イタリア男子バレーボールのコッパ・イタリアは2026年2月8日18時(日本時間9日2時)、ボローニャのウニポル・アリーナで決勝があり、準決勝でペルージャにストレート勝利して2年連続で決勝に進出したヴェローナが、昨年のリーグ覇者でコッパ・イタリアで過去に3度の優勝歴のあるトレンティーノを3-0(25-21,25-22、25-20)で下して初優勝した。コッパ・イタリアのファイナル4で準決勝、決勝いずれもストレート勝ちで優勝したのは2023年のピアチェンツァ以来3年ぶり。大会MVPは今季からヴェローナに加入したベテランセッター・クリステンソンが受賞した。
2月7日(土)15:30(日本時間 7日23:30)
2月7日(土)18:00(日本時間 8日2:00)
決勝(2月8日18:00=日本時間9日2:00)
圧倒的な攻撃力、相手ブロックを翻弄

第1セットからヴェローナが火を噴く。OHケイタのパイプに始まり、OPダルラン、OHモジッチとヴェローナのサイドがしっかり決める一方、トレンティーノはOPフォールのスパイクがコートを割る。ヴェローナがいきなり4-0とし、トレンティーノはたまらずにタイムアウト。一度は1点差まで縮まったが、ヴェローナは一度も相手にリードを許すことなく、25-21で先取した。
第2セットは序盤からヴェローナのミスが続いて3-6となり、ソーリ監督がタイムアウトをとった。「今、すぐに修正しなくてはいけない」の指示通り、10-10の同点に持ち込んだ。そこからはケイタへのブロック2本やOPフォールが確実に決めるトレンティーノと、多彩な攻撃で取り返すヴェローナの抜きつ抜かれつの展開が続く。終盤コートに入ったベテランMBジンガーがOPファールをシャットしたのを分岐点に22-22。そこからケイタのエース、トレンティーノのアタックミス、そしてまたしてもケイタのエースと3ブレークで締めくくり、このセットもヴェローナが取り切った。
アリーナの空気は完全にヴェローナに傾き、第3セット開始直後からトレンティーノがミスを連発。15-9とヴェローナが大量リードするも、終盤になってOHラモンのエース、OPフォールの3連続スパイクなどでブレークを許し、21-18まで詰め寄られる。しかし、ここでも状況を打破したのはMBジンガーのクイックだ。マッチポイントでは優勝へのボールを託されたキャプテン・モジッチが決め、ヴェローナが決勝もストレート勝ち。わずか創部5年目でクラブ初の栄冠を勝ち取った。(下に記事が続きます)
ゼロからのスタート、5年目で叶った夢

RAI(国営放送)のインタビューにまず呼ばれたのは、目に涙を浮かべたモジッチだった。「昨年の決勝敗戦から1年間、悔しい思いをしてやっと達成できましたね」の言葉に、「1年じゃないですよ!生まれてからの夢はイタリアでプレーすることだった。何もないクラブだったけど19歳でコートに入れてもらって5年、本当にクラブには感謝している。次のトロフィーが5年後じゃないといいけれど、とにかく今日は本当に満足している」と顔をくしゃくしゃにさせた。
何もないクラブから5年ーー。お祝いが続くコートで、ゼネラルマネジャーのマルケージ氏に話を聞いた。2021年に新生ヴェローナを誕生させた立役者の1人で、ちょうど1年前の取材では創部から現在までのストーリーを語ってくれた人物だ。
「こんなに早くこの日が来るとは思ってもみませんでした。今日は歴史に残る大きな一歩です。ヴェローナの町にとっても大きな意味がある結果。僕たちは本当に素晴らしかったし、とても嬉しい。今日は勝利に酔いしれますが、明日からは残りシーズンとスーペルコッパのことを考えなければなりません」
目標は当然スクデットですよね?の問いに、「Sì(はい)!」と力強く答えた。

MVPクリステンソン「僕たちは今晩、歴史を作った」

RAIのインタビューで、モジッチは競り合った第2セットをこう振り返った。「少しメンタルの疲れがでたかも。みんなが沈んだ時でも、唯一頭が冴えていたのはマイカ(クリステンソン)でした」
今季加入したセッターのクリステンソンは、ポテンシャルは高いけれど粗削りだったこのチームを変えた。どんなにファーストタッチが乱れても、走って走ってファーサイドにあげる。ネットから離れてもクイックを使う。どんなセットも妥協せずに最適解を導き出し、準決勝でも決勝でも、相手のブロックを絞らせなかった。そんな優位な状況でヴェローナの若き「野獣」たちはブロックの上から、間から、面白いようにアタックを決めた。そんなチームの司令塔が、クラブ史上初の優勝でMVPに輝いた。
MVP受賞後のスピーチで「何よりもヴェローナのファンに、クラブにお礼を言いたい、僕たちは歴史を作りました、今晩、歴史を作ったのです!」と叫ぶと、会場は沸きに沸いた。今晩はお祝いですね、の問いかけには後ろのチームメイトのほうを振り返り「今夜は祝うぞ、飲み代は払ってよ」と終始ユーモアを忘れない。スピーチまで超一流のクリステンソンだった。
MVPのクリステンソン以外にも、それぞれが役割をまっとうした。圧倒的なポテンシャルをもつケイタ、モジッチ、ダルランのサイドアタッカーに、シャットだけでなく粘り強くタッチしてラリーをつなげ、高いアタック決定率を誇るミドルブロッカー陣。そしてスタフォリーニの安定したレセプションとスーパーセーブが何度もチームを救った。正リベロのダミーコが負傷離脱し、12月半ばに急遽ミラノから移籍したばかりとは思えない活躍だ。
筆者の「移籍から優勝まで、濃厚な2か月を振り返ってどうですか?」の質問に、「初日から暖かく迎え入れてくれたクラブとファンに感謝します。たった2か月でコッパ・イタリアで優勝できるなんて信じられない、本当に幸せです」。
若干22歳のスタフォリーニは、ミラノでは控えで出場機会も多くなかった。突然の大舞台に際しては「とにかく自分のやるべきことに集中しつつ、考えすぎないように、その瞬間瞬間を楽しむように努めました」とこの2日間をしみじみと振り返った。(下に記事が続きます)
ソーリ監督「昨晩は一睡もせずクレイジーに決勝へ」

ソーリ監督は、トレンティーノで指揮を執った2023-24シーズンはチャンピオンズリーグ優勝、同じくトレンティーノで2024-25シーズンはリーグ優勝、今季はヴェローナで自身も初のコッパ・イタリア優勝と3シーズン連続で栄冠をつかんだ。
ここ最近では一番優勝してる監督になりますね、の問いかけに「他にもたくさんいらっしゃいますよ」とまず断ったうえで、「僕の仕事の結果ですが、クラブや選手との協働がなければ成し遂げられないことです」と感無量の表情で答えた。
「困難が予想される決勝を控えて、昨晩は一睡もできなかったです。僕たちのチームはちょっとクレイジーなので、微笑みながら辛いことをやるんですよ」。そうして迎えた決勝の採点は「完璧ではなかったけれど、優勝できたから満点」。お祝いはするけれどさすがに疲れ果てているので、今晩は少しは寝るそうだ。
これから強豪に近づくには、さらに成長しなければならない。そう語る監督の前に応援団が並び、ソーリコールで最後は声がかき消されてインタビューは終わった。
準々決勝から3試合連続3-0で優勝に上り詰めた「完全優勝」とも言える内容で、ヴェローナの強さだけが際立ったコッパイタリア。しかしヴェローナに2年連続コッパ準決勝敗退でリベンジに燃えるペルージャ、世界バレーMVPでイタリア代表ミキエレットを欠いたトレンティーノも復調してくるに違いない。次のトロフィーをかけた戦いは、3週間後のスーペルコッパ、そしてスクデットを争うプレーオフへと続く。


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