【陸上】男子110M障害、村竹ラシッドが日本タイ13秒04。恩師「湧き出る思いを制御」

群雄割拠の陸上男子110M障害でまたも世界レベルの好記録が誕生した。埼玉・熊谷スポーツ文化公園陸上競技場で開かれた日本インカレ（日本学生対校陸上選手権）第3日は2023年9月16日、村竹ラシッド（21）＝順天堂大学＝が日本タイ記録となる13秒04（向かい風0.9Ｍ）をマークし、2大会連続3度目の優勝を果たした。今夏の世界選手権（ブダペスト）5位入賞の泉谷駿介が今年6月に打ちたてた日本記録に並んだ。村竹は来夏のパリ・オリンピック（五輪）の参加標準記録（13秒27）をすでに突破。来年6月の日本選手権の成績次第で代表が内定する。

パリ五輪「出場するのは当たり前ぐらいに」

0.9ｍの向かい風をものともせず、2位以下に0.68秒の大差をつけての圧勝だった。来夏のパリ五輪に向けての抱負を聞かれると、村竹は「出場するのは当たり前くらいに思わないと戦えないと思うし、日本の試合だけじゃなくて、もっと海外の試合でも経験を積んで渡り合えるようにならないと、オリンピックの決勝であったり、メダルであったりというのは見えてこない」とコメント。「でも、まだ自分は経験が浅いので、この冬や来年を通してしっかりと経験を積んで、パリオリンピックに出場を決めて、頑張りたいと思います」と語った。

日本インカレ2023
13.04(-0.9)🥇PB
日本記録タイ&日本学生記録

沢山の応援ありがとうございました！
まだまだ速くなります！ pic.twitter.com/jf1fyyGFHO

— 村竹ラシッド Rachid Muratake (@rashi2ra__) September 16, 2023

日本インカレ110MH決勝

1位	村竹ラシッド（順大4年）	13秒04　★日本タイ記録、日本学生新記録
2位	町亮汰（国際武道大4年）	13秒72
3位	西徹朗（早大2年）	13秒81
4位	小池綾（法大2年）	13秒88
5位	宮﨑匠（中大4年）	13秒90
6位	阿部竜希（順大2年）	13秒91
7位	可児将大（日大院1年）	14秒05
8位	近藤翠月（東海大3年）	14秒09

高校恩師の中村さん「気迫があふれていた」

村竹の松戸国際高校時代の恩師、中村要一さんも熊谷で村竹の日本タイ記録の瞬間を見守っていた。中村さんにLINEで連絡をとると、すぐに返信してくれた。ペンスポ編集長の原田とは2020東京五輪大会組織委員会の大会運営局で同僚。中村さん自身も順天堂大のOB。男子100ｍで1975年、1976年の日本インカレを連覇している日本を代表するスプリンターだった。

「緊張して観ていました。東京五輪の選考会にあたる2021年の日本選手権では、決勝でフライング失格。ラシッドは自分の湧き出る勢いを制御できない部分がありました。先週、中国のダイヤモンドリーグ（DL）アモイ大会に初出場し、13秒19で5位。自信をつけてインカレに臨むことができたので、今回は気迫があふれていました」と喜んでいた。

村竹ラシッド（むらたけ・らしっど）2002年（平14）2月6日、千葉県松戸市生まれ。跳躍競技の経験があるトーゴ人の父を持ち、小5年から陸上を始める。混成競技で鍛え、走り幅跳びも8ｍジャンパー。千葉・松戸国際高校3年時に全国総体男子110M障害優勝。20年4月に順大に入学し、2学年先輩の泉谷駿介の影響もあって競技力が伸びた。身長179センチ。

男子110m障害　日本歴代10傑

順位	記録（風速）	名前（所属）	場所	日付
1位	13秒04（－0.9）	泉谷駿介（住友電工）	大阪	2023年6月4日
2位	13秒04（－0.9）	村竹ラシッド（順大）	熊谷	2023年9月16日
3位	13秒10（＋0.6）	高山峻野（ゼンリン）	平塚	2022年8月6日
4位	13秒16（＋1.7）	金井大旺（ミズノ）	広島	2021年4月29日
5位	13秒20（＋0.9）	野本周成（愛媛陸協）	福井	2023年7月29日
6位	13秒29（＋1.1）	豊田兼（慶大）	成都	2023年8月4日
7位	13秒33（＋0.9）	横地大雅（Team SSP）	福井	2023年7月29日
8位	13秒36（＋0.8）	石川周平（富士通）	横浜	2023年5月21日
9位	13秒39（＋1.5）	谷川聡（ミズノ）	アテネ	2004年8月24日
10位	13秒40（±0.０）	増野元太（ヤマダ電機）	大阪	2017年6月24日