カタール・ドーハで開催されている世界水泳第4日の2024年2月14日、競泳男子200メートルバタフライ決勝で日本のエース本多灯(22)=イトマン東京=が1分53秒88で金メダルを獲得した。今大会で日本勢の金メダル第1号。本多は同種目で世界選手権を制した初めての日本選手となったこともあり、マスコミやネットニュースで大きく報じられたが、ネット上のニュースで配信されたスポーツ報知の記事の見出しが物議を醸している。その見出しとは「本多灯、失格ギリギリの泳ぎで金メダルつかんだ」というものだった。
スポーツ報知の記事は2月16日午前5時に配信され、Yahoo!ニュースでも取り上げられた。記事中には「決勝では、ターンでリードされても失格ギリギリの15メートル近くまで潜ってリードを奪った」という描写があり、見出しはその部分から編集者がとったと思われる。
文句なしの金メダルなのに「グレーな印象」?
いうまでもなく本多の泳ぎは文句なしの金メダルであり、ルールにも一切反していない。つまり、競泳ではスタート後とターンしてからは15メートルまでに浮上しなければ失格となるルールがある中、本多は(水面で受ける抵抗を減らすため)潜水制限の15メートルぎりぎりまで攻める(規定範囲内の)泳ぎをしたのだが、記事ではその説明がやや言葉足らずだった。さらに「失格ギリギリ」の見出しは「失格」に近いグレーな印象を与えてしまう誤解を与えかねない見出しだと、私自身も感じた。(下に記事が続きます)
「1ミリも悪いことしていないのに」
Yahoo!ニュースのコメント欄には「失格ギリギリ」の記事の見出しに以下のようなコメントが並ぶ。
「この見出しに悪意しか感じない」
「余計な一言だわ」
「△失格ギリギリ 〇規定ギリギリ」
「15m潜ることを失格ギリギリとは言わなくても。1ミリも悪いことしていないのに。めちゃくちゃ練習したから出来る技術ですよ。これは」
「なんでこんなワードチョイスするかな。200mバタフライにおいてしっかりターン後15m潜れるのは凄まじい努力・技術・精神力なんよ。悪いこと寄りのグレーゾーンみたいな言い方はさすがにおかしい」
「間違ってはいないんだけどなんか違うよなーという気分になる。投擲種目でラインぎりぎりまで踏み込んで投げるのとあまり変わらない気がするので」
新聞紙面には異なる見出し
ちなみに私はスポーツ報知の愛読者。同じ記事が載っていた2024年2月16日付の新聞紙面には「見よ!!あれが巴里の灯だ」という異なる見出しがついていた。
本多が金メダルをつかんだ今回の世界水泳ドーハ大会男子200mバタフライは昨夏の世界水泳福岡を制したレオン・マルシャン、東京五輪金メダルで世界記録保持者のクリストフ・ミラク(ハンガリー)が欠場した。ライバル不在で条件にも恵まれたが、本多は確実に世界水泳ドーハ大会でパリ五輪に弾みをつけたと言える。今回のスポーツ報知の見出しは、本多の快挙に水を差しかねない内容だったが、Yahoo!ニュースのコメント欄に並んだ本多を擁護するコメントには救われる思いがした。
本多は3月のパリ五輪代表国内選考会で派遣標準記録(1分55秒27)を突破し、2位以内に入ればパリ五輪内定となる。本多は2月5日に左足首を捻挫していたこともあり、16日に予選が始まった100mバタフライと18日にある400m個人メドレーの両種目を欠場することが日本水連から発表されている。
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