【ハンドボール】ライン際のくさびピヴォット53人 | リーグH名鑑vol.6

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植村和輝(琉球コラソン)意表を突くカットイン

植村和輝(琉球コラソン)は、他のピヴォットがやらないプレーをするのが得意。DF強化で、リーグを代表するピヴォットに育ってほしい
植村和輝(琉球コラソン)は、他のピヴォットがやらないプレーをするのが得意。DF強化で、リーグを代表するピヴォットに育ってほしい

目の前のスペースが広ければ、ピヴォットでも1対1を仕掛けて構いません。むしろ積極的に仕掛けるべきです。従来のピヴォットのイメージにとらわれず、自由にプレーするピヴォットが増えてきました。 

DF型のイメージが強かった山田信也(ブレイヴキングス刈谷)は、2025年6月のプレーオフで1対1を仕掛けるなど、近年はOFで洒落たプレーが増えています。逆スピンシュートも上手で、面白い引き出しが増えた半面、2026年1月のアジア選手権ではDFでやや苦戦していました。もう一度DFでの信頼を取り戻して、なおかつ人を驚かせるようなOFができれば、ワンランク上のピヴォットになれます。

植村和輝(琉球コラソン)はピヴォットの枠にとらわれない動きが特徴です。105kgの巨漢が目の前の1対1をフェイントで抜き去り、2次速攻ではランニングシュートを打ってみたりと、なかなかに器用です。身長180㎝の植村は「僕は背が低いから、他のピヴォットがやらないような動きを工夫しています」と言っていました。身のこなしがよくて、スキルフルだけど無茶打ちはしないから、見ていてとても楽しい選手です。

上田遥歌(大阪ラヴィッツ)豪腕ピヴォット

意識の高い上田遥歌(大阪ラヴィッツ)。東海大学の途中までバックプレーヤーだったこともあり、ロングシュートにチャレンジしている
意識の高い上田遥歌(大阪ラヴィッツ)。東海大学の途中までバックプレーヤーだったこともあり、ロングシュートにチャレンジしている

ピヴォットは「ライン際で高確率」が大前提ですが、肩が強ければ6mライン付近にこだわる必要はありません。中継の動きと見せかけて、いきなり9mの外からドカーンと打っても構いません。しっかりと組織で守りたい相手ほど、こういう予想外の一発が効いてきます。

藤村勇希(トヨタ自動車東日本レガロッソ宮城)は元々がライトバックで、身体接触をしながらのプレーが得意なことから、レガロッソでピヴォットに転向しました。いい意味でピヴォットらしくない選手で、ノーポストからのゴリゴリのカットインだけでなく、9mからのロングシュートも入ります。一日1回ノーマークシュートをGKにぶつけてしまいますが、それ以上にワクワクするようなプレーを見せてくれるピヴォットです。

ピヴォットのロングシュートは、グレイ クレア フランシス(熊本ビューストピンディーズ)の代名詞とも言えるプレーです。肩が強いので、至近距離でのシュートは恐ろしいほどの威力があります。9mの外からでも余裕で入るし、フリースローから振り向きざまのシュートでも点が入ります。豪腕一辺倒と見せかけて、ポストシュートでGKとの間合いが詰まったら、柔らかい胸郭を利用したループシュートで鮮やかにかわします。2025年12月の世界選手権でも、強打とループの使い分けが見事でした。

国際ハンドボール連盟公式Xより

大エースだった喜田ことみの海外移籍の影響もあり、最近は上田遥歌(大阪ラヴィッツ)がロングシュートを打つようになりました。1試合で3本もロングシュートを決めたものだから、すぐにリーグHのハイライトで取り上げられ、それ以降は相手からも警戒されるようになりました。一日に3本も決めると目立ちすぎるので、一日1本ぐらいにとどめながら、流れのなかで的確に決めていけたら、ラヴィッツの新たな強みになるはずです。 

佐藤陸(ゴールデンウルヴス福岡)オールラウンダー

シルバーヘアがカッコいい佐藤陸(ゴールデンウルヴス福岡)。ミトゥン・オイスティン・カトゥラとのダブルポストは、今年のウルヴスの強力な武器
シルバーヘアがカッコいい佐藤陸(ゴールデンウルヴス福岡)。ミトゥン・オイスティン・カトゥラとのダブルポストは、今年のウルヴスの強力な武器

他のポジションでも動けるピヴォットは、試合の流れで重宝します。 

佐藤陸(ゴールデンウルヴス福岡)は、上位勢と対抗できるサイズの持ち主。今季はダブルポスト要員に徹して、ライトバックやライトウイングから切る動きでダミーになり、ライン際の切り札ミトゥン・オイスティン・カトゥラを生かします。 

中嶋紗央(飛騨高山ブラックブルズ岐阜)は本職のピヴォットだけでなく、センターもレフトウイングもできるオールラウンダー。2枚目、3枚目の両方を守れるので、中嶋が1人いてくれると色んな場面で役立ちます。ピヴォットかセンターで、ゲームをコントロールできるようになってくれると、ブルズの得点力不足が解消されるはずです。(下に記事が続きます)

潘恩傑(パン・エンジャー、アルバモス大阪高石)左利きピヴォット

潘恩傑(アルバモス大阪高石)がホームで得点を挙げたら「パン・パン・パパパン・パパパン・エンジャー!」の掛け声がかかる
潘恩傑(アルバモス大阪高石)がホームで得点を挙げたら「パン・パン・パパパン・パパパン・エンジャー!」の掛け声がかかる

左利きのピヴォットは、ターンする方向が右利きと逆になるので、相手からすると守りにくくなります。 

趙顯章(チャオ・シェンチャン、ジークスター東京)は大型のライトウイングでしたが、カタールから日本に復帰してからはピヴォットを主戦場としています。ジークに入団した当初よりも体のキレは出てきたと思われるので、もう一度合成時代のような「圧倒的支配力」が見たいですね。 

潘恩傑(パン・エンジャー、アルバモス大阪高石)もアルバモス移籍後はほぼピヴォットで固定されています。人柄のいい選手なので、日本語をもっと覚えて、戦術理解度を高めてほしいところ。「日本語の勉強、がんばります」と言っていたので、期待しましょう。ちなみに以前の台湾代表では、趙がライトバックで、潘がピヴォットでした。

日本人の左利きピヴォットは浅川律樹(トヨタ自動車東日本レガロッソ宮城)ひとりだけ。7mスロー要員できっかけをつかみ、3枚目DFやピヴォットでも出場機会を得るまでになりました。浅川が決めると盛り上がるので、出番があれば全力で1点をもぎ取ってほしいです。 

ディエゴ・マルティン(豊田合成ブルーファルコン名古屋)究極のインテリジェンス

賢いを通り越して、もはやジーニアス(天才)? ディエゴ・マルティン(豊田合成ブルーファルコン名古屋)はチームに溶け込み、攻守両面でいい仕事をする
賢いを通り越して、もはやジーニアス(天才)? ディエゴ・マルティン(豊田合成ブルーファルコン名古屋)はチームに溶け込み、攻守両面でいい仕事をする

ピヴォットに求められるのは知性です。ひとりだけゴールに背を向けて、DFのなかで動き回りながら、ボールを持たずにプレーします。わかっていない選手がやると、むしろOFの邪魔になるので、OFの全体像を考えられる選手に任せたいのです。 

リーグで最も洗練されたピヴォットはディエゴ・マルティン(豊田合成ブルーファルコン名古屋)です。賢くて、体が強くて、なんでもできて、人間性も申し分なし。日本語がとても上手で、期間限定で加わった大学生にも明るく声をかけて、チームの雰囲気を作ってくれます。もちろんプレーも超一流で、小柄な選手が1枚目に入ったら、即座にミスマッチを狙って位置を取り、退場つきのポストシュートで勝負を決めます。豊田合成はハンドボールだけに限らず、他の競技でも優秀な外国人選手を獲得するノウハウがあるようです。人間的にも優れたディエゴがいるから、チームの規律が保たれ、明るさのなかに激しさが生まれるのでしょう。

以上がピヴォットの紹介です。予想以上の長文になってしまいました。次はいよいよゴールキーパーです。

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