ペンで心を動かす、Pen&Sports [ペンスポ] 編集長の原田亜紀夫です。いきなりですが、クイズです。
①ミラノ・コルティナ冬季五輪女子フィギュアスケート代表の坂本花織
②大リーグから今季日本球界に復帰する前田健太投手
③陸上女子やり投げのパリ五輪金メダリストの北口榛花
④プロテニスプレーヤーの錦織圭
⓹ハンドボール女子日本代表のグレイ クレア フランシス
この5人のトップアスリートの共通点は何でしょう?と問われたときにすぐにピンと来た人はかなりのスポーツ通でしょう。
正解は全員が、水泳を習っていたことです。
しかも、プロ野球選手の前田健太は小学生4年のとき、背泳ぎで西日本大会で優勝するほどのスイマーでしたし、やり投げの北口榛花も中学で全国大会に出場しています。
関節の可動域広げ、空間認知能力を鍛える
2026年1月23日付の朝日新聞スポーツ面でも掲載されましたが、米国の高校生が季節ごとに違うスポーツに取り組む「マルチスポーツ」の効能が話題です。そのなかでも、私がさまざまな競技のトップアスリートを取材してきて感じているのは、特に幼少期の「水泳(競泳)経験者」の健闘です。ほかの競技に転向しても、世界と戦えるほどに羽ばたいている選手がかなり多いのです。
渡米前、広島カープに在籍していた前田健太投手は「水中での大きな動作は、肩関節などの可動域を広げる」と話していました。マエケンのしなるような投球しかり、やり投げで重さ600グラムのやりを67メートル以上投げる北口の投擲しかり、水泳は「投げる」という動作の土台作りに確かに適していそうです。
さらに水泳は陸上とは異なる「浮力」のなかでバランスをとるために、インナーマッスルや心肺機能が鍛えられるだけでなく、体の軸や手足がどんな状況にあるか立体的にイメージする「空間認知能力」が鍛えられるといいます。女子フィギュアスケートの坂本花織のジャンプの出来栄えやスピンの安定感は「水泳仕込み」だという観点でみると、見方が少し変わってきます。(下に記事が続きます)
両肩で背負うか、斜め掛けか
小学時代に全国レベルで水泳に打ち込んでいたというハンドボール女子日本代表のグレイ クレア フランシスのお母様からは、マルチスポーツに関連して、はっとさせられる話を聞きました。
女子世界選手権が開かれたオランダ・ロッテルダムの試合会場への道すがら、「水泳は体の左右のバランスがとても大事なので、水泳選手はバランスを意識して両肩に背負うバックパックタイプのリュックを背負うことが多いんです。ところが、娘が入った高校のハンドボール部はみんな大きなエナメルバッグを斜め掛けして練習や試合に行く。それが伝統でした」
水泳界の常識ではありえない、エナメルバッグの斜め掛け。ハンドボール選手にとってもバランスを崩しかねない、と感じたグレイ クレア フランシスは、「チームメートや顧問に訴えてチームのバックをリュックに変えさせた」というのです。
マルチスポーツの経験は単に、身体能力の土台作りやスキルの向上を飛び越えて、リーダーシップを育てる力や他競技のいいところを取り入れるという意味でも、いいことづくめではないか。そう感じたエピソードでした。
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