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【サッカー】W杯予選で露呈した日本代表の攻撃のアキレス腱

【サッカー】日本代表が米国遠征しメキシコ・米国と対戦へ ひと足早くW杯予行演習
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サッカー日本代表が世界最速で本大会出場を決めた北中米ワールドカップ・アジア最終予選を振り返ると、日本が本当に苦しめられたのは唯一の黒星を喫したオーストラリアとホームで引き分けたサウジアラビアだった。この2カ国に苦戦した戦いぶりを検証し、来年のワールドカップ本大会でサムライブルーが飛躍するための手がかりを探ってみよう。

目次

苦悩の正体は「引き分け力」

北中米ワールドカップ・アジア最終予選・グループCの最終順位は、1位の日本が7勝2分1敗で勝点23。2位のオーストラリアが5勝4分1敗で勝点19。3位のサウジアラビアが3勝4分3敗で勝点13。

グループCで1位になった日本と2位のオーストラリアは、ワールドカップ出場が決定。3位のサウジアラビアと4位のインドネシアは、アジア・プレーオフ(アジア4次予選)にまわることになった。5位の中国と6位のバーレーンは予選敗退した。

サウジアラビアとオーストラリアは、ともに4分けで「引き分け力」があることが分かる。これが、日本が苦しめられた根源だ。オーストラリアは、同予選で日本と同じく1敗しかしなかった。

グループCの他チームに対して日本は、いずれも複数得点差をつけて勝利している。

サウジアラビアとの対戦:アウェイで完勝、ホームでドロー

サウジアラビアは、2024年10月10日に行われたホーム、ジッダでの試合で前がかりに戦ってきた。日本が14分という早い時間帯に先制したことで、サウジアラビアがさらに前に引き出された。そして81分の追加点で日本は勝利を決定づけることができた。

ボールポゼッションは43%:57%で一見すると日本が不利だったような気がするが、実態は全く異なる。アウェイ戦でリードした日本が、失点しないように慎重に守備を行い相手にボールを持たせた結果だ。ボールは保持しなかったが、試合を支配したのは日本だった。

2-0の勝因として、早い時間帯に日本が得点したことが挙げられる。後半になるにつれて、より一層オープンな展開が多くなった。シュートチャンスも与えたが、日本は追加点を奪うことができた。2点目はCKからだった。その後は、日本が守りを固めて流れをコントロールし、理想的な試合だった。2得点ともにダイレクトプレーだったことも、特筆すべき点だろう。

2025年3月25日に埼玉スタジアム2002で行われた試合で、大きな分岐点になったのが9分のプレーだ。FW前田大然(セルティックFC)がDFラインの裏に走り込んでボールを受けると右足シュートを放つもクロスバーを叩いた。11分には左クロスに再び前田が走り込むも足に合わず。このいずれかが決まっていれば、ジッダでの試合のように、もう少し楽な展開になった可能性がある。

ボールポゼッションは78%:22%、シュート数は12本:1本と日本が圧倒しながら、スコアは0-0で試合終了。ホームで58,003人のサポーターが駆けつけ声援を送るなか、不完全燃焼な結果となった。

SAMURAI BLUE 公式Xより

オーストラリアとの対戦:やはりホームでドロー・唯一の黒星

同じく埼玉スタジアム2002で行われた2024年10月15日のオーストラリア戦には58,730人という大観衆を動員したが、双方のオウンゴールで、結果は1-1ドロー。サウジアラビアとの対戦と同様にアタッキングサードでの質の問題が浮き彫りになった。

アタッキングサードとは ピッチを3分割した際、相手ゴール側の3分の1のエリア。攻撃を仕掛ける上で重要になるエリアで「ファイナルサード」とも呼ばれる。

豪州パースでの試合では、相手が露骨に引いて、引き分けを狙ってきた。日本の選手たちはアタッキングサードにすら、まともに入らせてもらえなかった。結果、試合終了間際にワンチャンスを生かしたオーストラリアに0-1。アジア最終予選唯一の黒星を喫した。

久保建英選手(レアル・ソシエダード)と中村敬斗選手(スタッド・ランス)ら常連メンバーが投入されてからは、いくぶんゴールに近づいた雰囲気があった。対アジアだけを考えれば、常連メンバーで先発を組めばこの課題は解決する可能性があり、あまり真剣に考えなくても良いかもしれない。しかし、日本が世界のトップを目指すのであれば、世界基準で物事を考える必要がある。

ワールドカップ本大会には、オーストラリアよりレベルが高いチームがたくさん出場する。そんなチームが、完封を狙った戦い方をしてくることも十分に考えられるのだ。実際に2022年カタール・ワールドカップのグループステージで、引いて守るコスタリカに日本は0-1で敗れた。

今のままでは日本に打つ手がなくなる。日本の常連組であっても、果たしてペナルティエリア内に入っていき、決定的なチャンスを作ることができるかどうか。

リオネル・メッシ(アルゼンチン)のようなスーパーなアタッカーであれば、守りを固められても細かいフットワークを駆使して一人で打開できるが、今の日本にそのような選手はいない。守備固めをしたチームの攻略法を用意しておく必要があるだろう。

SAMURAI BLUE 公式Xより

万年の宿題「決定力不足」に「前に行けない」問題

守りを固める相手に対しては、ビルドアップや相手選手を剥がすのが得意な守備陣を敷くのが有効だ。相手ゴールに近づけば近づくほどに守備は厳しさを増す。GKやDFがボールをつないで自陣で数的優位をつくり、そのまま縦に早くボールを動かして相手陣内に切り込んで、芋づる式に相手選手を釣り出してペナルティエリアに侵入したい。

アタッキングサードに入っていけない問題と、アタッキングサードでの決定力不足は、得点が取れない問題という点では共通している。しかし、解決策には相違点も出てくる。

サウジアラビアとオーストラリアに引き分けた2試合で、日本はチャンスをつくったが、得点がなかなか決まらなかった。つまり、決定力不足だ。

決定力不足は長年、日本代表で明確になっている至上命題だ。これまでにも耳にタコができるくらい聞いてきた言葉だ。しかし、このアタッキングサードでの質の問題に対して、未だに抜本的な解決策は見出されていない。

日本には面白い突破をみせるサイドアタッカーが揃っている。しかし、中央に目を向けると、独力で強引にでもゴールをこじ開けてくれるセンターフォワードが日本から出てきたことは、ほとんどない。中央では、連携で崩していく意識を徹底したい。

森保監督は、ストライカーの人選にはとりわけ難しい判断が迫られることになるだろう。対戦相手の特徴なども考慮しながら、攻略を構築したい。

[北中米ワールドカップ・アジア最終予選データ]グループC上位チームとの対戦

日本:サウジアラビア
2025年3月25日、埼玉スタジアム2002

  • [スコア]0-0
  • [ボールポゼッション]78%:22%
  • [シュート数]12本:1本
  • [枠内シュート数]2本:0本
  • [コーナーキック数]9本:0本

2024年10月10日、キング・アブドゥッラー・スポーツシティ・スタジアム(サウジアラビア・ジッダ)

  • [スコア]2-0
  • [ボールポゼッション]43%:57%
  • [シュート数]7本:13本
  • [枠内シュート数]3本:2本
  • [コーナーキック数]5本:7本

日本:オーストラリア
2025年6月5日、パーススタジアム(豪州・パース)

  • [スコア]0-1
  • [ボールポゼッション]69%:31%
  • [シュート数]13本:6本
  • [枠内シュート数]1本:3本[コーナーキック数]8本:1本

2024年10月15日、埼玉スタジアム2002

  • [スコア]1-1
  • [ボールポゼッション]65%:35%
  • [シュート数]12本:1本
  • [枠内シュート数]3本:0本
  • [コーナーキック数]9本:0本

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