国際バレーボール連盟(FIVB)は11月16日、ポルトガルのポルトで第39回FIVB世界会議を開き、新会長にブラジル出身の53歳、ファビオ・アゼベド氏を満場一致で選出した。任期は8年。「世界に8億人いるとされるバレーボールのファンベースを倍増させることで、バレーボールを次の段階へと導く」と誓っている。アゼベド氏は30年以上に渡ってバレーボール界の発展に尽くしてきたが、バレーボール選手としてのプレー経験はない。
2016年、小池都知事に「有明」を直談判
アゼベド氏は日本のバレーボール界にとっても、ある貢献を成し遂げた人物だ。
国際バレーボール連盟のゼネラル・ディレクターを務めていた2016年11月。アゼベド氏が、東京都庁を訪れ、五輪招致時の開催計画通りにバレーボール会場の「有明アリーナ」(東京都江東区)の建設を小池百合子・東京都知事に直談判した。その時のことを筆者は忘れられない。
当時、東京五輪・パラリンピックは開催コストが当初計画から膨らみ、世論の逆風にさらされていた。バレーボール会場ついても、都が新設する競技会場のコスト削減を理由に、既存施設の「横浜アリーナ」に会場を変更する代替案に傾きかけていた。(下に記事が続きます)
有明は「都民とバレー界の互いの利益」
既存施設の「横浜アリーナがワーカブル(使える)」と話した小池百合子東京都知事に対して、アゼベド氏は報道陣の前で切々と自らの考えを説いた。「1964年の最初の東京五輪から始まったバレーボール競技は2020年に東京に再び帰ってくる。東京五輪はそんな節目の大会なのです」「(横浜ではなく)東京の中心でバレーボールを開催することこそが、都民とバレー界の互いの利益になるのです」などと、小池知事を説得した。知事は「総合的に判断する」と明言を避けたが、この直後、最大1万5千人収容の有明アリーナの新設が正式に決まった。
有明アリーナは2024年11月3日、4日、SVリーグのサントリーサンバーズ大阪対東京グレートベアーズ戦で2試合ともに1万人以上が来場し、リーグの最多の観客動員記録を更新したばかり。FIVB新会長のアゼベド氏がいなかったら、この記録の達成はおろか、「有明アリーナ」自体が絵にかいた餅だったかもしれない。
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