パリ五輪まであと4日。2024年7月26日にある開会式では、いよいよルーブル美術館前のチェイルリー公園に設置された聖火台に聖火が灯ります。パリ郊外のサンドニにオープンした選手村にはすでに2千人の選手が世界中から入村し、日本選手団も卓球、ボクシング、体操男子などが続々と選手村入りしています。日本の選手数は409人(男子218人、女子191人)で国外で開かれる五輪では過去最多に。大会は閉会式がある8月11日まで32競技329種目が実施され、205の国と地域から約10500人の選手が参加します。
開会式はセーヌ川 90艇がパレード
開催都市のフランスの首都パリで五輪が開かれるのは1900年、1924年に続き3回目。ロンドンと並んで史上最多の開催都市となります。パリは世界平和実現のために五輪を提唱した「近代五輪の父」と呼ばれるピエール・ド・クーベルタン男爵の地元でもあり、今回のパリ五輪は1924年の第8回大会からちょうど100年の節目となります。
開会式は夏季五輪史上初めて、スタジアム外で行なわれます。舞台はセーヌ川。選手たちは入場行進の代わりに90艇以上の船に乗って川上をパレードする予定で、かつてない光景が見られそうです。ただ、日本勢にはバレー男子、バスケ男子、ハンド男子など翌日に試合を控える選手たちも多く、残念ながら競技優先で開会式には出られない選手も多そうです。
筆者は2008年北京五輪開会式を北京国家体育場(通称・鳥の巣)、2016年リオデジャネイロ五輪開会式をマラカナンスタジアムの記者席で取材しました。今回のパリ五輪はどこで開会式を見届けるか、思案しています。(下に記事が続きます)
32競技329種目 新競技にブレイキン
開会式に先立ち、競技は7人制ラグビー、サッカーの1次リーグが2024年7月24日に始まります。競技は前回2021年の東京五輪(33競技、339種目)より1競技10種目少ない32競技329種目が実施されます。前回東京五輪で行なわれた野球・ソフトボール、空手は実施されず、東京五輪で新競技となったスケートボード、スポーツクライミング、サーフィンは引き継がれます。パリ五輪で採用される唯一の新競技は「ブレイキン」(ブレークダンス)のみです。
日本のメダル第1号は柔道か
開会式翌日2024年7月27日から本格的に競技が始まり、一部の競技でその日に「決勝」があります。パリ五輪は序盤からヒートアップしそうなプログラムが組まれています。
まず日本が出場する団体球技3連発。日本時間の27日16:00から金メダルを目指す男子バレーの初戦、日本ードイツ戦があります。同日20:30からはバスケットボール男子予選ラウンド、日本ードイツ戦。21:00からはハンドボール男子予選ラウンド日本ークロアチア戦と注目競技が目白押しです。
さらにこの日は柔道女子48kg級に角田夏実、男子60kg級には永山竜樹が登場。23時からの決勝ラウンドで今大会日本勢初メダルの可能性があります。先にメダルを取った方が日本選手団夏季五輪通算500個目のメダルになります。
日本選手団最年少で14歳の小野寺吟雲、東京五輪初代金メダリストの堀米雄斗、東京五輪代表の白井空良が出場するスケートボードストリート決勝は同日24時から。こちらもメダル獲得の可能性があります。
大会全体のスケジュールを見てみると人気競技の陸上競技(トラック&フィールド)や競泳の決勝、柔道の決勝ラウンドなどが現地時間の夜に予定されています。パリと東京との時差は-7時間。ということは、日本で生中継されるのは深夜から未明の時間帯となり、日本の五輪ファンにとっては連日の「寝不足」が課題となりそうです。一方、男女のマラソン(男子は8月10日、女子は8月11日決勝)は現地時間の午前8時スタート予定。日本の夕方の時間帯にフィニッシュします。(下に記事が続きます)
豪華すぎる競技会場
パリ五輪の特徴は、多くの競技会場が有名なランドマークと見事に融合している点です。例えば、エッフェル塔の真下でのビーチバレー。男女のマラソンはパリ市庁舎からスタートし、ベルサイユ宮殿で折り返し。オペラ座やルーブル美術館、エッフェル塔を経由して皇帝ナポレオンが眠るアンバリッド(廃兵院)がフィニッシュ地点です。
セーヌ川左岸のルイ14世が傷痍軍人の受け入れ施設として造った歴史的建造物、アンヴァリッドはアーチェリーの会場。ヴェルサイユ宮殿では馬術が開かれます。1900年のパリ万国博覧会の展示会場として建てられたグラン・パレではフェンシングやテコンドーの会場となっています。
大半の競技がパリやパリ近郊で行なわれますが、セーリングは南仏の港町マルセイユが会場。サーフィンはパリから1万5700キロ離れていて、東京からの方がむしろ近いフランス領ポリネシアのタヒチで開催されます。(下に記事が続きます)
東京五輪から3年
コロナ禍で大半の競技が無観客で行われた2021年の「静まり返った」東京五輪から3年。ニューノーマル(新しい日常)で再始動した世界が集う五輪に祝祭感が戻ってきます。一方、2022年2月から続くロシアによるウクライナ侵攻、停戦交渉が難航するイスラエルとハマスなど、分断した世界に平和をもたらす五輪はどうあるべきか。その意義や価値が問われる大会となりそうです。
国際オリンピック委員会(IOC)は2024年7月20日、ウクライナへの侵略を続けるロシアと同盟国ベラルーシから、国旗の掲揚や国家の演奏などが認められない個人資格の中立選手(AIN)としてパリ五輪に参加する選手は、ロシアが15人、ベラルーシが17人と明らかにしました。
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