サッカー日本代表(FIFAランキング19位)は2025年11月14日、豊田スタジアムでガーナ代表(同73位)と国際親善試合(キリンチャレンジカップ2025)を行い、2-0で完封勝利を収めた。
日本代表の最近の試合を振り返ると、9月7日のメキシコ戦に0-0で引き分け後、アメリカに0-2、パラグアイに2-2、ブラジルに3-2と、3試合連続で2失点していた。ブラジルを相手に2失点から逆転する劇的な初白星を収めたとはいえ、守備陣に大量の故障者が出る中で失点は課題になっていた。
アジア勢以外に対して完封勝利を収めたのは、実に2年以上前となる2023年10月17日のチュニジア戦(2-0)以来であり、世界を相手に久々にクリーンシートでの快勝となった。
サムライブルーの選手たちは、2026年の北中米ワールドカップでも着用することになる、アディダス社製の新ユニフォームを身にまとって戦った。そのコンセプトは「HORIZON」(水平線)。本大会に向けて海の向こうに視界が開けてきたようだ。
巧みな得点でW杯に向け視界良好
試合は16分に相手ボールを奪った佐野海舟が右前方にドリブルすると左にパス。そのボールを南野拓実がトラップし、右足インサイドできっちりとゴール右に決めて日本が先制した(1-0)。
佐野海舟が見せたボールを奪うデュエル力と攻撃の突進力もさることながら、ただゴールへと前進するのではなく左に膨らむようにして迂回したことで時間とスペースを作り出した南野拓実の動きも見事だ。そのお陰で、落ち着いてコースに打つことができた。この日、南野拓実は、出場しなかったキャプテン遠藤航に代わってアームバンドを巻いて試合に臨んでいた。
56分にガーナは2選手を交代した。世界的なアタッカーであるAFCボーンマスのアントワーヌ・セメニョは目立った活躍なくベンチに退いた。マッチアップした谷口彰悟らディフェンダーの活躍もあり、ほとんど仕事をさせなかった。
そして60分には、中央の久保建英からのパスを受けた右サイドの堂安律がドリブルで相手のタイミングをずらしながら左足でニアサイドに決めた(2-0)。
ゲームキャプテンの南野拓実が75分にベンチに退くと、谷口彰悟がキャプテンマークを引き継いで試合を締めた。
そして日本がそのまま試合をコントロールして、危なげなく勝利した。日本の2得点は、いずれも実に巧みなゴールだった。(下に記事が続きます)
整ってきたチーム力
際立ったのは日本の強さだ。日本のホームだという点を差し引いてもチーム力に歴然の差があった。
ボール保持率はほぼ互角ながら、パスをつないで攻撃のかたちを多くつくったのは日本だった。対するガーナは自陣深くで日本の激しいプレスを受けて、攻撃がままならずにロングボールを蹴るシーンが目立った。この数値だけでは見えてこないが、ポゼッションの質がはるかに上回っていた。
シュート数は、ガーナの7本に対して日本は2倍となる14本(枠内:2本対5本)。
コーナーキック数は、ガーナの1本に対して日本は4本。日本のほうがゴールに迫っていたことが分かる。
日本もガーナも同じ3-4-3のようなシステムを採用した。しかし、日本が3-4-2-1のような攻めを意識した布陣なのに対して、ガーナは5-4-1のようなかたちになり受け身に回る場面が目立った。
アフリカ勢の身体能力の高さに対して日本はこれまで苦手意識を持ち、グループ戦術で対抗してきたが、この試合では1対1の場面でも臆するような様子は見せなかった。(下に記事が続きます)
定まってきた戦術:ハイプレスからのショートカウンター
日本代表は、相手のボールポゼッション時に前線から激しいプレスをかけてボールを奪うと、ショートカウンターでゴールに迫るシーンが目立った。この様な展開は、メキシコ戦などでも見ることができた。
激しい守備と速い攻撃を仕掛けるのが日本代表の戦い方のベースにあることが見て取れる。
12月5日のワールドカップの組み合わせ抽選会で対戦相手が決定後に、どのように戦略と戦術を組み立ててくるかも楽しみだ。
ガーナ選手が大ケガ
51分に田中碧がシュートをしようと右足を振ったところに、アブ・フランシス(トゥールーズFC)が右足を出し、結果的に脚を蹴るかたちになり、大きく折れ曲がって立ち上がれなくなった。田中碧のファウルにはなったが不可抗力の不運なアクシデントであり、しばらく試合が中断し、56分に担架で運ばれ交代となった。
日本の選手たちがベンチまで謝罪に訪れたことに、ガーナのオットー・アッド監督は驚きと感謝の意を示した。サッカーはコンタクトスポーツでありケガはつきものだが、素晴らしいスポーツ精神を垣間見ることができた。(下に記事が続きます)
光った森保監督のベンチワーク
60分に2-0になると、攻めるしかなくなったガーナがリスクを冒してでも前に出てきた。その結果として、試合の流れがガーナに傾きかけて、チャンスをつくられるシーンが続いた。
すると、日本は68分に堂安律と田中碧に代えて菅原由勢と藤田譲瑠チマを投入して守備を立て直した。その直後から、再び試合の流れが日本側に戻ってきた。これは、わずか8分間の出来事だったが、森保一監督の見事な采配だったと言っていいだろう。
北野と後藤が初出場
さらには勝利が濃厚になった76分に安藤智哉(アビスパ福岡)に加えて初招集の北野颯太(レッドブル・ザルツブルク)と後藤啓介(シント=トロイデンVV)を投入した。
そして82分には、FC東京からファジアーノ岡山に期限付き移籍中の佐藤龍之介(19歳)も出場し、若手に経験を積ませることができた。
日本代表は、11月18日に国立競技場で年内最後となるボリビア代表と対戦するが、森保監督は、まだまだ新戦力の発掘に余念がないようだ。(下に記事が続きます)
パラグアイに露呈した課題、ボリビア戦で払拭できるか
ワールドカップ南米予選で7位に入ったボリビア(FIFAランキング76位)は、大陸間プレーオフで本大会に出場することに望みをつないでいる。1994年以来、8大会ぶりのワールドカップ出場が決まるかどうかの佳境にあり、高いモチベーションで日本との一戦に臨んでくることが予想される。
日本は、パラグアイ戦で危なっかしい戦いぶりが目についたが、もう一つの南米の中堅国であるボリビアに対してどのような戦いを見せるか注目だ。


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