【バレーボール】セリエＡ開幕秒読み 初昇格「ユアサバッテリー」ってどんなチーム？9/29開幕戦はモンツァと

バレーボール男子の世界最高峰リーグの一つ、イタリア・セリエAの2024年ｰ2025年シーズンが9月29日に開幕する。今季参戦する12チームでは、ペルージャで石川祐希（28）、ミラノで大塚達宣（23）、チステルナで垂水優芽（23）の3人の日本人アウトサイドヒッター（OH）がプレーするが、日本にゆかりがあるチームがもう一つ、新たに加わる。昨シーズン最下位で自動降格したカターニアに代わって、下部のセリエA2プレーオフを制して昇格する「ユアサバッテリー・グロッタッツォリーナ / Yuasa Battery Grottazzolina」だ。乗用車やバイクなどのバッテリーで世界的シェアを誇る日本発ブランド「YUASA BATTERY」がユニホームの胸に燦然と輝く新参チーム。開幕戦は、昨季準優勝のモンツァをホームで迎え撃つ。ユアサバッテリーはどんなチームなのか？

京都が本社、GSユアサに電話取材

Pen＆Sports [ペンスポ] は2024年9月、「ユアサバッテリー」という日本発ブランドをチーム名に冠したグロッタッツォリーナについて探るため、京都市に本社がある株式会社GSユアサに電話取材した。

「バレーボールのセリエAに今季から『ユアサバッテリー』が昇格するのですが…」

一通り取材の主旨を説明して電話を切ると、数日後に丁寧な回答がメールで返ってきた。

「弊社のグループ会社、GSユアサバッテリー・イタリア / GS YUASA BATTERY ITALIAが2023年から協賛（メインスポンサー）しています」

「目的はイタリア市場におけるブランド知名度向上」

「（セリエAは）毎週日曜日に試合があり、テレビや雑誌などのメディアで取り上げられるため、チームの名称や雑誌、写真を使って現地顧客への宣伝を行っているということです」。

そして最後にはこんなコメントがついていた。

「石川選手の活躍は現地でも認知があるということです」(下に記事が続きます）

50年以上のクラブ史上初のセリエA昇格

グロッタッツォリーナは1970年設立の古参チーム。50年以上の歴史で初めてセリエAに昇格する。イタリアの現地メディアは「夢が実現した」「グロッタッツォリーナは2024-2025年シーズンにようやく、イタリアのバレーボールのエリートたちと競う権利を獲得した」などと大々的に報じている。

セリエAの公式サイトは、ユアサバッテリーがグロッタッツォリーナの協賛を発表した際の記事でGSユアサについて「日本の京都に本社を置く、バッテリー、アキュムレーター分野の世界的リーダーです。売上高は 37 億ドル、世界中に 31 の生産拠点、ヨーロッパに 6 つの支店があります。何よりも注目すべき数字は、従業員数 （連結）14,000 人です」と紹介。「チームのルーツであるマルケ州のモンテジョルジョとグロッタッツォリーナの二つの街の人口を足したものよりもはるかに大きい」などと説明した。

「先物買い」が奏功し、協賛から1年でセリエA昇格を果たしたチームを「ユアサバッテリー」という愛称で呼ぶファンは多いという。(下に記事が続きます)

戦力見劣り「残留が目標」

ただ、現実は厳しい。ここ2シーズンは新規昇格チームがセリエAに残留できていないのだ。チームの主軸は2シーズン前に高橋藍（現サントリー）とパドヴァで共にプレーしたオポジットのドゥシャン・ペトコビッチ（セルビア）、セッターのツィマフェイ・ジュコウスキ（クロアチア）、パリ五輪代表だったミドルブロッカー、ダニー・デミャネンコ（カナダ）らになる想定だが、正直、他のチームと比べると戦力は見劣りする。さらに、チームを率いて9季目になるマッシミリアーノ・オルテンツィ監督は43歳で、セリエＡの12チームのなかでは最年少だ。

ユアサバッテリー・グロタッツォリーナは「新参チームとして、大きな舞台に熱意を持って臨むが、同時に目の前に大きな山が待ち受けていることを知る者としての自覚と謙虚さも持ち、その旅を楽しむことと、セリエＡの残留に向けて全力を尽くす」という目標を掲げ、待ちに待ったセリエAでのデビューを果たす。