ハンドボール男子日本代表(彗星JAPAN)は2025年1月5日にポーランド遠征へ出発、1月16日からクロアチア・デンマーク・ノルウェーで開催される世界選手権に臨みます。トニー・ジローナ監督のもと、2024年8月のパリ五輪から大きくメンバーが入れ替わり、世界選手権が初めての選手が18人中10人となりました。ジローナ監督は「代表に100%のモチベーションの選手を選んだ」と言います。 2024年12月27日には東京・味の素ナショナルトレーニングセンターで練習が公開されました。新代表18人をポジション別に見ていきます。
GK(ゴールキーパー)、第3に川島
2024年8月のパリ五輪でも日本のゴールを守った中村匠と岡本は、国内トップを争う2人です。中村匠は国内での実績は申し分なし。あとは世界のトップシューターを止めるだけ。初見の相手にどうアジャストしていけるかが、最後の課題です。岡本はパリ五輪初戦のクロアチア戦で大当たりしました。あの爆発力をもう一度。
第3GKには若手の川島が抜擢されました。8月のパリ・サン=ジェルマン戦で前に詰めるキーピングをアピールするなど、ゾラン・ジョルジッチGKコーチの教えを吸収して成長しています。2024年11月のエジプト遠征にも参加し「エジプトでの2週間で1年分ぐらい伸びた気がする」と言っていました。法政二中では軟式野球部のエース。法政二高からハンドボールとGKを始めた遅咲きの大器は、大きなのびしろを残しています。(下に記事が続きます)
LW(レフトウイング)、杉岡が一番手
12月の強化合宿から呼び戻された杉岡が、おそらくレフトウイングの一番手。スピード、攻守の切り替えの早さは申し分なし。パリ五輪予選最後のスウェーデン戦で見せたような活躍を、コンスタントにやってくれたら。あとは相手の息の根を止める一本を、確実にしとめたいところです。矢野はディフェンスのオプションで重宝される選手。2枚目、3枚目やトップDFに入って、攻守のバランスを整える役割が求められます。世界でも3枚目を守れるようなら、出場機会がさらに増えるでしょう。
LB(レフトバック)吉野、エースらしさ
パリ五輪で一番悔しい思いをした吉野が、12月から代表に復帰しました。パリ五輪では、藤坂と安平光佑に1対1をさせるためのコマのような扱いでしたが、今回の代表ではエースらしい状況判断が求められるかと思われます。自主練習の時間には、惜しみなく若手に技術や考え方を伝える姿が見られました。プレーの幅を広げてきた成果を、世界選手権で示してほしいところです。次世代のロングヒッターとして期待がかかるのが山口です。父・山口修(元湧永製薬・現高知中央高校監督)との「親子二代で世界選手権出場」でも話題を集めそうです。
CB(センターバック)、藤坂が定着
センターの一番手は、パリ五輪で実績を作った藤坂。広いスペースを作れば、藤坂の1対1で簡単に得点できます。判断力という点では、水町と北詰の2人が役に立つでしょう。最年長の1人である水町は「1対1をやるなかで、ミドルシュートも狙えたり、ディフェンスを引きつけてポストパスを落としたり、選択肢を持った状態でプレーしたい」と言っていました。自慢の速いパス回しと判断力が、世界の舞台で通用するか。レフトバックや2枚目ディフェンスなどでも、水町の力が必要になりそうです。北詰は、得意のジャンプフェイクがどこまで通用するか。世界レベルでミドルシュートが入れば、攻撃の組み立てが楽になります。(下に記事が続きます)
RB(ライトバック)、徳田兄が頼みの綱
渡部仁(ブレイヴキングス刈谷)と元木博紀(ジークスター東京)に8年間頼ってきたので、左利き2ポジションの世代交代は急務です。守備力のある左利きとなると、フットワークで勝負できる徳田兄しかいないのが現状。前に出るだけでなく、時にはクロスアタックを仕掛けたりと、サイズ不足を運動量でカバーします。中村翼は、重たいカットインが世界レベルでも通用するかどうか。キレイな1対1ではありませんが、武骨なスタイルはむしろ国際向けのような気がします。
RW(ライトウイング)は新顔3人
便宜上ライトウイングに入れましたが、石嶺と荒瀬がライトバックに入る時間帯もあるでしょう。中田は純正のライトウイング。左右に打ち分ける技術で、フィニッシャーに徹します。荒瀬はトリッキーなシュートを打ちたいタイプなので、右サイドから切ってボールを持った時が勝負になりそう。石嶺はライトバックとライトウイング兼用でプレーした方が、多彩なシュートバリエーションが生きるはず。初めての世界選手権で、新顔3人のうち誰が最初にフィットするか。不安要素でもあり、楽しみな部分でもあります。(下に記事が続きます)
PV(ピヴォット)玉川、攻守にメーン
心優しい大男・玉川が、ついに攻守にメーンを張る時代になりました。パリ五輪後も休まず、代表活動にフルで参加しています。その姿勢だけでもキャプテンにふさわしいと思います。GKをよく見て、冷静に打つことができれば、それなりの数字を残してくれるはず。もちろん3枚目の守りでもリーダーシップを発揮します。玉川の相棒となるのが市原。チームのために体を張れる選手なので、数字以上の存在感を示してくれるでしょう。世界のトップが相手でも、ライン際での粘り強さを見せてくれたら。大学2年生でチーム最年少の中沖は、4年後へ向けての投資。本職ではないピヴォットに戸惑っている段階ですが、時間をかけて大きく育ってほしい選手です。
目指すはメーンラウンド進出からの20位以内
2025年1月16日からの予選ラウンドで、日本はスウェーデン、スペイン、チリのいるグループFに入りました。4カ国中3位以内に入れば、メーンラウンドに進出できます。ジローナ監督は「まずはメーンラウンドに進出して、(32カ国中)20位以内に入るのが目標」と言っていました。予選ラウンドで1勝、メーンラウンドで1勝と最低2つ勝つことが求められます。新しいメンバーが多く、未知数な要素もありますが、ジローナ監督は「前を向いている選手と戦うことが大事」と言います。大会を経験するなかで、チームがまとまり、成長していくことを願います。
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