ホッケーのアジア年間王者を決めるアジアチャンピオンズトロフィー2023(インド・チェンナイで開催中)で日本代表男子(世界ランキング19位)が快挙だ。2023年8月4日、超満員の観客が埋まる完全アウェーの環境下、世界ランキング4位で東京五輪銅メダルのインドに先制後、1-1で持ちこたえ、価値ある引き分けに持ち込んだ。パリ五輪の出場権がかかる9-10月のアジア大会(中国・杭州)でインドは日本に立ちはだかる強力なライバルとなるが、この大熱戦で弾みをつけた。
ロッチ中岡さん「どれだけスゴいか知ってほしい」
日本男子の久々の快進撃に日本ホッケー協会のアンバサダーを務めるタレントのロッチ中岡さんも熱くなった。
「全然ニュースにしてくれないね~」「どれだけスゴいか皆にも知ってほしい!!!!」「日本ホッケーサムライジャパン、頑張ってます!!!!!」などとつぶやいた。
ロッチ中岡さんは奈良・橿原市立大成中学校でホッケーをはじめ、スポーツ推薦で進学した私立大谷高等学校(京都府) でもホッケー部に所属。高校時代は日本代表入りを目指して努力していたという芸能界屈指のホッケー経験者だけに、インドとの真剣勝負での「ドロー」にどれだけの価値があるか、肌身で分かっている。
日本対インド戦の戦評:チームマネジャー・渡邉宏樹さん
試合の詳細は、男子日本代表チームに帯同しているチームマネジャー・渡邉宏樹さんによる戦評でチェックできる。
日本と世界ランキング4位の強豪国インドとの試合は、インドサポーターで満員のスタジアムで行われた。
第1Q 立ち上がりから日本はホームゲームとなるインドに対し果敢にプレスを仕掛けるもテクニック、スピードで上回るインドが試合の主導権を握った。1QにPCを8本取られGK吉川を中心に固い守りで失点を許さなかった。流石に世界最高峰のリーグ(プロリーグ)に出場しているだけあってそう簡単にプレーをさせてもらえない時間が続いた。
第2Q 28分、早いカウンターから#24河邉が2本目のPCを獲得すると#15永吉が狙い澄ました強烈なフリックシュートをゴールに突き刺し先制する。日本は相手のbuild-upをうまくプレスゾーンに追い込み徐々にペースを握っていく。2Qに#29北河がGKとして見事なセービングを連発し日本のゴールを守り抜き前半を終える。
第3Q 流石は世界トップレベルなだけあって後半に入ると一気にペースアップし日本のゴールに襲いかかってくる。43分、PCをとられ10本目となるところで世界のフリッカーとして有名な#13ハーマンプリートに強烈なフリックシュートを入れられて1-1となる。
第4Q その後も、キャプテンの#20大橋、ベテランの#13山下を中心に鉄壁の守りで4Qも失点する事なく試合終了となった。PCの数では圧倒的に劣っているものの、確実に得点を取り、選手一人一人が日本代表として体を張って守り抜くことができ、PCのアタックとディフェンスにおいては最重要課題として日々トレーニングを重ねてきた成果が現れた試合となった。
終始日本は堅実な守備と素早いカウンターアタックでインドに対抗し、あと一歩のところで勝つことは出来なかったが、格上の相手に対し、勝ち点1を取ることができた。インドはハイテクニック、ハイスピードを活かした攻撃で日本のゴールを狙ってきたが、守備において集中しチームとしてのまとまりを見せた熱い一戦となった。
(文責:男子日本代表チーム チームマネージャー 渡邉宏樹)
日本対インド戦ではFB永吉 拳(LIEBE栃木)がHero of the Matchに選ばれた。
インドのホッケー、シク教徒が活躍
「ペンスポ」編集者の多田は7年、インドの首都デリー近郊で暮らした。インドは元・イギリスの植民地で、統治者たちが持ち込んだクリケットやホッケーがいまでも盛んだ。日曜の朝はどこの空き地(公園にも及ばない)も「草クリケット」場だ。男性が2人集まれば(おそろしいほど真剣に!)プレーしている。
対するホッケーの存在感はクリケットほどではなく、ニュースはよく流れるものの、デリーの街角で見かけることはなかった。今回、この記事を編集していて気づいたのが、「選手にシク(シーク)教徒が多いな」ということ。集合写真をみると、16人中6人が頭に布(お団子状にまるめて)を巻いている。
これは髪を切らないシク教徒の習慣であるターバンの簡易版で、髪がまだ短い子どもや、スポーツをする際にシク教徒がしている。シク教徒はインドの人口のうち1.7%とされ、実は少数に当たるので、40%前後というのはかなり多い割合になる。先発メンバー表をみると、11人中7人の姓がシク教徒を表す「SINGH(シン)」だった。
シク教徒が多いインド北西部パンジャブ州は伝統的にホッケーが盛んだそうで、代表選手が多いのもむべなるかな。
アジアチャンピオンズトロフィー大会概要はコチラ
日本の次戦は8月6日(日)21:45(日本時間)よりパキスタン(世界ランキング16位)と対戦。本大会は、[ホッケー映像配信サイトWatch.hockey (英語) にてライブ配信 (予定・有料) で視聴可能。(※ 無料アカウント登録が必要)
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