ハンドボール女子日本代表「おりひめジャパン」の練習が2024年11月25日、東京・味の素ナショナルトレーニングセンターで公開されました。12月3日からインドで始まるアジア選手権へ向けて、ドイツ・ブンデスリーガでプレーする相澤菜月(チューリンガー)、中山佳穂(ツヴィッカウ)、佐々木春乃(ドルトムント)も合流し、選手同士で積極的に会話する姿が見られました。
田中俊行監督「圧倒的コミュニケーション」
今回暫定で指揮を執る田中俊行監督は「圧倒的コミュニケーション」を掲げて、チーム作りをしています。「選手同士で質問がどんどん出てくるような環境を作っています」との言葉どおり、練習中から活発に意見交換が行われています。また選手間だけでなく、選手から監督への提案も積極的に吸い上げて、取り入れていきたいとも言っていました。これまでの日本的な「絶対的上下関係」ではなく、監督、コーチ、選手、スタッフがフラットな状態で「共にチームを作り上げる」スタイルを意識しています。(下に記事が続きます)
相澤菜月らドイツ組も合流
意見を言いやすい環境作りの中心になるのが、2024年4月のパリ五輪世界最終予選を経験した選手たち。なかでもキャプテン相澤菜月、左腕エース中山佳穂、佐々木春乃の3人が先頭に立って、コミュニケーションを取ろうとしていました。
佐々木春乃「チーム引っ張る」
田中監督は「今回は佐々木が代表に戻ってきてくれたのが、とてもうれしかった」と言っていました。パリ五輪世界最終予選ではレフトバックでの負担が大きく、心身ともにダメージを受けていた佐々木ですが、オフシーズンでしっかりと切り替えて、代表活動に戻ってきました。佐々木は「こうして再び日本代表に呼んでもらえて光栄です。これまでの日本代表のよさ、日本代表とはどうあるべきかを、次の世代につなぐ役割は必要だと思っています。そういった姿勢を次の世代の選手たちに見せて、チームを引っ張っていけたら」と言っていました。
田中監督は「前の代表の時から、佐々木は提案をしてくれる選手。佐々木がドイツで仕入れてきたスペシャルなDFシステムがあるので、大会で使うかもしれませんよ」とうれしそうでした。 (下に記事が続きます)
課題はDFシステム
今回の日本代表の大きな課題はDFのシステム作り。永田美香(元・北國銀行)、佐原奈生子(北國ハニービー石川)の180㎝コンビがいなくなり、新たなDFを構築しないといけません。田中監督は吉留有紀(北國ハニービー石川)と初見実椰子(三重バイオレットアイリス)の名を挙げて「両2枚目の機動力を軸に、3枚目の新たなコンビネーションを構築していきたい」と話しています。左の3枚目に佐々木、右の3枚目にはグレイ クレアフランシス(熊本ビューストピンディーズ)と安藤かよこ(イズミメイプルレッズ広島)が基本線となるようです。
右の3枚目、阿久津祐子にも期待
右の3枚目の候補には、大型ウイングの阿久津祐子(熊本ビューストピンディーズ)の名前も挙がっていました。田中監督は「日本の女子で、これまでいなかったタイプの左利き。阿久津は3枚目を守れる選手なので、もし攻防チェンジができなかった時にも、阿久津がいることでDFのバランスが整います。世界各国も日本との戦い方を研究していて、なるべく日本にメンバー交代をさせないよう、世界最終予選では相手が3次速攻まで押してくるシーンが多く見られました。だから、なるべくメンバー交代をしないで戦えるような布陣を作っていきたい」と言っていました。
男子では櫻井睦哉(ブレイヴキングス刈谷)、女子は阿久津と、守備型の大型ライトウイングが今後の日本代表のキーパーソンになりそうです。 (下に記事が続きます)
初代表入りGK榊真菜「ステップアップに」
GKは対アジアで絶対的な力を発揮する馬場敦子(北國ハニービー石川)を軸に、榊真菜(HC名古屋)と前田優(熊本ビューストピンディーズ)の新顔2人の組み合わせになりました。初代表の2人はリーグHでの好調を評価されてのメンバー入りです。榊は「私は今、自信をつけている最中です。リーグHでもスタメンで出るようになったのは今年から。こういう状況でいただいた日本代表のチャンスなので、ステップアップにつなげたい」と控えめでした。
リーグH開幕戦でバタバタしていた榊ですが、その後は落ち着きを取り戻し、1カ月ほどで課題を修正しました。学習能力が高い選手なので、代表を経験してさらに成長してくれることでしょう。
アジア選手権:8カ国中4カ国が世界選手権出場
今回のアジア選手権には8カ国が参加し、上位4カ国に2025年12月の世界選手権の出場権が与えられます。日本はイラン、香港、インドと同じグループBに入りました。準決勝進出(=世界選手権出場権獲得)は堅いでしょう。反対側のグループAには韓国、中国、カザフスタンと、強豪がひしめいています。当たりの強いカザフスタン、サイズのある2対2で勝負する中国、個人技に優れた韓国を相手に、日本がどう守るか。できれば2023年10月のアジア大会のように、韓国に勝って金メダル獲得といきたいところ。新たな選手が加わり、伸びやかな雰囲気になった「おりひめジャパン」の戦いに期待しましょう。
ペンスポニュースレター(無料)に登録ください
スポーツ特化型メディア“Pen&Sports”[ペンスポ]ではニュースレター(メルマガ)を発行しています。「へぇ」が詰まった独自ニュースとスポーツの風を届けます。下記のフォームにメールアドレスを記入して、ぜひ登録ください。
\ 感想をお寄せください /