クロアチア、ノルウェー、デンマークの3か国共同開催で開かれているハンドボールの男子世界選手権で衝撃的なことが起きています。これまで過去最多5度の世界選手権優勝を誇り、2021年東京五輪では金メダルを獲得したフランスが1月30日(日本時間1月31日)、今朝の準決勝で敗れました。大本命のフランスを31-28(前半18-11)で撃破したのは2021年世界選手権では15位、2023年には9位という結果に終わっていた伏兵のクロアチアです。
元日本代表監督のシグルドソン氏が決勝に導く
ホーム・ザグレブのアリーナの1万5,600人の大観衆の前で、クロアチアを2009年以来の決勝進出に導いた指揮官は、1年前の今ごろまでは日本代表監督だったあの、ダグル・シグルドソン氏(51)です。IHF(国際ハンドボール連盟)サイトはクロアチアの勝利は”Incredible Come back”(信じがたい復活)と伝え、 シグルドソン氏はまるで英雄のように扱われています。シグルドソン氏が日本を去った経緯からすると、日本のハンドボールファンにとっては複雑です。(下に記事が続きます)
突然の「破局」は1年前
日本ハンドボール協会がシグルドソン監督の辞意を公表したのはちょうど1年前の2024年2月8日でした。
「シグルドソン監督との契約期間はオリンピックパリ大会終了後までにもかかわらず、2月3日に突然本人より、オリンピックの開催を待たずに男子日本代表監督を辞任し他国の監督に就任したい旨の意向が伝えられました」
パリ五輪予選では36年ぶりとなる日本の自力での五輪出場権獲得し、五輪本番でもシグルドソン氏が日本を率いるのが既定路線だったなか、それは突然の「破局」でした。シグルドソン氏はその理由を「詳しくは話せない」と複数のメディアに語っていますが、日本ハンドボール協会(JHA)との契約を反故にするほど、協会との間に溝ができていたことは確実。2024年2月末にクロアチア代表監督就任が発表されました。
日本とクロアチア、パリ五輪では1点差の大接戦
クロアチアと言えば、昨夏のパリ五輪で日本代表が初戦でぶつかった相手でした。試合終了と同時に勝ち越しゴールを決められて29-30で敗れたものの、日本が最後まで食らいついた大接戦の記憶が蘇ります。あの時、敵将のシグルドソン氏は躍動する日本の教え子たちを「鏡を見ているようだった」という言葉を残しています。
そのパリ五輪から半年。
パリで1点差の激闘を繰り広げたクロアチアと日本の立ち位置は、今回の世界選手権でとてつもない差となって現れました。決勝進出まで上り詰めたクロアチアに対し、予選ラウンドで1勝もできず、下位グループによる順位決定戦で32チーム中28位で大会を終えた日本代表(彗星JAPAN)。もしもシグルドソン氏が日本を率いていたらどうだったか、と想像してしまいます。
決勝はポルトガルVSデンマークの勝者と
男子世界選手権決勝は2月2日、ノルウェーのベールムで開催され、クロアチアはポルトガルとデンマークの勝者と対戦します。シグルドソン監督率いるクロアチアの快進撃を見届けたいと同時に、やっぱりどこかで恨めしい気持ちになるのは私だけでしょうか。
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