野球で「スモール・ベースボール」と言えば、攻撃面で長打に頼らず、機動力やバントなどを駆使する戦法を言いますが、この事態はまさに本当の意味で「スモール・ベースボール」になりそうです。米大リーグの大谷翔平投手(29)と山本由伸投手(25)が新加入した注目のドジャースの開幕戦が開かれる球場のことです。ドジャースは2024年3月20日、21日の開幕2連戦で、ダルビッシュ有投手(37)が所属し、楽天から松井裕樹投手(28)も加入したパドレスと対戦しますが、その舞台は韓国・ソウルの高尺(コチョク)スカイドームとなりました。
ドジャースタジアムなら5.6万人、東京ドームなら4.3万人
底冷えのする3月のソウルの気候を考慮して、この韓国唯一のドーム球場が開幕戦の舞台に選ばれました。試合は2日ともナイターです。
ところが、高尺(コチョク)スカイドームの収容人数はわずか1万6000席です。本拠地のドジャースタジアムだったら5万6000人、東京ドームなら4万3500人のファンが生で観戦できるのに…。世界の野球ファンが注目するビッグゲームがいまだかつてない「小さすぎる球場」で開幕するというアンバランスな状況になっています。
昨年7月に発表、半年後に大谷も山本も
韓国でMLBの公式戦が開かれるのは初めて。米大リーグ機構(MLB)がドジャース―パドレスのレギュラーシーズン開幕戦を発表したのは昨年2023年7月のことでした。世界の野球ファンを開拓する試みの「ワールドツアー」の一環で、4月にはメキシコ・シティ、6月にはロンドンでもメジャーリーグの試合が組まれています。
パドレスには韓国出身の人気内野手、金河成(キム・ハソン)がいますが、もちろん韓国での開幕戦が決まった昨年7月の時点では、対戦相手のドジャースに大谷や山本がそろって加入するなんて誰も想定していませんでした。それがこの半年で事態は急変。大谷、山本の加入もあって、韓国初のMLB開幕戦は注目度も、スケールも爆上がりしたのです。
地元メディアのOSENは「高尺ドームは小さすぎる。日本人の人気選手が4人も集結するソウルシリーズなのに、多くの観客が観戦するのは難しい。大谷と山本がドジャースに入ったことでドームの人数が心配になるほどにスケールが大きくなった。世界中の野球ファンが集まる大きな舞台が大規模球場ではなく、2万席に満たないミニドームというのが残念だ」などと伝えています。
チケット、日本から買えるか「不明」
ドジャースとパドレスの開幕戦チケットは1月26日から発売が開始されます。しかし、チケットは「韓国のアマゾン」と言われるネット通販最大手クーパンが運営する動画配信サービス「Coupang Play」(クーパンプレイ)を契約している有料会員のみ購入可能とされていて「日本から購入できるかは不明」と聯合ニュースなどが伝えています。「Coupang Play」は開幕シリーズの冠スポンサーになっているからです。
争奪戦が予想されるプラチナチケットを日本のファンが入手できるのか。そして、そもそも大谷はソウルで打席に立つのか。開幕ローテ入りが予想される山本、ダルビッシュが投げるのか。興味は尽きませんが、本音を言います。こんなことになるなら、日本で生で観たかった!
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