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【ペンスポ座談会】バレーとハンドの現在地。中西美雁×久保弘毅×原田亜紀夫

原田亜紀夫・中西美雁・久保弘毅
左から原田亜紀夫、中西美雁、久保弘毅=多田写す
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スポーツ特化型メディア“Pen&Sports”[ペンスポ]編集長・原田亜紀夫が、コラムニストとして新たに参画したバレーボール記者・中西美雁と、ハンドボールを追う久保弘毅と対談しました。2人がテーマとするバレーボールとハンドボールの共通点や現状について話しました。(構成・多田千香子)

目次

【男子バレー】パワーとスピードにみせられて

多田:バレーボールの一番の魅力は。

中西:男子バレーのパワーとスピードです。女子はラリーがつながるけれど、男子はつながらないから面白くないと言う人がいますが、最近は男子もつながります。トータルディフェンスと言って、ブロック、スパイク、レシーブの位置取りを戦略的にやっているので。特にいまの日本はトータルディフェンスで、背の低さを補っています。男子はつながらないから、という人は、最近の男子を観て欲しいですね。

久保:ラグビーならスタンドオフとかNo.8とか、キーになるポジションは、圧倒的パワーが有効でしょう。バレーボールの場合だとオポジット、ハンドボールだと両45度(LB、RB)とエースポジションです。そこに外国籍の選手を入れるとリーグのレベルは上がるけど、日本国籍の選手が育たないとか、ディフェンスは発達するけどオフェンスはいまひとつ伸びないとか、欠点はありますね。

原田:いまのハンドボール日本男子の両45度は。

久保:LBは部井久アダム勇樹(ジークスター東京)と吉野樹(トヨタ車体)ですね。国際レベルで、9mのロングシュートを打てる人が2人そろっています。RBは渡部仁(同)とか元木博紀(ジークスター東京)とか。20年前の日本ハンドボールリーグは両バックを両方とも外国出身者が占めていて、日本人が育たないから、1人にしましょうと、いわゆる「オン・ザ・コート・ワン」にしましょうという時代がありました。

中西:バレーボールも似てますね。

久保:そうするとリーグのレベルが落ちちゃって、外国人が2人いた時代のディフェンスが一番ハードだったよね、と言われ方をして。いまは2人までOKになっています。

すばらしい体育館、愛知の「エントリオ」

バレー、ハンド、バスケチームの拠点・豊田合成記念体育館「エントリオ」=久保写す

久保:たとえば日本ハンドボールリーグ男子の豊田合成は最初、2部だったんですよ。毎年日本人を補強して、ラストピースで外国人を2人補強して、強くなって。「エントリオ」というすばらしい体育館もできました。

中西:すごくいい会場ですよね。カメラマンも、いい写真が撮れるって。バレーファンは写真を撮るので、エントリオは好かれてますね。

久保:JR稲沢駅(愛知県稲沢市)から徒歩3分にあって便利で、バスケ、バレー、ハンドと大会を開いていて、ハンドはプレーオフや決勝の会場にもなっています。ピンスポットが当たるようになっていて、選手が浮き上がって撮れるんです。こんなかっこいいところでプレーしたいな、ってまた選手が集まります。最高の環境ですね。行くたびに感動します。

中西:映えを意識していますよね。バレーボールでも豊田合成はいい選手をとって、五輪代表も出しています。

人気の波はコンスタントか、瞬間か

久保:ハンドボールの人気の波は、瞬間風速はあるものの10年に1回で。バレーはもっとコンスタントですね。

中西:体育の授業にあるし、漫画「ハイキュー!」のブームもあります。いまの人気はブラン監督の手腕や石川祐希(ミラノ)、高橋藍(ヴェロ・バレー・モンツァ)の登場、セッターの関田誠大(ジェイテクト)、西田有志(パナソニック)、あとミドルブロッカー3人組がそろったのも大きいですね。

久保:基本、1972年のミュンヘン五輪・金メダルがベースにあって。

中西:故・松平康隆さん(ミュンヘン時の日本男子代表監督)は自分でテレビ局に「アニメドキュメント ミュンヘンの道」の企画を持ち込んだ。

多田:すごいですね。傑出した人が1人出て、50年以上も恩恵が続いている。

中西:そうそう、そのスキームですね。松平さんはバレーボールを世界中に普及させるのが目標で、指導者を各国に派遣した。あまり知られていませんが、世界の競技人口は5億人と言われていて、統計的にはサッカーやバスケットを上回って世界1位なんです。

久保:女子が楽しめるイメージですよね。ママさんバレーもあるし。

中西:ママさんバレーに連れて行かれたのがきっかけで、バレーを始めたっていうVリーガーも多いですよ。

久保:そういえばテレビ神奈川アナウンサー時代、やまゆり杯(神奈川県家庭婦人バレーボール大会)の中継をしました。実業団出身の人がセンターにいましたね。

中西:でも、昔はワールドカップといえばバレーボールだったのが、いまではサッカーやラグビーです。総動員数もバスケットボールBリーグに抜かれちゃいました。

ファンの応援を考える

原田:バレーボールは応援が整然としていますよね。パナソニックとか日立とか。

中西:アウエーのチームは鳴り物禁止になったんですよ。

久保:野球なら表と裏で分けられますけど、バレーボールは分けられないからですね。

原田:いろんな考え方があっていいですよね。

久保:ハンドボールは点が入ったら盛り上がるし、オフェンスはオフェンスで、ディフェンスはディフェンスで盛り上がります。応援に関してアレはダメです、コレはしちゃいけませんとか、おカネを払って観に来ている人に言うべきじゃないと思っています。「いけません」が増えると、居丈高な学校の体育の先生のような(笑)。好きではない日常をカネ払って味わうのか、と。

中西:バレーボールの国際大会は、国際バレーボール連盟が推奨する応援スタイルというのがあって、どの大会でも、どの国でもやるんですよ。エース、エース、パン、パンというの。

多田:それは、いいことなんですかね?

久保:いやあ面白くないなあ、統一されていて(笑)。

原田:代々木でのパリ五輪アジア予選でも、それやってましたよね。

中西:やってました。モンスター、モンスター、モンスター、ブロック!も。

久保:それは世界的に推奨されている?

中西:そうです。

久保:バレーボールの文化として。

中西:数年前からですね。サーブの時には静かにしてあげてほしいですが。

原田:自分の感覚とか間合い、ルーティンを大切にしますからね。

中西:そうなんです。練習では入っても、やっぱりプレッシャーとか。音があるのは避けた方がいい。

久保:応援の仕方も成熟したスポーツ文化になると(笑)、賛否両論あるんですね。

世界を駆けるバレー愛、しゃべるハンド道

原田:中西さんからメールが届いたのは、ペンスポが創刊する直前の2023年7月下旬でした。男子バレーボールのネーションズリーグ取材で、ポーランドに滞在中だったんですよね。

中西:原田さんと同じ「ひとりだけいると勝つ」記者で。ポーランドでは日本男子が46年ぶりに国際大会の表彰台に立ったのですが、現地で取材していたのはFIVBオ公式カメラマン以外では私だけでした。あとペンスポの創刊日が私の誕生日なので、ご縁を感じた次第です。

多田:バレーボールを取材し始めたのはいつからですか。

中西:1997年からです。五輪をはじめとする国際大会、イタリアやスペインリーグの取材へも行っています。イタリアへは2022年、石川祐希ー高橋藍対決のときに行き、今年も行く予定です。パリ五輪取材はプレスパスと、チケット取材の両にらみで動いています。

原田:久保さんは今度、しゃべる仕事をするそうですね。

久保:ハンドボールのインカレ*があるのですが、BS松竹東急で2023年、初めて放送される決勝戦の生中継で実況することになりました。15年以上ぶりの実況です。

*高松宮記念杯全日本学生選手権大会。2023年11月4~8日、北海道・函館

原田:久保さん、いま、ノッていますね。

久保:いやいや青色吐息です(笑)。

原田:いい刺激になりますね。中西さん、久保さん、その調子でペンスポへの寄稿もよろしくお願いします。

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コメント一覧 (1件)

  • いつも、記事楽しみに拝見しています。私は、高校時代ハンドボール部でしたが、どちらかといえば、バレーボールが花形で、人気にも差があった記憶があります。今回の対談で、昔の記憶が蘇りました。同じ球技でありながら、それぞれにこだわりを持つこだわりのある者同志の対談により生み出される力と面白さ、1+1は、2ではなく、無限の可能性を感じました。
    今後は、新しい視点でのハンドボールとバレーボールの観戦時の楽しみも増えました。
    今後とも、このような面白い企画で、スポーツファンをインスパイアし、
    笑顔にできる事に期待しております。

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