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【バレーボール】ヴェローナ決勝進出、ペルージャから金星。崖っぷちから大逆転 | コッパ・イタリア

ペルージャ3本に対してヴェローナは14本のブロックを決めた。うち5本を決めたセッターのアバエフが石川をシャット=写真提供:Verona Volley/Benvenuti
ペルージャ3本に対してヴェローナは14本のブロックを決めた。うち5本を決めたセッターのアバエフが石川をシャット=2025年1月25日、写真提供:Verona Volley/Benvenuti
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イタリア男子バレーボールのセリエAスーペルレガ前半上位8チームで行われるコッパ・イタリアは、2025年1月25日(日本時間26日)、準決勝が行われ、クラブ史上初の4強に進出したヴェローナ(リーグ5位)が、日本代表の石川祐希を擁するペルージャ(リーグ1位)をセットカウント3-2で破る大金星を挙げた。過去の戦績はペルージャの35勝7敗と圧倒的にペルージャが優勢だった。この試合もペルージャが2セットを先取。その後に劇的なドラマが待っていた。

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2セット連取されても「楽しむのはこれから」

1セット目を25-22、2セット目はデュースで28-26で落としたヴェローナ=2025年1月25日、写真提供:Verona Volley/Benvenuti
1セット目を25-22、2セット目はデュースで28-26で落としたヴェローナ=2025年1月25日、写真提供:Verona Volley/Benvenuti

「プレッシャーはなくはないが、(スロベニア)代表で大舞台には慣れている」

ヴェローナのキャプテン、ロク・モジッチは試合前、そう話していたが、試合の立ち上がりはヴェローナに硬さが見えた。返球率が36%にとどまったサーブレシーブは乱れ気味で、ミスも目立った。結局、ヴェローナはサーブミス7本を含む自チームのエラーで11点をペルージャに献上。22-25で1セット目を落とした。

第2セットはヴェローナの硬さも取れ、中盤まではサイドアウトが繰り返される展開に。しかしこれまでの試合でもよくあったように、勝負所でペルージャの地力が上回る。長いラリーでOHケイタがペルージャのMBルッソにシャットアウトされ、セメニウクにはブロックタッチを狙った技ありのスパイクを決められた。最大4点差のリードも終盤に追い付かれてデュースに。ジャンネッリのツーアタックでセットポイントを握られると、最後は石川にレフトから叩き込まれた。ヴェローナは26-28で第2セットも奪われ、追い込まれた。

このままあっさりペルージャがストレート勝ち?そんなムードが会場を包むなか、ヴェローナの選手はもとより、400人近くが駆け付けたファンはあきらめていない。ドラマのはじまりはここからだった。

第3セット、モジッチの連続スパイクなどで、いきなりヴェローナが4連続得点でペルージャを突き放す。ペルージャは石川の代わりにチャンチョッタ、エレーラの代わりにベンタラを投入するも状況は大きく好転しない。ヴェローナにもミスはあったが、それ以上にペルージャのミスが多すぎた。ケイタがエースで13点目を決めてこの試合初めての「鷲」のジャスチャーが飛び出すと、セッター・アバエフのブロック、MBジンガーのクイック、モジッチやOPイェンセンのスパイクなどが立て続けに決まり、ヴェローナが勢いにのる。このセットは25-14でヴェローナが圧倒した。

第4セットもヴェローナが止まらない。ケイタがエースを決めて「マリの鷲」が再び羽ばたくと、モジッチもペルージャのブロックを打ち抜いて翻弄。さらに、コルテジアと交代で入ったMBヴィテッリがブロックにサーブに大活躍だ。終盤には石川を立て続けにブロックで阻む。25-19でヴェローナが第4セットを制して、試合を振り出しに戻した。

勝負の第5セット、ヴェローナはミスで7点も献上したのにもかかわらず、それを引きずることなくブロック、サーブ、スパイクで着実に点を稼いでいった。最後は、ベンタラのスパイクをジンガーがブロックで仕留めてゲームセット。喜びを爆発させるヴェローナを前に、王者ペルージャはうなだれるだけだった。

試合後、ヴェローナのキャプテン、モジッチは言った。「0-2になってもぼくらはまだまだいけると思った。きょうはすべてを楽しむためにここに来たのだから」

ケイタ・モジッチのOH2人で58得点

スパイク総数50本、決定率52%を残したケイタ=写真提供:Lega Pallavolo
スパイク総数50本、決定率52%を残したケイタ=2025年1月25日、写真提供:Lega Pallavolo

改めてデータで試合を振り返ってみよう。目を引くのは、なんと言ってもヴェローナ両エースの得点力だ。ケイタはスパイク26(決定率50%)、ブロック1、エース3の30得点。モジッチはスパイク22、ブロック4、エース2の28得点で、なにより被ブロックはゼロ、ミスはわずか1本で決定率は56%をマークした。OPイェンセンもスパイク11、ブロック1、エース3の15得点とペルージャのトップスコアラーだった石川に並ぶ得点を挙げて貢献した。チーム全体のブロックも14本と冴えに冴えた。しかもシャットアウトだけではない。しつこくタッチをとり、リベロのダミーコを中心にボールを落とさず、つないで最後はOHが決めきる、ねばり強さが光った。

一方、課題だったレセプションではヴェローナは37%。ペルージャの49%からは大幅に劣っていたにも関わらず、被エースはわずかに2本。逆に決めたエースは9本。試合前の記者会見でストイチェフ監督が語った「サーブとレセプションが強い」と警戒したペルージャからエースによる失点を2点に抑え、逆に7本も多くエースを奪ったことになる。さらにミスに関しては、ヴェローナが31に対しペルージャが24とこちらも大きく劣っている。それでも勝利できたのは、どんなにミスを犯しても恐れることなく、攻め続けた結果だろう。

「失うものはない、自分たちを信じる、エンジン全開で押していくーー」。1週間前にモジッチが口にしたその言葉を見事なまでに実行し、勝利をつかみ取ったのだ。

フルセットの末にペルージャから大金星を挙げ、歓喜に酔うヴェローナ=2025年1月25日、提供:Lega Pallavolo
フルセットの末にペルージャから大金星を挙げたヴェローナ=2025年1月25日、提供:Lega Pallavolo

ストイチェフ監督「すべては選手たちのおかげ」

満面の笑みで選手を称えるストイチェフ監督=2025年1月26日、写真提供:Verona Volley/Benvenuti
満面の笑みで選手を称えるストイチェフ監督=2025年1月25日、写真提供:Verona Volley/Benvenuti

試合後のヴェローナはペルージャを破る大金星での決勝進出に大興奮。国営放送RAIとVBTVの中継インタビューも入り乱れた。ストイチェフ監督はPen&Sports [ペンスポ] のインタビューに対し、「ペルージャに0-2となり、しかもリードしたらスピードを上げて畳みかけてくるチームなので、非常に厳しい状況となりました」と振り返った。

「しかし、もう失うものは本当に何もないと、選手たちはしっかりとした頭で技術と戦術を練り、それを冷静に実行した。これはそうそう簡単にできることではないんです。だから本当に、この勝利は選手たちが自分たちでつかんだものなんです。心の底からこの勝利を欲し、野望に燃えながらも、常に冷静だった。これに尽きます」と語った。いつもの厳しい表情を緩めて選手たちを称え、笑顔でアリーナを後にした。

確かにヴェローナの選手は、最後まで冷静だった。だからこそ、最後にボールが落ちた瞬間は感情が一気に爆発した。ベンチの選手やスタッフ、会長までがコートになだれ込み、歓喜の中で抱き合い、歌い、踊り始めた。すると間もなく、モジッチがそこから抜けて一人で歩み寄ってきた。タッチの手を出した筆者に向けたその顔は、涙でくしゃくしゃ。コートサイドまで着くと壁にもたれかかり、涙が乾くまでひとり、そこに座っていた。

チームのインタビューでは「今までで最高の試合、本当にうれしくて感激している」と顔をほころばせたモジッチ。「でも明日がある。目標をもたずにここにきているわけではありませんので。明日ですよ」。チヴィタノーヴァとの対戦となった翌日の決勝を前に気を引き締めた。

クラブ初のファイナル4からヴェローナが一気に頂点まで上り詰めるのか。チヴィタノーヴァが2021年以来8度目の優勝カップを手に入れるのか。注目の決戦はきょう1月26日15時15分(日本時間23時15分)だ。

クラブのインタビューに答えるモジッチは気を落ち着かせ、心は明日の決勝に向かっていた=2025年1月25日、中山写す
クラブのインタビューに答えるモジッチ。心は明日の決勝に向かっていた=2025年1月25日、中山写す

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コメント一覧 (3件)

  • Si può dire che la tua intervista ha portato bene a Verona!
    Sono dispiaciuto per Yuki-san, ma non c’è niente da dire sulla vittoria di Verona.
    Hanno giocato con più determinazione e alla fine sono stati più bravi.
    Penso che Perugia stia pagando gli infortuni, nelle ultime partite non sono più stati invincibili come prima.
    Complimenti e grazie per il tuo lavoro!!

    • Ahahahah, spero di si!!
      Comunque le medie giapponese quasi tutte danno le notizie solo i giocatori giapponesi e le sue squadre. Siccome io amo tutto il campionato generale, dal posto mio, stando in Italia, vorrei presentare delle cose piu’ ampie.
      Non sottovalutare le condizioni fisiche ma anche altre squadre hanno infortuni importante, Verona manca Dzavoronok , uno molto stabile e da’ l’equilibrio a questa squadra spesso alti e bassi, putroppo non puo’ piu’ rientrare in questa stagione. Come calendario Verona e’ favorita senza partita dell’Europa, ma Trentino e Lube ancora peggio, hanno avuto in mondiali per club oltre quelle di Europa.

      Comunque Verona e’ una squadra molto interessante, soprattutto cosi “calda” mi piace tantissimo.
      Peccato ieri non ce l’ha fatta ma cosi puo’ continuare a puntare piu’ alto.

      • Non posso che ringraziarti per il tuo lavoro, sono contento che in Giappone possano conoscere la pallavolo italiana in generale e non solo le vicende legate ai vostri giocatori.
        Dopo questa Coppa Italia penso che il campionato sia diventato ancora più avvincente, prima pensavo che fosse scontata la vittoria di Perugia, ma ora sembra che sarà una lotta a quattro!
        Sarà molto divertente. ^-^

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