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【バレーボール】チヴィタノーヴァV。チーム最多得点ボットロ「いつか日本でプレー」| コッパ・イタリア

チヴィタノーヴァの2人のOH、レプキー(左)は17得点、ボットロは最多の19得点で優勝に貢献=2025年1月26日、提供:Lega Pallavolo
チヴィタノーヴァの2人のOH、レプキー(左)は17得点、ボットロは最多の19得点で優勝に貢献=2025年1月26日、提供:Lega Pallavolo
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バレーボールのイタリアリーグ・スーペルレガ(セリエA)で首位を走るペルージャから前日の準決勝で大金星を挙げたヴェローナ(同5位)と、過去7度の優勝を誇る強豪チヴィタノーヴァ(同3位)。両者が激突した2025年1月26日のコッパ・イタリアの決勝は、チヴィタノーヴァがセットカウント3-2(26-24/25-15/23-25/21-25/15-10)の接戦を制して4シーズンぶり8度目の優勝を遂げた。準決勝2試合に続き、この決勝もフルセットにもつれ込む好ゲーム。満員の9,125人の観客を集めたボローニャのウニポル・アレーナの記者席で2日間の全3試合を見届けた後、大会MVPに選ばれたチヴィタノーヴァのリベロ、ファビオ・バラーゾや、チーム最多19得点を挙げたOHマティア・ボットロら、力を出し尽くした「主役」たちの思いを取材した。

目次

最終セット、タイブレークで明暗

準決勝のペルージャ戦に続き、両チーム最多の30得点をマークしたケイタだが、ヴェローナを優勝に導くことはできなかった=2025年1月26日、提供:Lega Pallavolo
準決勝のペルージャ戦に続き、両チーム最多の30得点をマークしたケイタだが、ヴェローナを優勝に導くことはできなかった=2025年1月26日、提供:Lega Pallavolo

決勝はチヴィタノーヴァが2セットを連取した後、その後の2セットを今度はヴェローナが取って追いつき、タイブレークにもつれ込む緊迫した展開になった。ヴェローナの崖っぷちからの追い上げは、まさに前日にペルージャを0-2から大逆転した試合を再現したような筋書きだったが、チヴィタノーヴァがそれを阻んだ。最終第5セット、タイブレークで明暗が分かれた。

チヴィタノーヴァが先に「王手」

2人のアクロバットダンサーが支える国旗が天井から下りてくるオープニング=2025年1月26日、提供:Lega Pallavolo
2人のアクロバットダンサーが支える国旗が天井から下りてくるオープニング=2025年1月26日、提供:Lega Pallavolo

スタートダッシュを決めたのはチヴィタノーヴァだった。ボットロの豪快なパイプで先制すると、ケイタ、モジッチのヴェローナ両エースを次々シャットアウトしてねじ伏せる。対するヴェローナもMBジンガーの連続クイックや両OHのスパイクで追いすがる。OPラグムジャに代わって入ったニコロフが流れを代え、チヴィタノーヴァが26-24で1セット目を先取した。第2セットも中盤にヴェローナのケイタを立て続けにブロックで仕留めるなどして5連続得点を奪ったチヴィタノーヴァが圧倒。25-15の大差でそのセットを取り、チヴィタノーヴァが王手をかけた。

ここでヴェローナベンチが動く。OPをイェンセンからケイタに代え、OHにサーニを投入。均衡をアバエフのエースやケイタの3連続スパイクなどで崩す。ケイタのエースの場面では両手をはばたかせる「鷲」のジェスチャーをモジッチが真似るなどして観客をあおり、形勢は一気にヴェローナへ。3セット目は25-23でヴェローナが制した。第4セットはタッチネットか否かのビデオ判定をめぐって両チームが「1点」への執念を見せるなどヒートアップ。このセットでもケイタにボールを集め、ヴェローナが25-23。セットカウントを2-2のタイとした。

明暗が分かれたのは第5セットだ。スタミナが落ちてきたヴェローナのケイタの連続ミスに乗じて、チヴィタノーヴァはボットロのスパイクでたたみかける。いきなり3-0とリードした。ヴェローナは中盤のラリーでも完全にケイタ頼み。ボールを集めるも決めきれない。一方のチヴィタノーヴァはリベロ・バラーゾの安定した守備を起点にボットロ、ニコロフらが決めきった。決定的な場面で何度も使われた、ボットロのパイプが優勝の決定打になった。

安定のレセプション

MVPを受賞したキャプテンで日本代表リベロでもあるバラーゾ=2025年1月26日、提供:Lega Pallavolo
MVPを受賞したキャプテンでイタリア代表リベロでもあるバラーゾ=2025年1月26日、提供:Lega Pallavolo

勝敗を分けたのは、いったい何だったのか。1つ目は、チヴィタノーヴァの安定したレセプションだ。38%のヴェローナに対して、チヴィタノーヴァの返球率は54%と大きく上回った。特にキャプテンでリベロのバラーゾはディグでも45%と高い数字を残し、数字には見えないカバーやつなぎなどでも大きく貢献し、大会MVP(最優秀選手)を受賞した。

バラーゾは驚きの表情で「自分がMVPに選ばれるとは全く思ってなかった」。「この2戦は本当にハードだったけれど、最後まで地に足をつけて戦ったメンバーと、ここまで足を運んでくれたファンにまず感謝したい。追い付かれても5セット目を集中して乗り切った。チーム一丸となって勝ち取った優勝です」と喜んだ。

2つ目は2試合連続の30得点のケイタに偏ったヴェローナに比べ、チヴィタノーヴァの攻撃の選択肢が多彩だったことだ。OHボットロが19得点、レプキーが17得点、そして途中交代でOPとして入ったニコロフも16得点と、3人がいずれも2桁得点を挙げ、相手に的を絞らせなかった。クイックやパイプをうまく取り混ぜて平均50%のアタック決定率を引き出した若干20歳のセッター、ボニンファンテの活躍も光った。

ボットロ「いつか日本でプレーを」

チーム最多得点のボットロは「いいプレー以上に、勝利への強い意志が優勝につながった」と胸を張った。パドヴァから2022年にチヴィタノーヴァに移籍したものの、ここ2シーズンは出場機会に恵まれなかった。それが今季はスタメンに定着し、大ブレイク。持ち味のサーブ、スパイクだけでなく、何よりもレセプションの精度が上がり、好不調の波が少なくなった。

「試合でプレーできない間は厳しいトレーニング、ボール練習に毎日ただただ励むだけ。辛抱して続けてきた甲斐があって、今季やっと回ってきたチャンスをものにすることができました」と目を輝かせた。

ボットロは日本代表のOH高橋藍(サントリー)とパドヴァ時代のチームメートで、高橋自らが「イタリアの親友」と公言する間柄。昨年はパリ五輪後のオフにプライベートで日本を訪れ、高橋と京都観光を楽しんだ。「友人がいるので日本のSVリーグも観てますよ。いつか日本でプレーしたいと思っています」と話した。(下に記事が続きます)

「台風の目」ヴェローナ、悔しい準優勝

ファイナル4初出場で堂々の準優勝となったヴェローナ=2025年1月26日、提供:Lega Pallavolo
ファイナル4初出場で堂々の準優勝となったヴェローナ=2025年1月26日、提供:Lega Pallavolo

筆者がこのコッパ・イタリアを前に「台風の目」になると予想し、密着取材したヴェローナは悔しい準優勝。それでも、リーグ5位ながら準決勝で首位のペルージャをフルセットで破り、決勝もチヴィタノーヴァを最後まで追い詰めた戦いぶりは大健闘と評していいだろう。2試合連続で30得点を挙げたケイタ、若いチームをリードしたモジッチも間違いなく、このコッパ・イタリアを盛り上げた主役たちだった。

決勝で敗れたあと、ヴェローナのモジッチは「今日はサーブと、スパイクの精度が足りなかった」と敗戦の理由を挙げたが、「それでも僕たちは決して最後まであきらめないことは、この2日で見せられたと思う。次に向かうだけです」とリーグ戦に気持ちを切り替えた。

ゼネラル・マネジャーのマルケージ氏も同様に「大事業を達成できなかったのは残念ですが、ヴェローナのプレーの質や強さ、そしてプレーオフ上位を狙えるチームだと証明できたと思います」と表情は明るかった。

準決勝2試合ともにスーペルレガの1位と2位が負けるという番狂わせ。そして3試合ともフルセットの大激戦だったコッパイタリアが幕を閉じた。リーグ戦は1週間後に再開する。1位ペルージャから5位ヴェローナまで勝ち点が12差にひしめくなか、残りは5試合。プレーオフに向けた白熱した上位争いが楽しみだ。

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