2023年9月8日に北アフリカのモロッコ中部を襲ったマグニチュード6.8の地震は9月12日現在、少なくとも2800人以上の死亡が確認され、数千人が負傷する甚大な被害が出ている。その壊滅的な大地震の只中にサッカーのガンビア代表チームが巻き込まれたとBBCなどが伝えている。現地の惨状は国際スポーツの中止などのほか、アスリートの心にも影響している。
飛行機墜落かと 屋外で寝た
BBCなどによると、10日のアフリカ・ネーションズカップ予選、コンゴとの対戦を前に、ガンビア代表チームは震源から約70キロ離れたモロッコ・マラケシュのホテルに滞在していた。ガンビアのトム・セイントフィエット監督(ベルギー出身)は、地震発生の瞬間、ホテルが空港に近かったため「飛行機が墜落したのではないかと思った」と語った。
「たった30秒だったようだが、終わりがないように感じた。本当に怖かった」とセイントフィエット監督。「あれほど建物が動くのは生まれて初めて見た」といい、「私たちはホテルの外に逃げて、全員でプールエリアに行き、部屋に戻ることはできないと言われたので、他の宿泊客と一緒に屋外で寝た」と取材に答えた。
ガンビア代表選手に負傷者はいなかった。
セイントフィエット監督は、ガンビア代表のトルコでプレーする選手が2月のトルコ地震に続いてこのモロッコ地震を経験したことにも言及し、「二重でショックを受けている」とその選手の心境を慮った。
これだけの被害 サッカーをするのは賢明か
「何人かの選手が明日の試合に出場したくないことは承知している。我々はスポーツマンであり、出場権を獲得し、公平であることを望んでいるが、多くの選手はサッカーのことをまったく考えられていない」とセイントフィエット監督は選手たちの心境を代弁するとともに、「この街でこれほど多くの死傷者が出ているのなら、私たちがサッカーをさせてもらえる判断が賢明なのでしょうか」とも語った。
試合は決行 コンゴと2-2のドロー
アフリカ・ネーションズカップ予選はガンビアのスタジアムが国際試合の開催には不適合と判断され、モロッコのスタジアムに会場が変更された経緯があった。同大会のアガディールで行なわれる予定だった9月9日のモロッコーリベリア戦は中止となったが、9月10日のガンビア―コンゴ戦は結局、行なわれ、試合は2-2で引き分けた。
モロッコ代表は犠牲者を悼み献血へ
一方、アガディール(首都ラバトの南250キロ)に滞在していたモロッコ代表チームは日曜日の練習を休み、災害の犠牲者への献血を行った。モロッコ代表は昨年のFIFAワールドカップカタール2022で、アフリカ勢初の4強に輝いているのはご存じの通りだ。
モロッコはアガディールで9月9日にリベリアと対戦する予定だったが、モロッコサッカー連盟はアフリカサッカー連盟との合意を受けて試合が無期限延期されたと発表した。
モロッコはすでに、1月にコートジボワールで始まる24チームによるアフリカ・ネーションズカップへの出場権を獲得している。代表チームは9月13日にフランスでブルキナファソとの親善試合も予定されている。
スポーツどころではない現地の惨状のなか、国際スポーツの日常は続く。昨年のFIFAワールドカップ2022でアフリカ勢初の4強にのし上がった「アラブの星」の逞しさに思いを馳せ、復興を願う。We Pray for Morocco.
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