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【編集長コラム】「最高でーす」で済ますな。日本シリーズ「言葉」にも、しびれたい

原田亜紀夫
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59年ぶりの関西勢同士の対決となったプロ野球SMBC日本シリーズが面白い。2023年10月31日に甲子園に舞台を移した第3戦はパ・リーグ3連覇のオリックスがセ・リーグ覇者の阪神に5-4で競り勝つ好ゲームの末に、2勝1敗とした。どっちに転ぶかわからない試合展開にもしびれたが、試合終了後にもう一つ、しびれるシーンがあった。攻守で勝利に貢献し、ヒーローインタビューでお立ち台に立ったオリックスの宗佑磨内野手の言葉だ。

目次

オリックス・宗「応援、聞こえてますよ!」

この日から舞台は敵地・阪神甲子園球場に移った。球場はレフトスタンドの一角を除けばほぼ阪神ファンで埋まった。オリックスの宗はこの打席まで日本シリーズ11打席無安打。今シリーズ12打席目で出た初安打でチームの勝利を手繰り寄せ、三塁で連発した好守備で阪神の猛追を断ち切った。

【SMBC日本シリーズ2023第3戦@甲子園球場】
ーー 123 456 789 計 H E   
オリ 000 131 000 5 9 0  
阪神 010 000 300 4 10 1

静まり返った敵地・甲子園で、少数のファンに

2度のファウルでフルカウントまで粘り、8球目を叩いた適時打には「打てる気配が全然なかったんですけど、最後は気合で粘りました」。7回に1点差まで追い上げられて、なお2死一塁の守備では阪神・大山の強烈なゴロに反応。「とても速い打球だったんで、絶対に体のどこかに当てて止めてやる気持ちでした」。静まり返った甲子園で淡々と応じたインタビューのここまでは普通かもしれない。極めつけはインタビューの締めだった。

ごく少数のオリックスファンが声をからしたレフトスタンドに身体を向けてこう声を張ったのだ。「応援、聞こえてますよ!明日も頑張りましょう!」お立ち台から、ファンに語り掛けるようなインタビューには宗の誠実さや人柄がにじみ、ファンへの感謝と気遣いが伝わった。

「最高でーす」だけは耐え難い

個人的な意見だが、プロ野球を担当していた新聞記者時代、ヒーローインタビューはほぼ「がっかり」の連続だった。一部の外国人選手を除けば、大半の選手が予定調和の言葉しか発しない。選手のボキャブラリーが貧困なのか、手抜きなのか。私はプロ野球の記事で、ヒーローインタビューの言葉を組み込んだことはほぼ皆無だ。

なかでも耐え難いのが、何を聞かれても「最高でーす」と応じるヒーローインタビューだ。来季から巨人の新監督に就任する阿部慎之助が現役時代に始め、カープに所属した鈴木誠也(カブス)も追随した。巨人の主軸、岡本和真が放つ定番の「決めぜりふ」でもある。巨人はこれに乗っかって、フェイスタオルやTシャツに「最高です」と書かれたグッズを販売している。一部のファンは「待ってました」とばかりに盛り上がるのだが、今年3月のWBCイタリア戦(東京ドーム)でのインタビューで岡本が何を聞かれても「最高です」としか言わなかったヒーローインタビューでは、さすがに世界中に配信される映像だけに、球界OBや評論家から「なんだアレは。もっとちゃんと話すべき」「なぜあの場でふざけているんだ。けしからんヤツだ」などの批判も出た。

阪神・岡田監督「最高でーす、で済ますな」

日本シリーズに進出した阪神でも「最高でーす」が今季、横行した時期があった。主軸の佐藤輝をはじめとする選手がファンを盛り上げようと、「最高でーす」のワンパターンのヒーローインタビューを繰り返したが、それに「待った」をかけたのが、岡田彰布監督だった。

「ファンはどんな感じで打ったのかを聞きたいはずなんでね。最高でーすで済ますな。ちゃんと説明しろとは言うたんですよ」と、自身の思い、自分の言葉でインタビューに応じるように指導したことを10月8日に放送されたNHK「サンデースポーツ」の藤川球児氏との対談で明かしている。選手たちもいい大人だ。監督という立場でも、なかなか言いにくいことを、細やかに指導するあたりは岡田監督らしい。

実際、10月28日の日本シリーズ第1戦でオリックスに8-0で快勝したあとの岡田監督の勝利監督インタビューは、試合を詳細に振り返り、裏話やユーモアを交え、ファンにしっかりとどくように話す間合いも計算された素晴らしいインタビューだった。これぞ、ファンサービスだ。

「ヒーローインタビュー」放送なしに不満も

今回の日本シリーズでは第1戦、第2戦と地上波でヒーローインタビューが放送されなかった。そのことを残念がるファンのコメントがネット上に広がっている。Pen&Sportsは [ペンスポ] は、だからきょうもペンを走らせる。活躍した選手や指揮官が熱戦を終えた後、どんな言葉を紡ぐのか。言葉の「日本シリーズ」を楽しみにしているファンも少なくないのである。

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