10月になりました。Pen&Sports [ペンスポ]も創刊から2か月を迎え、パリ五輪開幕まで300日を切りました。創刊以降、日々スポーツをウォッチしていく充足感、そのスポーツを通じて読者の皆様と仲間としてつながる喜びを感じています。中国・杭州で開催中のアジア大会で、「スポーツって美しい」と改めて感じるこのシーンに出会いました。みなさんはどう感じましたか?
池江と張雨霏が涙の抱擁 アジア大会
このシーンにはスポーツの素晴らしさ、アジア大会の開催の意義が詰まっている。
2023年9月29日、中国・杭州で開催中のアジア大会の競泳の最終日、50メートルバタフライ決勝の表彰式で金メダルに輝いた中国の張雨霏と銅メダルの池江璃花子(横浜ゴム)が抱擁し、涙を流しながら健闘をたたえ合った。池江は白血病公表からまだ5年足らず。そこからまた国際舞台、アジア大会の3位まではい上がった。国際主要大会で約5年ぶりの個人種目の表彰台。そこに返り咲くまでの池江の苦しみを張雨霏も知っている。この種目の金メダルで、張雨霏は前回のアジア大会(ジャカルタ)で池江が成し遂げた6冠に並んだ。
中国の英語版スポーツニュース CGTN Sports Sceneは、女子バタフライ50メートル決勝を25秒10の大会新記録で制した張雨霏の表彰式後のコメントを紹介した。
@Yufei_Zhang98: “I told @rikakoikee don’t cry, don’t cry. When they announced her name on the podium, I already felt like crying. But I thought to myself, this is a live telecast, I cannot cry. Then I saw her hugging her coach in tears. I could not hold back my tears anymore.”
私はリカコに言いました。 泣かないで、泣かないでと。表彰台で彼女の名前が発表されたとき、今度は自分が泣きそうになりました。でも、これは生放送だ、泣くわけにはいかない、と思いました。そのとき、私は彼女が涙を流しながらコーチを抱きしめているのを見ました。もう涙を抑えることができませんでした。
CGTN Sports Sceneより抄訳
池江もレース後の取材でこう応じた。張について「アジアの中でこういう風に活躍している選手がいると、やっぱり自分も頑張らなきゃなって気持ちになる」。
こんなシーンを中国メディアが好意的に伝えている点も極めて珍しい。
政治は緊張 アスリートは友人
政治の分野では日本と中国の緊張関係は続いている。福島第一原子力発電所の処理水の海洋放出の問題で、中国は日本を批難し、日本産水産物の全面輸入を禁止している。日本への団体旅行は解禁されたが、ビザの発給には時間がかかっているといい、日本と中国を結ぶ航空便もコロナ前と比べて大幅に減ったままだ。日中はまだ友好のドアを完全にオープンしていない。
それでもスポーツは違う。プールではライバルでもレースが終われば国境を越えて、リスペクトしあい、価値観を共有する友人同士だ。
スピードスケート・小平奈緒と李相花の友情
張雨霏と池江が抱き合うシーンを見て、2018年平昌冬季五輪のスピードスケート女子500mのレース後、健闘をたたえあう金メダルの小平奈緒と銀メダルの李相花(韓国)の姿や、2016年リオデジャネイロ五輪男子カヌースラロームで銅メダルの羽根田卓也を各国選手に祝福されるシーンを思い出した。筆者のなかでは五輪で忘れられないハイライトシーンだ。
スポーツには人と人を結びつける力があり、国や言語を超えて人々を団結させる。そう信じている。ペンで、世界を一つに。だから、Pen&Sports [ペンスポ]はきょうもペンを走らせます。The sport is universal language!
これぞオリンピック。#カヌー #羽根田卓也選手 #オリンピック #リオ2016 pic.twitter.com/OSrdWsy3AN
— オリンピック (@gorin) August 9, 2016
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