアス。Kom op！（オランダ語でCome on!）

2001年「アクエリアス」CMより