バレーボールのイタリアリーグ・セリエAは2025年1月25日(日本時間1月26日)、今季リーグ前半戦の上位チームによるカップ戦、コッパ・イタリアの準決勝がボローニャのウニポル・アレーナで行われ、前回王者で日本代表の石川祐希(29)が所属するペルージャ(リーグ1位)がクラブ史上初めて4強に進出したヴェローナ(同5位)に2-3(25-22,28-26,14-25,19-25,12-15)で敗れる波乱があった。ヴェローナは翌1月26日の決勝でチヴィタノーヴァ(リーグ3位)と対戦する。
【準決勝】
- 第1試合:ペルージャ vs ヴェローナ 2-3(25-22,28-26,14-25,19-25,12-15)
- 第2試合:トレンティーノ vs チヴィタノーヴァ 2-3 (26-24,24-26,14-25,25-22,13-15)
石川にまたしても準決勝の壁
スターティングメンバーで出場したペルージャの石川は複数の途中交代を挟みつつ試合終了までコートに立ち、チームトップの15得点(アタック14得点、サービスエース1)でチームを牽引したが、ヴェローナのダブルエースの爆発力の前に屈した。
ヴェローナはOHノウモリ・ケイタ(マリ)が30得点(アタック26得点、ブロックポイント1、サービスエース3)、OHロク・モジッチ(スロベニア)は28得点(アタック22得点、ブロックポイント4、サービスエース2)を挙げた。
イタリアで10シーズン目となる石川は1年目のモデナ時代に優勝を経験しているが、この時はほぼ出場機会なし。昨シーズンまで在籍したミラノではチームの主力としてファイナル4に3季連続で進出したが、いずれも準決勝で敗れていた。ペルージャに移籍した今季は自身で初の決勝進出、そしてコッパイタリアのタイトルを手繰り寄せるチャンスだったが、またしても準決勝の壁に阻まれた。
第3セット14-25、大差で落とし暗転
ジャンネッリのツーアタックでペルージャが第2セットのマッチポイントを握る。27-26。仕上げは石川。相手の3枚ブロックの左を抜いてレフトから鋭いクロスをたたきつけた。先にマッチポイントをヴェローナに握られながら、ペルージャが2セット目も連取したところまではペルージャの順当な勝利のシナリオが見えていた。
ところが、そこから試合がひっくり返る。試合時間の短縮を目指すコッパイタリアの特別ルールで2セットを終えて初めてコートチェンジが行われた後、ペルージャは第3セットでヴェローナを生き返らせてしまう。
モジッチのレフトアタックなどで立ち上がりから4連続得点を許す。後がなくなって開き直ったのか、OHケイタ、OPイェンセン(デンマーク)が思い切り良く打ち込んでくるアタック、サーブにペルージャは防戦一方となる。その第3セット。マッチポイントは、ネットに背中を向けて跳んだケイタに弄ばれるようにノールックの背面アタックを決められた。
石川、ルッソ、ジャンネッリ、ロセルらにサーブミスが出て、十八番のブロックは1本も決まらず。とどめを刺すはずの第3セットを14-25と大差で落としたことで、ヴェローナを乗せてしまったことが、まさかの逆転負けにつながった。
セリエAのレギュラーシーズンに加え、欧州チャンピオンズリーグにも参戦中のペルージャに対し、試合日程に余裕があるヴェローナは試合終盤も元気がみなぎっていた。2連覇を狙う格上のペルージャにはある意味「当たって砕けろ」だから、サーブもアタックもリスクを背負い、思い切り打ち込んできた。
ブロックポイントの差も顕著で、ペルージャ4本に対して、ヴェローナは14本と大きく上回った。そして得点が決まるごとに喜びを爆発させ、伸び伸びプレーしていた印象が強かった。一方のペルージャは2連覇がかかる重圧か。選手の表情にもプレーにも硬さが感じられた。OHプロトニツキのけがによる戦線離脱も当然のことながら響いた。
今季4冠を狙ったペルージャが下位チームのヴェローナに決勝進出を阻まれて、2冠目のコッパ・イタリアを取りこぼした。流れのスポーツであるバレーボールの残酷さと面白さ。そしてリーグ上位のどこが勝っても不思議ではない、セリエAの実力伯仲を改めて見せつけられた。そんな準決勝だった。
ケイタ「この瞬間待ちわびていた」
ノウモリ・ケイタ(ヴェローナ)のインタビュー談話「この瞬間を待ちわびていた。この瞬間のために、たくさん練習してきたことが結果につながってうれしいよ。ペルージャとは1カ月前に対戦して接戦だった。その時はペルージャのブロックに対応しきれなかったけれど、きょうはうまくいった」
セメニウク「まだ終わっていない」
カミル・セメニウク(ペルージャ)の談話 「残念な結果だ。私たちは明らかにハッピーではない。2セット先取から2-3で負けるのはいつだって難しい。ただシーズンは長く、まだ終わっていない。この先を見なくては。欧州チャンピオンズリーグもあるし、スクデット(リーグ優勝)争いも続く。数日間の時間が必要だが、チームはまた軌道に乗るだろう。ヴェローナはとてもいいプレーをしていた。私たちはミスをたくさん犯したが、彼らはそれを最小限に抑えた」
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