【ハンドボール】最後の砦ゴールキーパー61人 | リーグH名鑑vol.7

【ハンドボール】最後の砦ゴールキーパー61人 | リーグH選手名鑑vol.7
左から中村匠(豊田合成ブルーファルコン名古屋)柿添まどか(ザ・テラスホテルズラティーダ琉球)境駿太(福井永平寺ブルーサンダー)榊真菜(HC名古屋)芳山直樹(アースフレンズBM東京・神奈川)=久保写す、以下すべて
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ハンドボールの各ポジションに求められる技術や役割を紹介するシリーズ。2025-26シーズンのリーグHでプレーする各チームの主力選手の特徴を、ポジションの役割ごとに分類していきます。第7回はゴールキーパー(GK)。最も試合に関与するポジションなので、GKに最も能力の高い選手を置くのが、現代ハンドボールの鉄則です。GKの阻止率はチームの勝敗に直結します。

目次

前田優(熊本ビューストピンディーズ)ノーマークに強い

前田優(熊本ビューストピンディーズ)は華のあるキーピングでチームを救う
前田優(熊本ビューストピンディーズ)は華のあるキーピングでチームを救う

DFがいないノーマークの場面は、GKが圧倒的不利です。シュートを決められて当たり前。だからこそGKが止めたらヒーローになれるシチュエーションです。いいGKはノーマークを止めて、試合の流れを根こそぎ持っていきます。

前田優(熊本ビューストピンディーズ)はノーマークに強く、見栄えがします。ノーマークをバチンと止めて、会場を沸かせます。試合中盤のDFが崩れかけた時間帯に出てきて、試合を引き締めます。

千葉夏希(三重バイオレットアイリス)はノーマークを止めて、今季は出場時間を増やしています。岩見佳音GKコーチが言うには「千葉は面が大きく、相手に覆いかぶさるように止められる」とのこと。岩見コーチの背番号12を受け継いだ2025-26シーズンに、飛躍の足がかりをつかみました。

矢村裕斗(ジークスター東京)は、毎年8月のパリ・サン=ジェルマン戦でノーマークを止めている印象があります。GKの層が厚いため出番は限られていますが、限られたチャンスをものにしたいところです。

友兼尚也(大同フェニックス東海)は大同伝統の5:1DFとの相性がいいベテラン。立体的なDFをするとスペースが広くなり、ノーマークシュートが多くなるので、ノーマークに強いGKが必要です。(下に記事が続きます)

高木アレキサンダー(富山ドリームス)サイドシュートに強い

サイドシュートに強い高木アレキサンダー(富山ドリームス)面が崩れない捕り方は必見
サイドシュートに強い高木アレキサンダー(富山ドリームス)。面が崩れない捕り方は必見

ノーマークシュートのなかでも特殊なのがサイドシュートです。他のシュートならシューターと正対できているのに、サイドシュートだけは正対できずに、面がよじれた状態になっているGKが結構います。人間の急所でもある体の中心を丸見えにするのは、人間の本能に反します。空手だったら半身の構えで、正中線をカバーします。でもGKは正中線を相手に見せたまま、止めにいかないといけません。

サイドシュートに強いのが高木アレキサンダー(富山ドリームス)。サイドシューターに正対し、最後まで面が崩れません。見ていて気持ちいいくらい、最後まで正対しています。サイドシュートの捕り方にはうるさい、アランマーレ富山の菊池啓太GKコーチも大絶賛していました。こういう一芸があれば、DFとリンクさせながら「GKの戦術的交代」がやりやすくなります。DFは相手の攻撃をサイドに追い込んで、GK高木で勝負。ロングシュートに強い野上遼真との使い分けが楽しみです。

榊真菜(HC名古屋)ロングシュートに強い

榊真菜(HC名古屋)はビジュアルも優れた人気選手。勤務先のドリーム・メディカルでは、さつまいも販売の看板娘でもある
榊真菜(HC名古屋)はビジュアルも優れた人気選手。勤務先のドリーム・メディカルでは、さつまいも販売の看板娘でもある

DFが間にいるシュートのことを「ディスタンスシュート」と呼びます。細かく分けると、9mラインの内側のシュートが「ミドルシュート」。9mラインの外のシュートが「ロングシュート」。DFと連携しながら止めるシュートです。

野上遼真(富山ドリームス)は190㎝の長身で、ハイコーナー(ゴールの上の両角)に余裕で手が届きます。パラパラとディスタンスシュートを打ってくるチームには、野上のサイズが効果的です。

下屋奏香(熊本ビューストピンディーズ)がなぜ地味に見えるのかを考えていたのですが、ようやく理由がわかりました。下屋はバチンと止めずに、体の中心で優しく止めて、なんなら両手キャッチしてしまうからです。ハイライトでは7mスローも両手キャッチしていました。DFと連携しつつ、最後まで体の中心をシュートに近づけていく、GKの基本ができている選手です。

リーグHの公式Xより

榊真菜(HC名古屋)はロングシュートに対する強さがベースにあります。ロングシュートで崩されなければ、阻止率はある程度計算が立ちます。榊の前の正GK瀧澤瞳子(元HC名古屋)もロングシュートに強く、技術とスタイルが受け継がれているようです。

川島豪(トヨタ自動車東日本レガロッソ宮城)大胆な仕掛け

川島豪(トヨタ自動車東日本レガロッソ宮城)は爆発力のあるGK。当たらない日にどう立て直すかが課題
川島豪(トヨタ自動車東日本レガロッソ宮城)は爆発力のあるGK。当たらない日にどう立て直すかが課題

ノーマークに強い選手にも色んなタイプがいます。自分から動いて積極的に仕掛けていくタイプは見栄えがするので、会場の空気を変えてくれます。ピンチは最大のチャンスでもあるのです。

川島豪(トヨタ自動車東日本レガロッソ宮城)はノーマークに強く、特に強打に立ち向かう勇気があります。法政二中(神奈川)の軟式野球部のエースだったこともあり、野球での対戦をノーマークシュートに応用できているのかもしれません。課題は本人が言うように「安定感」。ディスタンスシュートで阻止率が安定すれば、ノーマークでの大胆な仕掛けも増えてくるでしょう。

高橋海(大崎オーソル埼玉)も自分から仕掛けている時は好調です。法政二高(神奈川)では、川島豪の1学年先輩。初心者の川島は、髙橋の仕掛けを見て学んだそうです。先輩も負けてはいられません。2017年の高校三冠メンバーだった高橋なら、リーグHでももっとゲームを支配できるはずです。

中村匠(豊田合成ブルーファルコン名古屋)抜群の勝負強さ

圧巻の勝負強さ! 中村匠(豊田合成ブルーファルコン名古屋)は節目のシュートを何本も止めて、チームを勝たせてきた
圧巻の勝負強さ!中村匠(豊田合成ブルーファルコン名古屋)は節目のシュートを何本も止めて、チームを勝たせてきた

ノーマークの強さが進化すると、勝負強さになります。退場者が出てしまった直後に、相手が数的優位からノーマークを作り出したところで1本止めて、嫌な流れを断ち切ります。

国内で最もチームを勝たせてきたのが中村匠(豊田合成ブルーファルコン名古屋)です。感情を波立たせることなく、苦しい状況でも笑顔で声をかけ、節目の1本を止めてくれます。「逆を突かれたかな」と思われた場面でも、長い手足を目一杯伸ばして、残り手、残り足でセーブします。あとは国内での圧倒的な支配力を、世界でも発揮してくれたら。2026年は9月にアジア大会があり、翌2027年1月には世界選手権があります。代表メンバーとの連携を強化しやすい年なので、国際レベルでも安定感のあるキーピングを期待しています。

下馬場燦(香川銀行シラソル香川)は本人が思っている以上に、ゲームの流れが読めている選手。2025-26シーズンはあまり数字がよくないですが、勝負どころになるとたて続けにセーブします。悪いなりに試合をまとめるあたりは経験値でしょうか。2024年12月の日本選手権では、下馬場の大当たりが初優勝の原動力でした。短期決戦に強いのも下馬場の魅力です。

川村夏希(ブルーサクヤ鹿児島)は勝負強いというより「ツキがある」タイプ。ルーキーイヤーから、いいところで1本止めているイメージがあります。(下に記事が続きます)

境駿太(福井永平寺ブルーサンダー)誘い込むように捕る

ビジョントレーニングで距離感を調整する境駿太(福井永平寺ブルーサンダー)。深視力はGKに必要な能力だと思われる
ビジョントレーニングで距離感を調整する境駿太(福井永平寺ブルーサンダー)。深視力はGKに必要な能力だと思われる

一般的な誘う捕り方とは、わざと立ち位置をずらして、スペースを作る捕り方です。「なんで空いているんだろう?」と相手に考えさせるだけで、駆け引きで優位に立てます。ここで紹介するのは、少し違った捕り方です。

境駿太(福井永平寺ブルーサンダー)はいつもニコニコ、元気があって、チームの雰囲気をよくするGKです。好調時には、相手が「なぜか境の出している手の方に打ってしまう」キーピングをします。シューターは見えているはずなのに、境の手に吸い込まれるように打ってしまうのです。引退した関口勝志(現トヨタ自動車東日本レガロッソ宮城GKコーチ)も、同じようなことを言われていました。理由はわかっているはずなのに、次に対戦しても、また止められてしまうのはなぜか。ミステリアスなGKです。

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