ハンドボール女子日本代表(おりひめジャパン)のパリ五輪への挑戦が終わった。五輪世界最終予選は2024年4月14日、ハンガリーのデブレツェンで最終日の2試合が行われ、トーナメント1(日本、ハンガリー、スウェーデン、英国)の日本は地元ハンガリーとの最終戦で28-37(11-18,17-19)で敗れ、通算1勝2敗の3位に終わり、上位2チームに与えられる出場権に届かなかった。3年前の東京五輪には開催国枠で出場した日本女子だが、1976年モントリオール五輪以来となる自力での五輪出場はかなわなかった。スウェーデンとハンガリーが五輪出場権を獲得した。(取材協力:エバー航空)
リードできたのは前半4分まで
日本は試合開始からギア全開でいくはずが、自分たちのミスで流れを手放した。
パリ五輪の切符をつかむにはハンガリーを得失点差で逆転する「5点差以上の勝利」という条件を背負っていた日本。楠本繁生監督は「試合開始から立ち上がりの10分がカギ」と主将のCB相澤菜月を中心とした速いテンポのゲームメイクで、序盤からリードするプランを練っていた。ところが、日本がリードできたのは2-1で勝っていた前半4分まで。その後は細かい連係ミスから、点差をジリジリと広げられた。
「ミスから主導権を手放した」
劣勢を跳ね返そうと、日本は早々に賭けに出る。前半から味方GKを下げてフィールドプレーヤーを増やす7人攻撃を多用したが、勇敢に前に出てくる相手GKの威圧感の前に決定力を欠いた。
そこから逆にボールを奪われ、無人のゴールにロングシュートを再三流し込まれて失点を重ねた。パスミスも頻発して、持ち味の速攻を自ら寸断してしまう場面も目立った。前半で連続得点が奪えたのは2回だけ。「攻撃のリズムが悪く、バタバタしてしまった」と楠本監督。リードしておきたかった前半は7点ビハインド。仕切り直すはずの後半2分には、PV永田美香のひじと相手の顔面が接触してレッドカードを受ける不運も重なり、日本は最後まで挽回の糸口をつかめなかった。
主将の相澤は試合後の記者会見に、首や両腕にできたひっかき傷から出血しながら現れた。そして涙目でこういった。「自分たちのミスからハンガリーに主導権を渡してしまった。日本のハンドボールを見せるんだという意気込みでしたが、それはきょう出来なかった。(次の五輪では)さらに強くなった日本のハンドボールをみせたい」(下に記事が続きます)
代表最年少の吉野「必ずリベンジしたい」
ハンガリー選手たちがユニホームの上から「Ticket to Paris」というTシャツを着て輪になって喜ぶ姿を日本の選手たちは同じコートで呆然と見つめていた。涙を流す選手もいた。その中には日本代表最年少の21歳、RW吉野珊珠(大阪体育大学)の姿もあった。代表初選出ながら世界最終予選の全3試合に出場し、この日は1得点。3本放ったシュートのうち相手GKに止められた2本を悔やんだ。
「ハンガリーのゴールキーパーは大きくて、手足が長い日本にはいないタイプ。しかも、前に出てこられて…。止められるかもしれないとわかっていても、相手GKの頭越しの弱いループシュートを打ってしまった。もっと強いたたきつけるシュートをなぜ打てなかったか。私は気持ちで負けてしまったのかもしれない」。また涙がほほをつたった。
それでも、ディフェンスでは相手に応じた間合いで体を張り、ヨーロッパの選手相手にも通用した手ごたえがあった。「パリ五輪には出場できなかったけれど、必ずリベンジしたい。4年後のロサンゼルス五輪はもちろん自分が代表を引っ張っていきます」と涙をぬぐった。
楠本監督のコメント ハンガリー戦での勝利を求めて準備してきたが、力及ばず非常に悔しい結果になった。この経験を糧にして新しい代表チームにはスタートを切ってもらえたらと思う。代表監督としての自分の契約はパリ五輪までということになっている。大学(大阪体育大学)にもそういう話をしているので、自分自身としてはこれで一区切りだと思っている。(監督を要請されたら?)今後のことはすべて白紙です。
パリ五輪出場12チーム出そろう
パリ五輪の抽選は4月16日、パリで行われる。12チームは下記の通りで、6つに分けられて抽選する。
Pot 1 – ノルウェー / ハンガリー
Pot 2 – オランダ / ドイツ
Pot 3 – スロベニア / スペイン
Pot 4 – スウェーデン / フランス
Pot 5 – デンマーク / ブラジル
Pot 6 – アンゴラ / 韓国
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