【バレーボール】関菜々巳 イタリア2季目、先発定着。監督評は「ZEN」

イタリア2季目、ブスト・アルシツィオでのシーズンを終えた関菜々巳(写真提供:UYBA Volley Busto Arsizio)
イタリア2季目、ブスト・アルシツィオでのシーズンを終えた関菜々巳(写真提供:UYBA Volley Busto Arsizio) 
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バレーボール女子日本代表セッターの関菜々巳(26)は2026年4月12日、イタリアでの2シーズン目を終えた。1季目の2024-2025シーズンは世界トップクラブで今季もコッパ・イタリア、スクデット(リーグ優勝)、欧州チャンピオンズリーグでも決勝ラウンドを戦うコネリアーノに所属したが、2季目はさらなる出場機会を求めて中堅チームのブスト・アルシツィオに移籍。シーズン開始当初、セッターでキャプテンであるジェニファー・ボルディーニが負傷し、4戦目からはスタメンに定着してシーズンを戦い抜いた。全試合を終えて帰国準備中の関に、オンラインで話を聞いた。

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チャンス到来も「私1人で大丈夫?」

第4戦は控えセッターはいない試合だった=2025年10月19日キエリ戦(写真提供:UYBA Volley Busto Arsizio) 
第4戦は控えセッターはいない試合だった=2025年10月19日キエリ戦(写真提供:UYBA Volley Busto Arsizio) 

関に前回インタビューしたのは、2025年10月11日のシーズン開始当初。絶対的女王のコネリアーノからブスト・アルシツィオに移籍し「出場機会を自分から取りに行く」と意気込んでいた。そこから10日も経たないうちに、状況が大きく変わった。関とスタメン争いをするキャプテンのボルディーニが練習中に膝を負傷し、長期の戦線離脱を余儀なくされたのだ。

「チャンスが来たというよりも、セッターが私1人になってしまって大丈夫なのか、という不安の方が大きかったです」と当時の心境を振り返る。「もう1人のセッターが来るのかどうか、いつ来るのかも分からなかったので」と関は心配していたが、幸い次の試合までに元オーストリア代表のシュミットが合流した。

「こうなったらやるしかない」と、ポジティブに気持ちをもっていくことで不安をかき消していった関は、シーズンを通してコートに立ち続ける。とにかく試合での経験を増やす、という個人的な目標は達成することができた。

しかし、チームは浮き沈みが激しく6位〜13位の間を行ったり来たり。前半は6位で終了してコッパ・イタリアに出場するも、3位通過のキエリにフルセットで惜敗。後半は8位に滑り込んでプレーオフの出場を果たしたが、1位のコネリアーノとの対戦は3-1で敗れた。プレーオフ準々決勝敗者とレギュラーシーズン9位〜12位の8チームで争われる、CEVチャレンジカップ出場権をかけた5位決定戦では予選を通過できず、関のイタリア2シーズン目は4月12日に幕を閉じた。(下に記事が続きます)

バルボリーニ監督「セナ、AIのよう」

2024-25シーズンからブスト・アルシツィオの監督を務めるエンリコ・バルボリーニ(写真提供:UYBA Volley Busto Arsizio) 
2024-25シーズンからブスト・アルシツィオの監督を務めるエンリコ・バルボリーニ(写真提供:UYBA Volley Busto Arsizio) 

一方、イタリア2季目の日本人選手に「チームの司令塔」を委ねざるを得なかった、バルボリーニ監督はどのような心境だったのだろうか。

「彼女の能力なら、間違いなくチームに貢献できると信じていましたし、貢献してくれないといけない状態になりました。予想通りだったかって? 予想以上ですよ」と、3月15日の対フィレンツェ戦後のインタビューで、バルボリーニはこう答えた。

さらに、筆者の友人であるイタリア人コーチが発信するポッドキャストに出演したバルボリーニは、30分以上かけて関菜々巳という選手を語り尽くした。

日本人選手はフィジカルで不利だという前提からスタートする。ゆえにプレースタイルは、いかに速くいかに正確に行うか。速さは動きだけではなく、頭の回転や判断も含まれる。体のケアがオタク級。そして精神の落ち着きをとても重視するーー。「セナ(関の愛称)はいわば、ZENの哲学そのものなんですよ」と、想像以上にイタリアと異なる点があったと驚きを隠さない。

他にも「僕たちの常識になかった量のデータを要求し、それをAI(人工知能)を持ってるかのように処理をする」「練習はできたかどうかではなく、自分が納得できたかどうかまで行う」など、初めてリアルに接する日本人選手特有の世界観に深い感銘を受けたようだ。(下に記事が続きます)

自己肯定感の低さをカバーするために

練習を繰り返すことで自信をつけ、試合に挑む=2026年3月30日フィレンツェ戦にて(写真提供:UYBA Volley Busto Arsizio) 
練習を繰り返すことで自信をつけ、試合に挑む=2026年3月30日フィレンツェ戦にて(写真提供:UYBA Volley Busto Arsizio) 

バルボリーニが驚いた関の取り組み方について、本人はこう分析する。

「日本人って自己肯定感が低いじゃないですか。だから、自信が持てるまで何回も何回も繰り返す。でもこっちの人って自己肯定感が驚くほど高いので、試合でもできるって疑わないのだと思います」

イタリア生活が長い筆者も、この言葉を痛いほど理解できる。どちらがいいかという問題ではないが、イタリア人は何に関してもなんとかなる、なんとかする、という感覚が強く、実際になんとかなっていることが多い。できない時もあるが、それは仕方ない、そういうものだ、と流せる器量もある。

しかし「技術レベルが高いうえに試合でも同じことができるようにコツコツやる日本人選手に比べ、こっちの選手たちは急ぎすぎて一進一退」とポッドキャストでバルボリーニが言っていた通り、今季のチームはとにかく波があった。キャプテンのボルディーニが負傷、キャプテン代理になったファン・アヴェルマエトもシーズン途中でノヴァーラに移籍するなど、チームを引っ張る選手が不在だったのも大きな原因だったとはいえ、来季ではしっかり克服していくべき課題だ。

「浮くほうが怖い」露出ありの服も

1季目はコネリアーノで、2季目となる今季もブストでチームメートのエクルと=2026年4月4日キエリ戦にて(写真提供:UYBA Volley Busto Arsizio) 
1季目はコネリアーノで、2季目となる今季もブストでチームメートのエクルと=2026年4月4日キエリ戦にて(写真提供:UYBA Volley Busto Arsizio) 

監督以上に関をよく知るのは、コネリアーノ時代から2季連続でチームメートのカティア・エクル(22)だ。

「努力を惜しまず練習でも100%出し切る、そんな姿が印象的でした。でもすごく真面目で、コートの中でも硬い感じでした。私たちが崩しちゃいましたけどね」と笑う。そして「バレーボールは仕事だしとても大事だけど、長い人生だからそれ以外のことを構築していくべき。一日中、練習しかしないで、ずっとバレーのことしか考えないなんてありえないでしょう」と続けた。

関はそれをすぐに理解し、無意識に作っていた枠を取り払うのに時間はかからなかった。

「セナの答えは、いつも、何に対してもSì(はい)。新しいことに興味をもって、やる方を選ぶ。本当にオープンでファンタスティックなのよ」。インタビューしたこの日も試合があったフィレンツェに残り、翌日はフィレンツェ観光を一緒に楽しんだ。

2人ともお出かけが好きだし、食べるのが大好き!ビステッカ(トスカーナ名物Tボーンステーキ)も食べるわよ、と公言していた通り、1日フィレンツェ観光を楽しんだ2人=関とエクレのInstagram共同投稿

その前にもスイス旅行にも一緒に行ったり、ショッピングに出かけてはZARAなどでお互いの服を選びあったりもすると言う。それを聞いて、クラブのクリスマスパーティの様子をSNS投稿を思い出した。関が日本人らしからぬ、露出のある服を着ていたのだ。

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