バレーボールのイタリアリーグ1部・セリエAのペルージャがこの秋、日本にやって来るというニュースが駆け巡っています。SVリーグのサントリーサンバーズ大阪が2025年1月22日、ペルージャとのパートナーシップ締結を発表。選手やスタッフの人材交流や、ビジネスにまつわる情報交換を相互に進めるほか、10月7、8日には有明アリーナ(東京)で両チームによるエキシビションマッチが開催されることも発表されました。イタリア、日本の国内リーグの両雄が独自にバレーを通じて交流していくことは、歓迎すべきこと。ただ、今回のエキシビションマッチ2試合の日程は客観的に見て、ちょっと無理があるようで…。
世界選手権決勝、3位決定戦から中8日
パートナーシップ締結発表の22日、ネットニュースは日本代表の石川祐希が所属するペルージャと、高橋藍、小野寺太志らを擁するサントリーの対戦が東京で実現!などと伝え、ネット上では「日本でペルージャが観られるなんてアツい!」などのコメントが飛び交っています。エキシビションマッチが開催される10月7、8日前後の有明アリーナ近くのホテルは、まだ試合チケットの発売前にも関わらず、すでに予約が殺到しているところもあるとか。でも、そのエキシビションマッチ、果たしてどんな試合になるのでしょうか。
10月のエキシビションマッチの直前、男子バレーは9月12日から28日までの17日間、フィリピン・マニラで男子世界選手権が行われます。五輪出場国が12カ国なのに対して、世界選手権には32カ国が出場。日本代表もローラン・ティリ新監督のもと、全力でメダルを狙いに行く重要な大会です。
それはペルージャに在籍するイタリア代表のジャンネッリやルッソも、ウクライナ代表のプロトニツキも、アルゼンチン代表のロセルやソレも、ポーランド代表のセメニウクも同じ。世界選手権で4強に残った国の選手がペルージャやサントリーにいた場合、エキシビションマッチまではわずか中8日の強行日程です。
スポーツ < ショーに
本来なら世界選手権直後は休養優先の貴重なオフの時期。しかも、それぞれのリーグ開幕直前の重要な準備期間。ペルージャがベストメンバーをそろえて来日するとは見通せず、ましてその選手たちは全力で戦うことはありません。「花相撲」とまでは言いませんが、「スポーツ」ではなく「ショー(興行)」に近い試合になると個人的には見ています。
事実、ペルージャのシルチ会長も今回のパートナーシップ締結について、「バレーが急速に強くなっている日本で、ペルージャの認知度が高まることが非常に重要なこと」と、強化ではなく、ビジネスやファン拡大を念頭にした発言をしています。(下に記事が続きます)
興行で終わらせてほしくない
せっかくのバレーボール世界ナンバーワンクラブのペルージャの来日を「興行」で終わらせてほしくないと願っています。高額チケットを早い者勝ちで売りさばくのではなく、ペルージャや日本代表選手に憧れる、小中学生を無料招待したり、試合前に彼らに短時間でもクリニックしたりして、次世代をインスパイアしてほしいと思います。
一方、試合のある10月8日は1937年にサントリーの「角瓶」が販売されて88年目の記念日で「角ハイボールの日」らしいので、ハイ「ボール」とバレー「ボール」を掛け合わせた、大人の新しいバレー観戦スタイルを提案するアクティベーションに、振り切る手もあるでしょう。
ペルージャは世界屈指のスター選手が集まる多国籍チーム。サントリーが協賛出店し、高橋藍のスペシャルサポーター就任が発表された大阪・関西万博は10月13日まで開催されています。ペルージャ、サントリーの両チームがそろって万博会場を短時間でもいいので訪れ、バレーボールを通じた世界平和、国際交流を発信するのも面白い試みだと思います。
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テレビ放送してほしい‼️