大阪体育大学ハンドボール部女子をインカレ12連覇に導き、2021年秋から2024年4月のパリ五輪世界最終予選まで、女子日本代表「おりひめJAPAN」の監督を務めた楠本繁生氏(61)が2026年1月限りで大体大を退任し、リーグH女子の強豪で2025年の日本選手権を制したブルーサクヤ鹿児島の監督に就任することが決まった。2025年12月22日、大体大、ブルーサクヤ鹿児島の双方が発表した。
楠本氏は大体大広報室を通じて「大学の16年間でいい選手と出会い12連覇も達成できたが、前年と同じやり方をしたことは一回もない。1年1年やりごたえのある仕事をさせていただいた。定年まで5年ほどになり、若い指導者の強い意思や熱量を感じ、自分自身も変わるチャンスだと考えて、思い切ってバトンタッチをすることにした」とコメントした。
育成、スカウト面で大きなプラス

日本女子ハンドボール界を支えてきた名将が次なるステップへ踏み出す。これまで高校、大学で「常勝チーム」を育て上げた楠本氏が2026年から指導するのは、リーグH女子のブルーサクヤ鹿児島。ブルーサクヤには楠本氏の教え子にあたる2025年IHF女子世界選手権(ドイツ・オランダ共同開催)日本代表のLW笠 泉里、LB川島芽依ら大体大の卒業生がすでに6人在籍している。2024-25年リーグH女子の初代女王に輝き、2025年の日本選手権も制したブルーサクヤにとって楠本氏の就任は新たな「常勝チーム」を築く上で、育成面、スカウティング面の双方で大きなプラスとなりそうだ。(下に記事が続きます)
勝負師の顔と誠実な人柄

楠本氏が女子日本代表(おりひめジャパン)の監督だった2023年8月のパリ五輪アジア予選(広島)、そして2024年4月の世界最終予選をPen&Sportsはいずれも現地で取材した。
パリ五輪出場権獲得の可能性が断たれたハンガリー・デブレツェンの地で楠本氏は、試合直後の囲み取材に記者の質問が尽きるまで、最後まで立って対応した。そして最後にこう言ったのを覚えている。
「力及ばず非常に悔しい結果になった。この経験を糧にして新しい代表チームにはスタートを切ってもらえたらと思う。代表監督としての自分の契約はパリ五輪までということになっている。大学(大阪体育大学)にもそういう話をしているので、自分自身としてはこれで一区切りだと思っている」「わざわざハンガリーまで来ていただいたのに、本当に申し訳ありませんでした」
おりひめジャパンを世界レベルまで引き上げた楠本氏への代表監督続投の声が多かったなか、そこでスパっと身を引いたのは、結果にこだわった彼なりのけじめだったのだろう。勝負師の顔と、誠実な人柄を併せ持つ楠本氏の新たな挑戦に注目している。
楠本 繁生(くすもと・しげお)1964年10月10日、東京オリンピック開会式の日に和歌山県で生まれる。大阪・北陽高校(現関西大学北陽高校)を経て、大阪体育大学卒業後に京都・洛北高校に体育教員として赴任。女子ハンドボール部の指導にあたりインターハイ優勝7回などの実績を上げた。2010年に母校である大体大に入職し、女子ハンドボール部を指導。2020年から同大教授。2025年11月の全日本インカレで前人未到の12連覇に導いた。2021年秋から2024年4月のパリ五輪世界最終予選(ハンガリー)まで、女子日本代表「おりひめJAPAN」の監督を務めた。
ペンスポニュースレター(無料)に登録ください
スポーツ特化型メディア“Pen&Sports”[ペンスポ]ではニュースレター(メルマガ)を発行しています。「へぇ」が詰まった独自ニュースとスポーツの風を届けます。下記のフォームにメールアドレスを記入して、ぜひ登録ください。





![Pen&Sports[ペンスポ]スポーツ特化型メディア](https://sports.pen-and.co.jp/wp-content/uploads/2023/06/logo_sports_wh.png)




\ 感想をお寄せください /