第20回ハンドボール女子アジア選手権は2024年12月10日、インド・ニューデリーで決勝が行われ、日本代表(おりひめジャパン)は韓国と対戦。前半の3点ビハインドをひっくり返し、25-24で勝ち、アジアの頂点に立ちました。アジア選手権の優勝は2004年以来、20年ぶり2回目。アジア1位で、2025年12月の世界選手権に出場することになりました。
ライバル韓国との決勝戦
女子のアジア選手権の決勝戦は日本-韓国。2023年8月、広島で行われたパリ五輪予選決勝では24-25で敗れた相手です。今回はパリ五輪予選で決勝打を放った柳殷僖(リュウ・ウニ)こそいませんが、長年日本で活躍した李美京(イ・ミギョン)は健在です。2023年10月のアジア競技大会でこそ勝っていますが、アジア選手権や五輪予選で韓国に勝たないと、真のアジアNo.1 とは言えません。女子アジア選手権決勝戦は2024年12月10日、日本時間の21時30分に始まりました。試合の映像はこちらから。
前半はやや苦戦の印象
前半は9-12。初見実椰子(三重バイオレットアイリス)の速攻が連続で飛び出し、5-8から9-8と逆転しながら、そのあとに得点が伸びなくて、4連続失点しています。前半だけを見たら、日本はかなり劣勢でした。
後半の立ち上がりに、日本は3連取で12-12の同点に追いつきます。後半に陣地が変わって、右側の選手がベンチに近くなりました。初見をピヴォットで使う場合は、DFに戻った時に、右2枚目が初見、右3枚目にDF要員でグレイ クレアフランシス(熊本ビューストピンディーズ)か山口眞季(三重バイオレットアイリス)を入れるのがベスト。攻守に負担の大きいライトバックの中山佳穂(ツヴィッカウ/ドイツ)をDFで休ませて、右2枚目に初見を入れる選択肢も可能になります。後半勝負と踏んで、コイントスで陣地を選んだのかどうかは、田中俊行監督や新井翔太コーチに後日聞いておきたいポイントです。(下に記事が続きます)
左利きセンター・金城がインパクト残す
後半21分20-20の場面で、日本は金城ありさ(ソニーセミコンダクタマニュファクチャリング)をセンターに入れて、左利き3枚の布陣にしました。金城は期待に応え、逆足のステップシュートを決めています。この勝ち越し点が大きかったですね。佐々木春乃(ドルトムント/ドイツ)、相澤菜月(チューリンガー/ドイツ)、中山のバックプレーヤー3枚は強力ですが、欲しかったのはベンチからの追加点。金城の多彩なシュートテクニック、勝負度胸は、インパクトプレーヤーに最適です。
最後はキャプテン相澤
その後は中山の速攻や、GK榊真菜(HC名古屋)が李美京の7mスローを体の中心で止めるなど、攻守にいいプレーが出た日本が22-20とリードを広げます。残り1分1点差に詰め寄られても、相澤が真ん中の1対1から切れ込んで、利き腕がずれた状態から25点目を挙げました。こういう場面のセットOFで、確実に1点を奪えるあたりは、さすが相澤。個の強さを見せつけるような一撃でした。最終スコアは25-24。日本が韓国を下し、アジア選手権優勝をつかみ取りました。
DFの安定感が勝利につながる
試合全体を振り返ると、後半のDFが安定していました。左右両方の3枚目で力を発揮した山口の存在が頼もしかったです。GK馬場敦子(北國ハニービー石川)は阻止率23.8%の数字以上に、要所で韓国キラーぶりを発揮しました。攻撃では、ライトバックの中山がカットインでの得点を増やしていました。得意のロングシュートに固執せず、的確に相手の弱点を突いて、ライン際でのシュートを選択していたのが高確率(7得点で77.8%)につながりました。(下に記事が続きます)
田中監督のチーム作りもよかった
今回限りの暫定監督で、火中の栗を拾ってくれた田中監督も、大会を通じていい仕事をしていたように見えました。采配面は新井コーチと北林健治GKコーチにかなりの部分を委ねながら、選手の伸びやかさを引き出していました。この土台があれば、次の監督もやりやすいでしょう。
おりひめジャパンの選手は所属チームに戻り、国内組は12月18日から福井で行われる日本選手権女子の部に出場します。
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