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【ハンドボール】ザ・テラスホテルズ ラティーダ琉球、史上最強 | リーグHチーム紹介

新しいメンバーにも、東長濱秀作監督の考えが浸透している(久保写す)
新しいメンバーにも、東長濱秀作監督の考えが浸透している=2024年9月13日、大阪・守口市民体育館で(久保写す)
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2024年9月に開幕したハンドボールの国内トップリーグ・リーグH。女子は現在、代表活動などで中断期間中です。その間に、リーグ序盤の各チームの戦いや、今後の見どころなどを紹介します。3チーム目のザ・テラスホテルズ ラティーダ琉球は、昨季後半に抜擢した内定選手がフィットし、攻守にバランスの取れた布陣になってきました。初のプレーオフ進出も夢ではありません。

目次

攻撃型のようで守備力高め

朴宣映(写真右)が好調な日は、チームの得点が伸びる
朴宣映(写真右)が好調な日は、チームの得点が伸びる=久保写す(以下すべて)

2022年度シーズンのラティーダは、170㎝を超える4人を真ん中に並べて、上位とも見劣りしないDF力で5勝を挙げるなど、リーグ加盟2年目で大きく躍進しました。2023年度のシーズンは、DFの要だった藤岡美希、塩田真奈美の引退で苦しみましたが、年明けから内定選手を大量に抜擢して、攻撃型のチームに生まれ変わりました。新エースの喜納歩菜や新司令塔の竹内聖空に強力な左腕・朴宣映(パク・ソンヨン)といった「点が取れる選手」が増えた半面、組織的なDFは未整備で、香川銀行のようなしっかりとセットOFで崩してくる相手には脆さが見られました。

ところが2024年度になると、DFが整備されて、見違えるほどに攻守のバランスが整ってきました。エースの喜納は腕のしなりが話題になりがちですが、実はDFでの危機管理能力が抜群です。當山桃加は球際に強く、2年目の躍進を支えた中山朋香もケガから戻ってきました。得点力を大幅にアップさせながら、チームカラーだったDFの強さも取り戻し、1ランク上のチームになった感があります。10月の中断期間までで3勝1分3敗の7位。リーグ参入後初めてソニーと三重に勝てたのも、決して偶然ではありません。

2024年9月27日、ソニーに初めて勝利した試合

東長濱秀作監督、本質をつかんだ強化

新人GK廣田にアドバイスを送る東長濱監督
新人GK廣田にアドバイスを送る東長濱監督

コワモテで、とにかく誤解されがちな「秀ちゃん」。現役時代は天才肌のセンターで、引退後は琉球コラソンで指揮を執っていました。戦力が揃わなかったコラソン時代には、あまり指導力を発揮できませんでしたが、女子のラティーダの監督になってからは、着実にチームを強化しています。

選手の資質を見抜く目も的確で、東海大でライトウイングだった當山を「身体能力があるし、DFでも欠かせない戦力だから」とバックプレーヤーに挑戦させたり、エースの喜納を「駆け引きの嗅覚があるから」とDFの要に抜擢したりするなど、選手のよさを引き出しています。今季はバックプレーヤーが5人いるような布陣で、ポジションを入れ替えながら上手に得点を伸ばしています。

現役時代から審判に文句を言っている印象を持たれていますが、見る人が見れば「ああ見えて秀作はルールブックを読み込んでいるから、感情論ではなく、ちゃんとした議論ができる」とのこと。キャラゆえに誤解されがちですが、東長濱一族は「ハンドボールの本質を理解している」のです。(下に記事が続きます)

GK田口舞、あくなき向上心

GK田口は先発でも途中出場でも仕事をする
GK田口は先発でも途中出場でも仕事をする

チームを支えるリーグ最年長選手。向上心にあふれ、自己研さんの努力を惜しみません。柔軟な股関節から繰り出すスライディングは、今もなお一級品。「田口は下のボールが強いから、ハイコーナーで勝負」と誰もがわかっているのですが、無駄にジャンプしないヨーロッパ流の捕り方を学んで、ハイコーナーへの苦手意識を払しょくしています。「気持ちは22歳」の言葉どおり、身も心も若々しいベテラン。2024年10月時点で、年齢は22歳と177カ月です。

長年見てきて思うのが、田口の一番の武器は性格の良さ。これに尽きると思います。長くやっていると、先発出場でパフォーマンスが悪くなくても、チーム事情でベンチに下がることがあります。そんな時にも一切ふてくされることなく、後輩の活躍を心から喜び、率先してハイタッチで迎えます。元来の性格の良さに加えて、広島(現イズミ)時代には先輩GK高森妙子の決してDFを責めない姿を見て学び、ラティーダがリーグに加盟する前からの苦労も味わい、今があるのでしょう。DFへ語りかける優しい声も、田口の持ち味です。

田口が大当たりした2024年9月16日イズミ戦のハイライト

喜納歩菜、抜群のDF嗅覚

喜納は点を取るだけでなく、守備でも独自の感性を持っている
喜納は点を取るだけでなく、守備でも独自の感性を持っている

パッと見は、腕のしなりが目立つ選手です。DFの枝を利用しながら、ありえないくらいに腕をしならせて、GKの反応できない場所に打ち込みます。野球経験者らしいスナップスローに、沖縄らしい自由奔放さがミックスされた喜納のシュートは、世界でもなかなかお目にかかれない「オンリーワン」。10月6日の中断時点で7試合46得点は、得点ランキング1位です。

ですが喜納の本質は「点取り屋」ではなく「ディフェンダー」だとも言われています。エンプティゴールを狙った相手の遠投に1人で走って追いつき、ギリギリのところで叩き落としたり、相手が狙ってきそうなスペースにサッと移動したり、DFの嗅覚が非常に優れています。東長濱監督は「喜納はDFの駆け引きの時が一番楽しそうにやっている」と言い、「喜納を3:2:1DFのフルバックにしても面白いんじゃないかな」と、新たなプランを口にしていました。ライン際で全体を見渡して、言葉と動きでスペースを消すのがフルバックの仕事。喜納の能力が最大限に引き出されそうなポジションです。現在は6:0DFが安定しているラティーダですが、3:2:1DFなどの立体的なDFを取り入れた時に、喜納の役割がどうなるのか。長丁場のリーグ戦で見どころになってきそうです。

 2024年9月23日三重戦での喜納の得点シーン

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