カヌー・スラロームのカナディアンシングル(C1)でリオデジャネイロ五輪銅メダリストの羽根田卓也(ミキハウス)が2023年10月27日、東京・江戸川区のカヌー・スラロームセンターで開幕するアジア選手権大会でパリ五輪出場権獲得のラストチャンスに挑む。羽根田はこの種目でアジア人初の五輪メダリスト。パリ大会の出場権を獲得すれば、五輪5大会連続の出場となる。
世界選手権では23位、パリ切符逃す
羽根田は、9月に英・ロンドン郊外で開かれた世界選手権で出場74選手中、予選の上位30人が進める準決勝に進出した。しかし、準決勝では終盤にミスがあり、23位だった。上位10人による決勝には進めず、各国・地域の最上位選手のうち12番手以内に与えられる五輪出場枠を逃した。
羽根田「東京で決めろという天啓」
羽根田はPen&Sports [ペンスポ]に対し「世界選手権で決められなかったのは残念ですが、東京で皆さんの前で決めろという天啓なのだと思って頑張りたいと思います」とコメントを寄せた。
男子カナディアンシングル(C1)のパリ五輪出場枠は17。このうち9月の世界選手権で12が決まり、残るは大陸別大会の5枠。10月のアジア選手権(東京)ではアジアの1枠をかけて、勝負に挑む。
ライバルは中国の27歳・張鵬か
9月の英国での世界選手権で、羽根田のライバルになりそうな気になる選手がいた。アジア勢から羽根田の他にもう一人、準決勝に進出した中国の張鵬(ZHANG Peng)選手だ。張も決勝には進めなかったが、羽根田のタイムに迫る世界選手権26位だった。36歳の羽根田に対し、張鵬(ZHANG Peng)選手は伸び盛りの27歳なところも不気味だ。2021年の東京五輪にも使用されたなじみのコースで、羽根田はホームアドバンテージを生かしたい。
羽根田 卓也(はねだ・たくや)1987年、愛知県豊田市生まれ。7歳〜9歳までは器械体操に取り組み、9歳から父と兄の影響でカヌーを始めた。世界レベルで活躍することを目標に、高校を卒業後すぐにカヌー強豪国のスロバキアへ単身で渡る。2008年北京、2012年ロンドン、2016年リオデジャネイロ、2021年東京大会と4大会連続で五輪出場。リオ五輪で、この競技アジア人初となる銅メダルを獲得、一躍カヌーを国内に知らしめた。スロバキアの首都ブラチスラバの国立大学院卒業。愛称「ハネタク」はマツコ・デラックスさんが命名。
カヌースラローム競技 カヌーには大きく分けて急流で速さを競う「スラローム」と穏やかな水面で速さを競う「スプリント」がある。1972年のミュンヘン五輪で初めて採用された「スラローム」は近年、主にコース約200~300mの人工コースで開催され、艇をパドルで漕いで18~25か所のゲートを通過して競う。羽根田の専門はこのうち、カナディアン・カヌーとパドルのブレードが片方だけ(シングルブレード)のものを使う1人乗りのカナディアン・シングル(C1)。
競技は1艇ずつのタイムトライアル方式で行なわれる。上には2本のポールでできたゲートが吊るされ、ゲートには上流から下流に通過するダウンゲートと、下流から上流に回り込むアップゲートがある。各ゲートに対して指定された順番、指定された方向から通過しなければならない。不通過なら+50秒のペナルティ。ゲートに接触した場合にも+2秒のペナルティーが課され、最終的なフィニッシュタイムが速い順で順位が決まる。レースは人が立てないほどの急流で行われ、艇をコントロールするバランス能力と柔軟性、急流のコース取りなどの状況判断力と敏捷性が求められる。
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